不動産ニュース / その他

2018/3/27

平成30年地価公示、団体トップ等がコメント

 国土交通省が27日に発表した「平成30年地価公示」について、業界団体・企業のトップから以下のようなコメントが発表された(以下、順不同)。

(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏
(公社)全日本不動産協会 理事長 原嶋和利氏
(一社)不動産流通経営協会 理事長 榊 真二氏
(一社)不動産協会 理事長 菰田正信氏
三菱地所(株) 執行役社長 吉田淳一氏
住友不動産(株) 代表取締役社長 仁島浩順氏
東急不動産(株) 代表取締役社長 大隈郁仁氏
野村不動産(株) 代表取締役社長 宮嶋誠一氏
東京建物(株) 代表取締役 社長執行役員 野村 均氏

◆(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏

 平成30年の全国の地価は、全用途平均が3年連続の上昇となり地価の堅調な推移が見て取れる。用途別では住宅地が10年ぶりに上昇に転じ、商業地は三大都市圏、地方四市において上昇基調を強めた。地方圏の全用途平均が26年ぶりに下落を脱し横ばい転じたことは、今後の全国的な地価上昇の広がりに期待できる結果となった。

 本会の不動産総合研究所が、3ヵ月に一度、会員を対象に実施しているDI調査では、実感値で土地の価格指数が平成29年の5.5から平成30年は6.5に上昇、東京オリンピック、パラリンピックが2年後に迫り、マインド的にも着実に上昇気運が拡大していると言えるであろう。

 このような中、本会が中心として実現した空き家等低額物件に係る報酬見直しのほか、平成30年度の税制改正において、買取再販に係る特例措置の敷地への拡充や土地の固定資産税の負担調整措置の延長が認められた。

 いよいよこの4月からは、改正宅建業法の建物状況調査の施行を皮切りに、安心R住宅等の既存住宅流通に安心を与える制度も動き始める。こうした既存住宅流通市場の活性化に向けた諸施策や気運を捉え、我々、中小不動産業者が、地域の既存住宅流通市場を支える要のプレイヤーとして活躍し、地域経済の発展を後押しして行きたい。

◆(公社)全日本不動産協会 理事長 原嶋和利氏

 日本経済は、政府の経済対策等により緩やかな景気回復基調にあり、また、オリンピック・パラリンピックの開催を控える中、平成30年の地価公示は、昨年を上回る回復ぶりを示した。

 特に住宅地では、現在の住宅ローン金利が低水準で推移していることやローン減税を含む住宅支援制度の下支えもあって10年ぶりとなる全国平均での上昇をみた。

 商業地も、引き続き、旺盛な不動産投資環境にあることを強く印象づけた。

 また、これまで下落傾向にあった地方圏の住宅地においても、総じて地価の下げ幅は縮小、改善され、商業地にいたっては上昇した。

 地価上昇の気運が、三大都市圏や一部の地方都市に偏るのではなく、確実に地方圏へと波及していることは大いに歓迎される。

 現在の低金利や不動産融資の増加を背景として、また、2019年10月に行われる消費増税を見越しての増税前の駆け込み需要など、ここしばらく投資意欲・需要が喚起されることを大いに期待したいが、増税後の影響が懸念視される。

 また、現在、少子高齢化・人口減少社会の只中にあって、空き家・空き地が増加傾向にある中、既に多くの住宅ストックが存在し、今後、既存住宅の有効活用の重要性は増すばかりである。

 地方創生に根ざしたまちづくりのあり方を考える上で、特に地方に多い未利用・未活用な不動産ストックが有効的に利活用されることと、地方と都市間での、多様な価値観を持つ若者を中心とした人口交流を容易とする環境の整備がカギとなる。

 本会は各地方、各地域に根ざした不動産業者団体として、国が推し進める土地・住宅政策に対し、地方自治体と連携・協力しつつ、積極的な地域の活性化と「まちづくり事業」への支援を行っていく。

 政府におかれては、引き続き不動産流通市場の活性化並びに土地の利用を促進させる税制をはじめとした政策面での支援をお願いしたい。

◆(一社)不動産流通経営協会 理事長 榊 真二氏

 今回の地価公示は、全国平均では、住宅地が10年ぶりに上昇に転じ、全用途平均は3年連続の上昇となった。三大都市圏では、各圏域・各用途で上昇を示し、地方圏は全用途平均で下落から脱した。住宅地は雇用・所得環境の改善が続く中、低金利等の政策による下支えもあり、商業地は法人等の不動産投資意欲が旺盛であることから、それぞれ上昇基調にあることは地価回復の進展を示すものと評価している。

 東日本不動産流通機構によると、昨年1年間の全物件の成約平均価格は、4%弱のプラスと上昇基調が継続し、取引件数はほぼ前年並みであった。営業の足元では、このところ上昇傾向にあった取引価格にやや落ち着きがみられるが、取引の件数は堅調な状況が継続している。個人実需層の購入ニーズは相変わらず底堅く、また法人による投資需要にも根強さが感じられ、不動産流通市場の動きは総じて堅調と言える。

