(一社)日米不動産協力機構(JARECO)は15日、「JARECOシンポジウム2017 不動産業におけるIoTの未来」を日本大学経済学部(東京都千代田区)で開催、150名が参加した。
シンポジウムでは、日本大学経済学部教授の中川雅之氏が「テクノロジーが都市・不動産に与える影響」をテーマに基調講演。欧米と比較して、日本の不動産流通市場における既存住宅の流通比率が低いと指摘した上で、「既存住宅の取引は、新築住宅の取引に比べかなり多くの情報のやり取りが必要で、取引コストが高い。テクノロジーを導入し情報のストックや伝達の効率を上げられれば、取引コストを引き下げることができる」とした。
また、アメリカでは、不動産流通を促進するためのテクノロジー活用が進み、日本でもVR内覧やAIによる自動査定システムなど、個々の不動産の情報伝達コストを引き下げるテクノロジーの導入は活発になっているとする一方、「不動産事業者すべての情報伝達コストを引き下げる取り組みは、国土交通省の『不動産に係る情報ストックシステムの基本構想』や『全国版空き家バンク』などが進んでいるものの、未だ緒に就いたばかり。今後伸ばしていくべきなのはこの部分」と述べた。
続いて、「コールドウェルバンカー」「ベターホームアンドガーデン」「センチュリー21」「サザビーズインターナショナルリアルティ」等のブランドを所有し、世界で約1万4,100の不動産フランチャイズオフィスを擁する米国のREALGORY社(リオロジー社、本社:ニュージャージー州)のPRESIDENT&CEOのジョン ペイトン氏がゲストとして登壇。「REAL ESTATE:THE FUTURE」をテーマに講演した。
同氏は、「テクノロジーが発達すれば、不動産エージェントの仕事がAIに取って代わられるのではないかという意見もあるが、住宅の売買は非常にプライバシーに関わるものであるため、どんなにインターネットの技術が発達してもその心配はない。一方で、クロージングプロセスのデジタル化を推進し、エージェントの業務負担を軽減、生産性を向上させるテクノロジーは今後伸ばすべき。物件の調査や、その情報の伝達方法もどんどんハイテク化してきている。VRを用いた物件の紹介などの技術に乗り遅れてはいけない」などと話した。