不動産ニュース

2016/1/6

「2016年 年頭挨拶(各社)」【6日分】

 不動産会社および住宅会社各社トップは、仕事始めにあたり、下記のような年頭所感を述べた(順不同)。

東急グループ代表・東京急行電鉄(株)取締役社長 野本弘文氏
オリックス(株)取締役兼代表執行役社長・グループCEO 井上 亮氏
東建コーポレーション(株)代表取締役社長兼会長 左右田 鑑穂氏


■東急グループ代表・東京急行電鉄(株)取締役社長 野本弘文氏

 まずはグループ各社で大きな事故もなく、穏やかに新年を迎えられたことを喜びたいと思います。

 原油・原材料価格の下落や訪日外国人客の急増などにより、企業の業績は改善しつつありますが、米国の「ゼロ金利政策」の解除や、中国をはじめとした新興国の景気減速など、日本経済を下押しするリスクには留意する必要があります。
 グループに関連する産業動向としては、都心部のオフィス空室率の低下と賃料の上昇、訪日外国人の著しい増加などを背景に、大都市を中心に百貨店、ショッピングセンター、ホテルは好調さを維持しています。その一方で、2017年4月の消費増税を見据え、お客さまの消費マインドを高める努力が不可欠です。

 当社および連結子会社では、経営計画の初年度である本年度は、鉄軌道事業やホテル事業の好調により、目標数値の営業利益を達成できる見通しです。グループの中には、中期計画2年目となっている会社もありますが、いずれも順調に進捗しています。
 本年の主なトピックスですが、まず3月31日、数寄屋橋交差点に「東急プラザ銀座」が開業します。東急不動産が開発、運営するこの施設は、「銀座」から「世界」に向けて文化を発信する新たなランドマークです。東急百貨店の新たなセレクトストアや、東急ハンズの新業態が出店するほか、東急文化村との連携による文化イベントを定期的に開催するなど、新たなグループ連携が実現できそうです。国内外からの高い集客力と、渋谷との相乗効果も期待しています。   
 2点目は、電力小売り事業への参入です。昨年10月に設立した東急パワーサプライが、4月1日から東急線沿線を中心に、関東エリアの家庭に向けて、低廉な電力サービスの提供を開始します。グループの各種商品・サービスと連携し、より快適でスマートな暮らしをサポートします。
 3点目は、7月から始まる仙台空港の運営事業です。昨年11月に仙台国際空港株式会社を設立し、グループからは、東急電鉄、東急不動産、東急エージェンシー、東急建設、東急コミュニティーの5社が参画しています。グループの事業ともシナジーがあり、東急建設や世紀東急工業などが取り組んできた、東北の復興支援や活性化へ貢献できるものと考えています。

 最後に、東急電鉄創業100年に当たる2022年の、グループのあるべき姿を示したビジョン「ひとつの東急」についてですが、東急グループは多様な事業を展開しており、各社の経営資源やノウハウ、知恵を掛け合わせることで、独自の事業やサービスを生み出せる可能性が大きい企業集団です。昨年4月に全体開業した「二子玉川ライズ」は、「ひとつの東急」の代表例です。東急電鉄、東急不動産を中心に、事業に関わるグループ会社数は20を超えます。また、「東急プラザ銀座」「電力」「空港」も、最適な形でグループシナジーが揮された事業です。
 東急グループが一つの方向に向かっていく一つの拠り所が「ブランド」です。グループ各社社長の皆さんは、「東急ブランドのお客さまとの約束は何か」、「自社がお客さまに提供する価値は何か」を明確化し、社員への浸透に注力してください。また、ブランドを支えるのはコンプライアンス経営であり、お客さまに選ばれるブランドであり続けるために不可欠であるということを強く認識してください。
 「ひとつの東急」は、各社の自立が前提です。各社の着実な成長がグループ全体の成長を支えます。「自立と共創」が、グループの経営理念の根幹であることを今一度、胸に刻み込んで経営に当たってください。


■オリックス(株)取締役兼代表執行役社長・グループCEO 井上 亮氏

【マクロ環境では慎重経営】
 2016年も昨年と同様、欧州経済の低成長の長期化や原油価格の大幅下落による資源国の経済悪化、中国が次期5ヵ年計画で経済成長率目標を引き下げたことによる影響など、各国の経済成長はバラツキが見られる状況が続くだろう。
 中国が実施した元の切り下げに加え、アメリカの利上げが継続的に実施されれば、新興国から資金がアメリカに逆流し、為替が変動するなど市場のボラティリティがさらに拡大することも考えられるため、オリックスとしても慎重な経営が必要である。

【新しい発想で継続成長】
 2018年3月期に当期純利益3,000億円という中期経営目標に向け今のところ順調な滑り出しである。昨年12月には、フランスの大手空港運営会社であるヴァンシ・エアポートとともに関西エアポート株式会社を設立し、新関西国際空港株式会社との間で関西・大阪(伊丹)両空港の運営に関する実施契約を締結した。空港運営事業を成功させるためには、グループを挙げてのサポートが必要である。また、将来的には、いろいろな事業の民営化が進むものと考えており、コンセッションはオリックスの新規コア事業の一つになり得る分野である。これ以外にも、さまざまな事業分野で新しい発想を取り入れる余地が多く存在し、オリックスはまだまだ成長の可能性を秘めていると確信している。

【完成形はなく、日々進化を】 
 「オリックス」という、世界に類がなく完成形のないビジネスモデルを追求し、常にイノベーションとチャレンジ精神を持ちながら日々変化を続けていくことが重要である。社員一人一人が高いモラルを維持し、社会的価値の向上を求め続けていくことで、「オリックスという唯一の企業集団」へとさらに進化させていく。


■東建コーポレーション(株)代表取締役社長兼会長 左右田 鑑穂氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様にとって幸多き年となりますことをご祈念致します。

 昨年は、都市部における老朽空き家問題の解消を目的とした新商品の販売、及び高齢者人口の増大に伴う高齢者見守り事業の拡大を進めて参りました。

 また、東建グループの新たな取り組みとして、会員制リゾートホテル「ホテル多度温泉 レジデンス新館」がグランドオープン致しました。
 ゴルフ・温泉・健康をテーマとし、高齢者の方をはじめとする幅広いお客様に、別荘のような感覚で、日常では味わえない優雅なリゾートステイをご体感頂けます。

 本年は、これまでに培ったノウハウを活かし、都市部向け商品や高齢者見守り事業の更なる強化を主として、新商品の開発、新規事業への挑戦にも注力して参ります。

 本年も何卒、ご支援ご愛顧賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

※※※
 5日分の「2016年 年頭挨拶」はリンク先参照(業界団体等各社)。

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