 今後も、金融緩和の継続や政策効果等により、実需の住宅取得ならびに法人・個人による不動産投資は引き続き活発に推移するとみられ、地価は回復が続くものと思われる。

 わが国の景気回復は6年目を迎え、デフレ脱却に向けて一段の成長が求められている。国の成長戦略では既存住宅流通市場倍増の目標が掲げられ、その施策として、良質な既存住宅が資産として適正に評価される市場整備や、既存住宅を安心して取引できる環境の整備などの取組みが総合的に進められている。当協会は、大手・中堅の不動産流通企業を会員とする団体として、新たな仕組みづくりに関して意見を具申し、また制度の浸透や提案を行うなど、安心で魅力ある不動産流通市場の構築に鋭意取り組んでいく。

◆(一社)不動産協会 理事長 菰田正信氏

 平成30年の地価公示は、全国平均で住宅地が10年ぶりに上昇し、商業地、全用途も3年連続で上昇した。また、地方圏では商業地が26年ぶりに上昇に転じている。緩やかな景気回復が続き、不動産に対する需要が堅調に推移する中、地価回復の動きがより広がりを見せていると評価している。

 我が国経済がデフレからの確実な脱却に向け、極めて重要な局面にある中、こうした地価の回復をより確実なものとし、経済の好循環に向けた成長を加速させるためには、官民総力を挙げて都市・地方ともにさらなる活性化を図るよう政策を総動員することが重要である。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックやその先も見据え、引き続き、大都市の国際競争力強化に向けた都市再生の強力な推進や、豊かな住生活を実現するため、住宅ストックの更新等により良好なストックの形成を図っていくことが不可欠だ。

◆三菱地所(株) 執行役員社長 吉田淳一氏

 平成30年の地価公示は、三大都市圏では住宅地・商業地ともに引き続き上昇するとともに、地方圏では商業地の平均が26年ぶりに上昇に転じ、外国人観光客の増加を背景とした商業地の地価上昇が首都圏だけでなく地方圏にも波及し始めていると感じている。

 当社ビル事業においても、立地改善や、働き方改革・生産性向上の為の集約・拡張移転需要が顕在化し、空室率の低下、賃料の上昇が続いている。旺盛なオフィス需要を受け、2018年3月末時点の東京・丸の内の当社ビルにおける空室率は2%程度となる見込みである。本年10月に開業予定の「丸の内二重橋ビル」は、既に9割超のテナントが決まっている。

 地方圏では、2027年のリニア中央新幹線開通に向けて更に魅力が高まっていく名古屋において、伏見・栄エリアのランドマークとなる超高層ビル「広小路クロスタワー」が本年2月末に竣工し、満室で開業した。堅調な地元経済によってオフィスマーケットが支えられている広島県においても「新広島ビルディング建替計画」が昨年末に着工するなど、中枢都市での建替え案件も出てきている。

 商業地においては、外国人観光客の増加によるホテル需要の高まりに対応する為、「(仮称)大阪島之内ホテル計画」「(仮称)西浅草三丁目ホテル計画」など全国で複数のホテル計画を推進している。本年4月1日より香川県の高松空港の運営をスタートするほか、今般、「ホテル事業部」「空港事業部」を新設し、ホテル開発・運営事業及び空港運営事業への取り組みを強化していく予定である。

 住宅においては、継続する低金利環境や住宅ローン減税等の施策により、駅近など利便性の高い物件の需要は引き続き旺盛で堅調に推移している。個別物件では、首都圏においては「白金」「恵比寿」「三鷹」「朝霞台」「津田沼」等、地方圏においては「神戸」「広島」等の物件が好調な販売状況である。

◆住友不動産(株) 代表取締役社長 仁島浩順氏

 先行き不透明な状況が続きながらも、緩やかな景気回復が進むなか、都市部に加え地方でも再開発や、ホテル開発が進んだ。

 結果、今回の地価調査では、商業地が地方圏でも上昇に転じ、住宅地は引き続き需要堅調となり全国で上昇に転じるなど、総じて持続的な地価の回復基調が強まったものと考える。

◆東急不動産(株) 代表取締役社長 大隈郁仁氏

 今回の地価公示では、全国的に広く緩やかに地価が回復している傾向が明らかになった。三大都市圏で住宅地・商業地ともに上昇が継続していることに加え、地方圏では商業地が26年ぶりに上昇に転じた。全国的にも住宅地が10年ぶりに上昇に転じ、商業地は3年連続で上昇するなど回復基調が続いている。これは景気回復や株価上昇、低金利の継続、外国人観光客の増加などを背景に地価の回復基調が全国に波及しているものと捉えている。

 住宅地については雇用・所得環境の改善や低金利の継続、住宅ローン減税等の政策的支援などにより、利便性の高い地域を中心に地価の回復が進んでいる。都心物件や駅近物件等の特徴ある物件は好調に進捗している一方、「エリアブランド」や「駅までのアクセス」等、物件が持つ個別性により二極化する傾向がみられる。当社は首都圏では赤坂や溜池山王にほど近い『ブランズ永田町』など都心に高額4物件を展開している。一方、関西では利便性の高い地下鉄御堂筋線沿いを中心に開発・販売を進めており、総じて堅調である。

