不動産ニュース

2011/1/5

「2011年 年頭挨拶」(業界団体)

(社)全国宅地建物取引業協会連合会会長・(社)全国宅地建物取引業保証協会会長・伊藤 博氏
(社)不動産協会理事長・岩沙弘道氏
(社)不動産流通経営協会理事長・大橋正義氏
(社)不動産証券化協会理事長・岩沙弘道氏
(社)日本ビルヂング協会連合会会長・髙木丈太郎氏
(社)住宅生産団体連合会会長・樋口武男氏
(財)日本賃貸住宅管理協会会長・三好 修氏
(社)日本増改築産業協会会長・中林幸一氏
(順不同)

■(社)全国宅地建物取引業協会連合会会長・(社)全国宅地建物取引業保証協会会長・伊藤 博氏

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 昨年は、みなさま方のご支援とご協力により、円滑な組織運営ができましたことに感謝申し上げます。

 今年、全宅連および全宅保証は、公益社団法人への移行認定申請を行う予定であります。私どもは長年にわたり公益法人として活動を展開しており、今後とも国民の住生活環境の改善に尽力する使命があります。そのため公益社団法人への移行を選択するのが、最善であると判断し、あらたな体制で、国民の住生活の安定や消費者保護に資するための各種公益目的事業を展開しております。

 税制改正や土地住宅政策については、国民の住生活に直接影響を及ぼすことから、不動産市場の活性化や住宅取得支援に資するような提言を都道府県宅建協会と連携して行うとともに、消費者保護を図るという観点から、不動産取引制度の研究や不動産取引所の全国展開に向けた方策を研究・検討いたしました。

 提言成果としては、平成23年度政府税制改正大綱において、住宅用家屋に係る登録免許税の軽減税率や不動産譲渡等に係る印紙税の軽減措置等、期限切れとなる特例措置の延長が盛り込まれました。また、国民の住宅取得に影響する新築住宅の固定資産税の減額措置や、企業に対する法人税率引き下げの代替財源として急遽廃止案が浮上した事業用の買換え特例については、大綱決定のぎりぎりまで予断を許さない状況でしたが、住宅取得時の初期負担軽減や土地の有効利用促進を図るため、制度の必要性を強力に訴え、なんとか堅持することができました。

 さらに、本会の独自の提言事項である住宅取得資金贈与制度の土地先行取得資金への適用拡大については、住宅取得者のニーズや実態を粘り強く訴えた結果、本会の提言が受け入れられました。これにより各世帯のライフプランや資金状況にあわせた柔軟なマイホーム計画が可能になり、住宅市場の活性化、ひいては景気の浮揚にも繋がると考えます。

 今年は住生活環境の改善を図るため、リフォーム市場の整備や既存住宅流通促進などを通じて、国民に対して良質で安全安心な住宅の提供に資する各種政策提言を行っていくとともに、不動産取引制度と不動産取引所の研究についても引き続き行っていきます。

 次に、一般消費者に対して、不動産に関するさらなる有益な情報を提供する体制が必要であることから、ホームページの内容を充実させ、不動産取引お役立ち情報などを提供していきます。また、全宅連が運営している不動産情報検索サイト「ハトマークサイト」においても、消費者が気軽に利用できる不動産データバンク機能の一環として統計システムを新たに追加する等、今年はさらに内容を充実させていきます。

 また、不動産の情報提供誌「リアルパートナー」を通じて、不動産に関する各種法令改正情報や諸制度の普及啓発を図るとともに、トレンディな情報等、各種情報発信に努めてまいります。

 不動産に係る人材育成についても、宅建業者のみならず不動産に関心のある多様な方々も受講対象とする体制を構築中であります。

 全宅保証においては、一般消費者の保護を図るために、苦情解決業務や弁済業務、手付金等保全業務や研修業務などの実施を通じて、宅地建物取引に係る者の資質の向上を目指します。

