不動産ニュース / 調査・統計データ

2014/9/17

求められるのは、「快適性」と「省エネ性」の両方を備えるZEH/積水化学工業

 積水化学工業(株) 住宅カンパニーと(株)住環境研究所は16日、共同で実施した「太陽光発電システム(以下、PV)+HEMS搭載住宅の住まい方と省エネ意識」調査の結果を発表した。

 同調査は、消費電力と住まい方の関係性を明らかにし、ZEH化(省エネ)のポイントを把握することを目的に調査。調査対象はセキスイハイムのHEMS設置のオール電化&PV搭載邸(2012年12月までの入居者、下記参照)。調査手法は郵送アンケート+HEMSサーバ内のデータ分析(13年1~12月の消費電力量、発電電力量、電力量収支)。調査期間は6月26日~7月14日、有効回答数は711世帯。

 住宅カンパニーが1月に実施した「PV搭載住宅の電力量収支実邸調査」(1,726 件)のうち、次世代省エネルギー地域区分I地域、II地域(北海道、青森県、秋田県、岩手県)および2世帯住宅を除いた単世帯の、延床面積160平方メートル未満の住宅1,000邸に、暮らし方と省エネ意識をアンケート調査したもの。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(以下、ZEH)の達成状況は、家電込みのZEH達成(以下、ZEH(1))が13%、平成25年度ZEH補助金の要件に相当する家電の消費電力を除いたZEH(家電抜き、以下ZEH(2))を含めると、達成率は59%。
 今回の調査では、HEMSデータだけでは把握しきれない、夏季・冬季の過ごし方、夕食後の過ごし方、冷暖房機器の使い方などを、アンケートによる意識調査と照らし合わせ、ユーザーのライフスタイルの違いにまで踏み込んで調査している。

 調査結果では、PV搭載容量は全体では4.87kW。ZEH(1)邸は5.47kW、ZEH(2)邸は4.91kW、非ZEH邸は4.51kWで、ZEH邸のほうがPV搭載容量は多いものの、その差は1kWもない結果が出た。これにより住まい方や少しの暮らしの工夫がZEHを達成できるかに影響するとみられる。

 次に、1月の調査で影響が大きいことが判明した冷暖房の使用状況から見たZEH邸と非ZEH邸を比較。暖房の使用状況を見ると、「在宅時は常に利用している」はZEH(1)邸31%に対し、ZEH(2)邸51%、非ZEH邸68%となった。冷房についても同様に、「在宅時は常に使用している」はZEH邸34%、ZEH(2)邸48%、非ZEH邸58%。
 さらに、ZEH邸は冷暖房だけでなく、保温や風呂の追い炊きをする割合が非ZEH邸に比べて低く、夕食後に家族全員がリビングで過ごす割合が高いなど、照明、給湯についても余分な電気を使わない生活をしていることがわかった。
 また、消費電力が少ない邸が実践している省エネ行動については、冷房が(1)設定温度を28℃以上にする、(2)窓からの日射を遮断する、(3)扇風機やシーリングファンを併用するとなった。暖房については、(1)設定温度を20℃以下とする、(2)補助暖房を使用するなどとなった。こうした結果からも、冷暖房の使用状況がZEH達成に大きく影響することが見て取れる。

 たたし、快適性と省エネ性の優先度の調査では、ZEH邸ほど省エネ優先度は高いものの半数以上が「快適性を優先」させており、住宅カンパニーとしては、今後の商品開発の方向性は「快適重視」か「省エネ重視」ではなく、「快適性を維持しながらのZEHの実現」と分析。また、自動制御、最適制御を行なう機器の導入が必要としながらも、一律にスイッチを切る、冷暖房運転を短くするといった省エネだけではなく、多様なライフスタイルに応じた、自動制御、最適制御を行なうことができる機器の導入など幅広い対応が必要とした。

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