国税庁が3日発表した「平成29年分 路線価」について、業界団体・企業のトップから、以下のようなコメントが発表された（順不同）。
（公社）全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏
（一社）不動産協会 理事長 菰田正信氏
三菱地所（株）執行役社長 吉田淳一氏
平成29年の路線価は、標準宅地の評価基準額の対前年度変動率が、全国平均値で2年連続上昇し、上昇率は前年と比較して0.2％から0.4％へと大きくなった。先に公表された地価公示の結果からも、地価の上昇傾向はゆるやかながら着実に推移しているものと評価している。
また、都道府県庁所在都市の最高路線価は、前年と比較すると僅かながら上昇した都市が増え、横ばい、下落した都市が減少している。最高路線価の変動率からは、地方都市に比べ全国８大都市が高い変動率で推移し、地価の回復傾向の勢いには依然として地域間格差がみられる。
中古住宅流通市場では、景気回復基調や金融緩和策、雇用環境の改善が追い風となり、概ね堅調に推移しているが、来年、各種税制特例措置の多くが適用期限切れを迎える。2019年には消費増税も控えており、足元の堅調な市場を維持するにはこれら税制特例措置の延長は不可欠だ。
また、空き家・既存住宅流通活性化の実効性ある措置として空き家等の報酬を始めとする各種施策を国に大いに期待するとともに、本会としても、不動産最適活用を通じた地域の活性化や、インスペクション・瑕疵保険制度の普及促進による良質なストック形成、既存住宅流通促進に鋭意取り組み、持続的な経済成長に貢献したい。
今回発表された路線価では、全国平均が2年連続で上昇し、上昇率は昨年より大きくなるとともに、地方でも下落率が縮小した地域が多くみられた。こうした動きは、緩やかな経済の回復基調が続く中、都市部のみならず地方においても経済の活性化の芽が徐々に出始めていることが地価に反映されたものであると評価している。
このような状況において、来年度には土地固定資産税の評価替えを迎えるが、デフレからの脱却と持続的な経済成長を実現させるためには、さらなる都市の国際競争力の強化と地方創生の推進が求められ、引き続き企業の生産性向上や都市・地方の活性化に向け負担軽減を図ることが不可欠である。
現在我が国は、人口減少、高齢化などの社会構造の変化や、AI、ＩｏＴ等の新技術の導入によるイノベーションの加速等、重要な転換点にある。我々としても、2020年の東京オリンピック・パラリンピックやその先も見据え、時代を先取りするまちづくりの推進と豊かな住生活の実現に向け、貢献して参りたい。
平成29年の路線価は、全国27都市で最高路線価が上昇し、昭和61年以降、路線価の最高額を更新するなど、都心部を中心に地価の上昇を実感している。
当社オフィスビル事業においても、働き方改革・生産性向上のための統合・集約、立地改善等、事務所の拡張・移転需要により、引き続き空室率が低下し賃料の改善が見られる。
2017年3月末時点の東京・丸の内における事務所空室率は2.42％で、2018年秋竣工予定の「（仮称）丸の内3-2計画」は既に9割のリーシングが完了している。
本年6月に着工、2019年8月竣工予定の「（仮称）新宿南口プロジェクト」も多くの引き合いを受けており、利便性の高い立地における事務所ニーズの強さが感じられる。
地方部中枢都市では、堅調な地元経済によってオフィスマーケットが支えられており、「新広島ビルディング建替計画」はじめ、建て替え案件も進められる環境が整いつつあり、今後も積極的に取り組んでいく。
ホテル関連では、訪日外国人等による旺盛な宿泊需要が継続しており、京都(四条烏丸)・東京(浅草)等で進めている開発事業と、東京(銀座)・大阪(御堂筋)等で進めている「ロイヤルパークホテルズ」としての運営事業の両面から、全国の各都市をターゲットとして新規ホテル出店を加速させている。
住宅事業においては、歴史的な低金利、各種優遇施策の実施、シニア層の買換や共稼ぎ世代の都心居住ニーズ等、需要は引き続き堅調に推移しており、都心部では本年4月下旬に発売を開始した「ザ・パークハウス 白金二丁目タワー」(総戸数172戸／2018年8月引き渡し予定）も順調に販売が進んでいる。
また西日本最高価格住戸を供給した「ザ・パークハウス 京都鴨川御所東」が本年6月の引き渡し前に全戸完売したほか、当社グループ北陸初の分譲マンション「ザ・パークハウス 金沢城公園」は本年7月の販売開始に向け、集客状況も好調である。