 全宅連と全宅保証は、これからも都道府県宅地建物取引業協会や会員業者と連携し、消費者利益の擁護と増進に努め、国民の住生活の向上を目的に邁進していく所存です。

 最後にみなさま方のますますのご繁栄とご健勝をお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

■(社)不動産協会理事長・岩沙弘道氏

 昨年の我が国経済は、前半こそ持ち直しの動きが見られたものの、後半に入り、円高の進行や海外経済の下振れ懸念などから、先行きがやや不透明な状況となった。

 経済の持続的な成長のためには、内需の柱として経済波及効果の高い住宅・都市分野の成長戦略の実現が不可欠である。今年は成長戦略を本格的に実行する年であり、日本の大都市がアジアの拠点としての輝きを取り戻せるよう、今後創設される見込みである「特定都市再生緊急整備地域」や「国際戦略総合特区」制度等を活用しつつ、我々事業者も英知を結集し、高度なビジネス基盤や良好な住環境の整備に全力を挙げて取り組んでいきたい。

 住宅については、リフォームやセカンダリーマーケットの充実と併せて、老朽化したストックの更新等により、良質な新築住宅の供給に一層努め、明るさの見えてきた販売状況を今年こそは着工数の回復に結び付けてまいりたい。

 また、当協会では、昨年を低炭素型まちづくり元年としてアクションプランを策定し、環境への取り組みを加速させたが、今年は、今後予定される省エネ基準の改正を踏まえた数値目標の改訂を行う。民生部門のCo2削減のためには、住宅購入者やテナント等、国民の理解や協力が不可欠である。環境と経済の両立を目指すべく、適宜適切に意見発信に努めるなど、環境への取り組みをさらに進化させたい。

 今年こそは、我が国経済が本格的な回復軌道に乗り、将来に向けた明るさを見出せる年となるように、日本経済の成長と国民生活の向上に向け、業界を挙げて努力をしてまいりたい。

■(社)不動産流通経営協会理事長・大橋正義氏

 昨年閣議決定された「新成長戦略」では、ストック重視の住宅政策への転換促進が謳われ、2020年までに、中古住宅流通市場の規模を倍増させる目標が掲げられました。当協会の既存住宅の流通量(全国)の推計では、2009年の新築住宅の着工実績は78万8,000戸、このうち自己居住用住宅45万3,000戸に対し、既存住宅の流通量推計値は46万件で、量的には新築に匹敵する市場規模まで成長したと言えます。

 そんな中、当協会は昨年「FRKバリューアップモデル」の取り組みを開始しました。売主には「耐震診断」や「建物検査」をしていただき、買主には「リフォーム」情報を提供、売買双方が安心して取引できるこの取り組みを今後更に促進するつもりです。

 日本経済の今年の見通しは不透明ですが、不動産市場は地価下落に歯止めがかかり、低金利・住宅取得促進策等により好調に推移することが期待出来ます。また、日本の不動産業がストック重視の流れになってくるのは間違いのないところであり、当協会も不動産流通の一層の促進に努めてまいりたいと存じます。

■(社)不動産証券化協会理事長・岩沙弘道氏

 我が国経済は、厳しい雇用情勢や世界経済の減速懸念等、先行き不透明感は払拭されていないものの、円高・株安が落ち着きつつあり、資産デフレ脱却の兆しが見え始めた。

 なかでも日本銀行の資産買取りはJリート市場の活性化を促し、12月にはリート指数が1,100を超えるまでに回復した。Jリート市場の回復によりPOやIPOがしやすい環境が整うことで、不動産取引の一層の活性化が見込め、デフレ脱却に向けた道筋として大いに期待できる。

 また、平成23年度税制改正大綱において、当協会が要望した「投資法人等の不動産取得税の軽減措置の延長」、「投資法人の導管性要件における投資口の国内募集割合を50%超とする要件の明確化」が措置されたことは、不動産投資市場の本格的な回復を後押しするもので、高く評価したい。

 本年は、Jリート市場創設10周年にあたり、次の10年に向けた「飛躍の年」としなければならない。そのためには、医療・介護施設や公共サービス施設など運用資産の多様化、不動産証券化商品の魅力を幅広い投資家層にご理解いただく総合的な取組み、国際的に見劣りしない法制面・税制面での市場環境整備が必要である。個人や年金等の国民金融資産が、不動産投資市場を通じ、優良な不動産等に供給され、国民自身が都市再生や地域活性化を支えるという役割を担うと同時に、安定したキャッシュフローを受取るという「好循環」を作り上げていくことが、重要と考える。

