分譲マンション事業の総合コンサルティングを手がける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、2010年のマンション市場を振り返りながら、11年の同市場を予測したレポートを発表した。
同レポートでは、10年のマンション市場を(1)供給戸数、着工数ともに回復、(2)都心回帰の継続、高立地化により分譲価格は上昇、(3)受給バランスの良さで契約率も好調、(4)用地不足が継続、建築費は低水準、(5)好調物件の供給ディベロッパーは、大手・準大手が圧倒的で、中堅・中小の浮上の機会の欠如、などとし、「景気低迷のなか、価格低下や低金利・優遇税制などで販売は好調に推移したが、それ以外はまだまだ課題が多く、厳しい状況が続いた」と分析した。
一方、11年のマンション市場は、供給を10年比1~2割増の4万8,000~5万戸と予測。販売好調を支える要素は継続するものの、エンドユーザーの購買能力とマインドが徐々に低下していることから、「価格面では弱含みの展開となり、7,000万~8,000万円台の商品は、立地等で大きな差別化ができないと苦戦を強いられる」とした。そのほかの市場特性については(1)好立地化の流れは変わらないが、需給バランスの良好な近郊・郊外の事業化は狙い目、(2)建築費低下は続くと思われるが、有利な工事発注をするためにもゼネコンの間口を広げておく必要、(3)大型物件の息切れに注意、(4)マスコミやインターネットの活用、源泉営業など、販売力アップの研究が必要、(5)省エネ・エコの商品企画は、具体的にどのくらい得をするかが差別化ポイント、(6)コンパクト系商品もますます増加するが、差別化や的確なグロス価格設定など冷静な判断が必要、などとした。
同社は、景気の回復に大きな期待ができないなか、11年はエンドユーザーの予算・ランニングコストに対する考え方がワンランク厳しくなり、「マーケットの節約モードに対応した物件づくりか、節約モードを打ち破る魅力的な商品供給のどちらかが求められる難しい年」とした。また、市場規模、ディベロッパーの顔ぶれ、ユーザーニーズ、供給価格、商品構成など「市場の方向性を占ううえで非常に重要な、ディベロッパーにさまざまな点で変革が求められる1年となる」と結んでいる。