不動産ニュース / その他

2011/4/7

将来ビジョンの中間報告発表。アドバイザリーなど業務拡大を指標/鑑定協

 (社)日本不動産鑑定協会は7日、「不動産鑑定業将来ビジョン研究会報告書(中間報告)」を公表、専門誌向けに記者発表した。

 同研究会では、社会経済やニーズの変化に対応するため、1993年7月に「不動産鑑定業ビジョン研究会報告」を、95年8月には「不動産鑑定業ビジョン推進委員会報告」を取りまとめてきた。今般、63年に「不動産鑑定評価制度」が創設されてまもなく50年を迎える節目となることから、新たな「不動産鑑定業将来ビジョン」を策定するため、2009年「不動産鑑定業将来ビジョン研究会」(委員長:河崎広二氏((社)全国公営住宅火災共済機構理事長))を発足。外部の有識者および協会会員によって構成、また、これを支えるための下部組織として、主たるテーマ別に協会会員によって構成するチームを設け、検討を行なってきた。

 今回の中間報告では、「社会に根ざした持続的な不動産鑑定評価制度の確立」の実現をめざし、(1)従来の単一型ビジネスモデルから多様化型ビジネスモデルへの転換、(2)今後業務の拡大が期待される分野への注力(官需から民需へ)、(3)グローバル化への対応、を施策として取り組むべきとした。
 具体的に(1)では、社会ニーズに対応した「不動産鑑定業ビジネスモデル(以下、ビジネスモデル)」として評価(Appraisal)、分析(Analysis)、アドバイザリー(Advisory)の「3A」を提示。(2)の取組みとして、ビジネスモデルのうち、「住宅」「農地」「財務諸表作成」に関する業務、マーケットレポートの発信、物件評価などを実施する売却・購入のアドバイザリーなどに注力していく。(3)は、日本の鑑定評価制度が海外投資家などへの認識は十分ではないことから、英語によるフォーマットの作成や情報発信などを積極的に行ない、日本の鑑定評価制度を東アジアを中心としたデファクト・スタンダードに発展させることをめざす。

 そのほか、中立公平な業務を推進するため、鑑定業者・鑑定士の独立性を侵害する依頼者からの働きかけ(依頼者からのプレッシャー)を退けるための通報制度の創設や、経営者確認書の受領義務、成果報告書への記載事項の追加などを検討。また、サービス業とした報酬制度の見直しや、鑑定評価書のモニタリング制度創設に向けた中立機関の設立などについても話し合っていく。

 同協会副会長の緒方瑞穂氏((株)緒方不動産鑑定事務所)は「近年、鑑定業の市場規模は減少傾向にあり、同ビジョンを策定することで、不動産鑑定業者の経営基盤の安定させる指針を示していきたい」と語った。

 なお、東日本大震災による同ビジョンへの影響はなく、「被災地がある程度落ち着いた頃、従来からの鑑定業として、地銀との融資関係の再評価や仮設住宅用地の取引などに介在していく可能性が考えられる」(同会副会長・新藤延昭氏((財)日本不動産研究所))とし、また、同会では、公益活動の推進として、専門性を生かした行政、他団体などとの連携・協力のもと災害無料相談会の実施などの開催も視野に入れていく。

 同報告書は会員から意見収集後、6月総会時に最終とりまとめを発表する予定。

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