 不動産投資市場の発展が、我が国を覆っている閉塞感・不透明感を払拭し、国際競争力を取り戻す起爆剤となると確信している。不動産投資市場が、次の10年で大きく飛躍できるよう、全力で取り組んでまいりたい。

■(社)日本ビルヂング協会連合会会長・髙木丈太郎氏

 新年明けましてあめでとうございます。

 昨今のオフィスビル市場は、ビル賃貸業者の景況感指数から見ますと、過去最悪を記録しました2009年1-3月期に比べ、やや改善したものの、依然マイナス領域にあり、本格回復にはなお時間を要するものと見られます。なかでも、地方都市におきましては、賃料、空室率の面で厳しい状況が続いていると聞きます。また、大都市圏においても立地、建物スケール、経営規模の違いで、空室率の高低がはっきりしてきており、オフィスビル市況はまだら模様の感があります。このように、市場は大変な状況下にありますが、一方で、地球温暖化問題などが浮上、オフィスビルを取り巻く環境は一段と厳しさを増してまいりました。

 そうした中で、連合会は、会員の皆様の経営に資するために、様々な事業に挑戦しているところでありますが、今年は、地球温暖化問題をビル経営における最重要課題の一つとして位置付け、低炭素社会づくり(CO2削減)に取り組んでまいる所存であります。私たちは、昨年8月、「オフィスビル分野における低炭素社会実行計画」を策定致しました。この計画を受けて、連合会では、協会会員企業がそれぞれの役割を果たすべく、「低炭素社会づくり推進キャンペーン」を開催することと致しました。

 まず、2月1日から始まる「省エネルギー月間」の前日の1月31日に、斯界の権威、ビル業界の先駆的実践者をお招きして、講演会、パネルディスカッションを実施します。また、ビルオーナーやビル管理者、テナントがともにCO2削減に取り組むため、「省エネ月間」だけでなく、6月の「環境月間」など国の関連行事と合わせて、集中的なキャンペーン活動を行っていく考えです。こうした活動は、直接的な利益を生むわけでなく、一見迂遠に思われますが、長期的に見れば、会員企業のステータスの向上に繋がるものと確信しており、協力に推進してまいる所存です。

■(社)住宅生産団体連合会会長・樋口武男氏

 新年明けましておめでとうございます。昨年は住団連の活動に対しまして格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。

 昨年の日本経済は緩やかな回復の兆しが見えたものの、行き過ぎた円高、長引くデフレや株安による将来不安が消費活動を阻害し、景気は再び踊り場を迎え、引き続き本年も厳しい年明けとなりました。

 住宅産業界におきましては、平成21年度の新設着工戸数の予想を超える落ち込みに衝撃を受けたものの、贈与税の非課税枠拡大や住宅版エコポイント制度の措置等がきっかけとなり、徐々に回復を見せ始めております。さらにもう一段の回復を期するには、直面する少子高齢化の進行、一次取得層の収入減、資産デフレの継続等の諸課題に解決への道筋が描かれることが必要ではないかと思います。

 現政権になって2年目の昨年は、「登録免許税、印紙税の税率の軽減措置の延長、ならびに、バリアフリーリフォーム、省エネリフォームに対する減税制度の延長」等、今後目指すストック型社会に即した税制改正を行っていただきました。住宅は消費するものではなく資産であるという住宅に対する捉え方が変化するに伴い、消費税のあり方など住宅取得を促進していただける税制の見直しについてのご検討を引き続きお願い申し上げます。

 また一方業界としても国民に住宅は皆で守るべき「社会的資産」であるという考え方を啓発していく活動を継続し、同時にそれに相応しい環境問題に対応した良質な住宅を提供できるよう努力していかなければなりません。

 今年の干支、辛卯(かのとう)には、基本を踏み筋道を立て、断固実行すれば困難を克服し繁栄へと導かれるという意味があるそうです。

 業界をあげて安心・安全という基本に立ち返り、低炭素社会の到来に備えて環境にやさしく、しかも住む方がゆとりある豊かな暮らしを実感できる住環境の実現に努めてまいりたいと思います。

 皆さまにとって本年が素晴らしい一年になりますことを祈念いたしまして年頭の挨拶とさせていただきます。

■(財)日本賃貸住宅管理協会会長・三好 修氏

 新年明けましておめでとうございます。

 当協会は昨年10月、かねて研究していた全国統一の新たな賃料等表示『めやす賃料表示』の運用を開始いたしました。

 これまで賃貸住宅の賃貸借契約にあたっては、全国各地で商慣習が異なり、実際に消費者が入居期間中に支払う費用がわかりにくいこと等から行き違いが発生しておりました。

 めやす賃料表示は一時金等を含め、賃料等条件の改定がないものと仮定して4年間賃借した場合の1ヵ月当たりの金額を、募集チラシや物件情報誌、ウェブ広告などに表示するものです(めやす賃料=『4年間居住時の賃料、共益費・管理費+敷引金+礼金+更新料』÷48ヵ月)。

 全国各地で商慣習等の違いによる賃貸借契約時のトラブルを未然に防止することが目的です。多くの事業者に積極的な参加を呼び掛け、協力をお願いしていきたいと考えております。

■(社)日本増改築産業協会会長・中林幸一氏

 世の中は常に変化しています。この変化と共に歩んで行けばいつでも生きて行ける、更に変化の先頭に立つなら夢も実現できる、と私は確信しています。私達一般社団法人日本増改築産業協会(通称ジェルコ)は、いよいよ私達が大きく必要とされる時代が到来したと捉えています。これからは私達が住宅産業界のリーダーシップを目指すという元気いっぱいの新年を迎えました。縄文弥生の時代からわが国の人口は一時的な減少はあってもずっと増え続けて来ました。特に明治に入ってからその勢いは増し、明治5年に3480万人だった日本の人口は昭和11年には約倍の6925万人、昭和42年には一億人を突破しました。平成19年に1億2779万人とピークを打ち、翌年には初めて減少しました。つまり有史以来増え続けてきた人口が減り続けるという正反対の時代に突入したわけです。加えて新興国が激しい勢いで成長してきた結果、かつてのようなわが国だけが華々しい成長をすることはできなくなり、当然世帯所得は減って来ました。

 このような状況を厳しい苦しいと捉えず、素直に認識し、新しい時代に貢献しよう、時代に合ったビジネスを構築しようと考えれば頭脳は活発に働き工夫が生まれ、気持ちは明るくなります。特に住宅産業の今後は新築住宅主体から既存住宅主体になることは間違いないのですから、基本的な答えは出ています。このような新しい時代に合わせて、私達ジェルコは昨年10月の定期総会で新ジェルコ宣言を自信を持って策定し内外に発表しました。以下はその内容です。

新ジェルコ宣言
一、ジェルコは、安心・安全なリフォーム事業主体の住宅事業者団体として、生活者と快適な住環境を創造します。
一、ジェルコは、リフォーム事業で培った知識・経験を活かし、変わりゆく住宅産業界のリーダーを目指します。

 今までは安心・安全のリフォーム団体を目指す、という内容だったものを、リフォームの枠を出て住宅事業者団体という意識です。ただし最重要なリフォーム事業が主体、ということがポイントです。そして、大きな目標として誕生した意識が住宅産業界のリーダーシップを目指すということです。

 しかし私達だけでは今後の新しい住宅産業界は構築できません。関係する行政機関・諸団体・諸企業・個人等々多くの方々に謙虚な姿勢で指導を仰ぎ協力し合い、共に創って行くという姿勢が肝要と心得ています。貴業界の皆様とも既存住宅主体の住宅産業界の規模を拡大するにはどうしたらよいか、今まで以上に密度濃く共に活動できることを願っています。明るい未来は私達の前に広がり、私達の前向きの行動を両手を広げて待っています。

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