 商業地では雇用・所得情勢の改善が続く中で、オフィスの拡張を目的とした移転増加による空室率の低下が続いており、新規オフィスビルの竣工が相次ぐなかでも空室率は低い状況が続いている。都市中心部の再開発が進むエリアでは繁華性の向上が見られる。外国人観光客の増加などで店舗、ホテルの需要も高止まりしている。当社では銀座の大型商業施設『東急プラザ銀座』が開業2周年を迎えた。オフィスビルの供給量に対し需要が旺盛な渋谷駅周辺では『道玄坂一丁目駅前地区』など当社で3つ、東急グループでは計7つのプロジェクトを推進しており、昨年11月にはスタートアップとの共創を加速するためのインキュベーション施設を開設した。ノルウェー中央銀行とは渋谷を中心とする「広域渋谷圏」の商業施設5物件で共同での保有・運営を始め、浜松町・竹芝エリアでは約20万㎡の大型開発を進めている。物流効率化という社会ニーズに応えるため物流施設は埼玉県や千葉県、大阪府、福岡県で新たに6プロジェクトに着手した。関西では大阪市内でホテルとマンションの複合開発を始めた。

 地方圏は住宅地を含めた全用途平均で26年ぶりに横ばいだった。交通利便性の向上や国内外の観光客が増加しているエリアでは大きく上昇しており、当社も地域特性などを見ながら投資を進めている。グループ会社の東急ステイ㈱は中長期滞在型ホテル『東急ステイ』を2017年秋以降、札幌、京都、博多など地方都市へも展開し始めた。また、リゾート地では投資が活発化しているニセコエリアでスキー場を中心に事業展開している。2018年4月には長野県の軽井沢にヒルトンと、夏には新たに沖縄県でハイアットと組んでホテルを開業するほか、軽井沢では会員制ホテルの開業も予定している。

 今後の地価動向に関しても2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、企業収益の改善や雇用情勢の改善、設備投資への資金流入、資金調達の良好な環境などにより不動産市場は継続して堅調な状態が続くだろう。今後、人口減少や働き方改革等で市場環境が変化するなか、ハードだけでなく当社の幅広い事業領域を生かしたソフトサービスという付加価値付けをして事業展開をする必要があると考えている。

◆野村不動産(株) 代表取締役社長 宮嶋誠一氏

 今回の地価公示では、全国的に地価の回復傾向が明らかとなり、住宅地平均が10年ぶりに上昇、商業地および全用途平均は3年連続上昇となった。特に地方圏では、商業地平均が26年ぶりに上昇、全用途平均でも26年ぶりに横ばいとなっており、全国的に、利便性の高い地域を中心に住宅地の地価が回復していることや、インバウンド需要の増加によりホテルや商業施設等の需要が旺盛であることが要因と考えられる。

 住宅市場に関しては、首都圏における新築分譲マンションの販売価格は引き続き高い水準にあり、特に利便性の高い都心立地や駅周辺再開発等による新築分譲マンションの販売価格は高い水準が継続している。この傾向は、首都圏のみならず近郊部や地方中核都市にも波及が見られる。低金利環境の継続による下支え効果もあり、生活利便性・交通利便性を求める共働き世帯やシニア層による需要が堅調である。当社は、首都圏や関西圏に加え、地方中核都市においても、再開発事業や多機能な都市型コンパクトタウンの開発に積極的に取組み、街づくりを通じて社会に貢献していく。

 オフィスビル市場に関しては、好調な企業業績を反映し、全国の主要都市で空室率の低下傾向は継続している。首都圏の新築ビルでは新規募集も順調に進み、既存ビルでの賃料改定では引き続き上昇傾向がみられるが、マーケットの動向を引き続き注視していく。商業施設に関しては、外国人観光客を始めとする国内外からの来街者の増加が引き続き堅調であり、主要都市の中心部等では、商業施設やホテルの進出意欲は旺盛である。物流施設に関しても、空室率は低下傾向がみられ、先進的な大型物流施設への需要は今後も堅調に推移するものと想定される。当社は、オフィスビル、商業施設、ホテル、物流施設に関しても、引き続き積極的に展開していく。

 地価公示のトレンドは、不動産取引動向を反映したものとなっており、今後も不動産市場の中長期の指標として注視していく。

◆東京建物(株) 代表取締役 社長執行役員 野村 均氏

 今回発表された地価公示も昨年に引き続き全用途平均で上昇となり、住宅地平均については10年ぶりの上昇となった。

 商業地は、インバウドや国内からの来街者増加、再開発等進展による繁華性の向上等を背景に、主要都市中心部での店舗やホテルの進出意欲は根強いものがある。また、オフィスも企業の好調な業績と業容拡大、採用拡大による需要の伸び等もあり、引き続き賃料の緩やかな上昇が見られる。このような収益性の高まりや金融緩和による良好な資金調達環境などから 、国内外投資家の投資意欲は旺盛で 、案件の少なさもあり一部には踏み込んだ価格での取引が見られる。

 当社においては 、昨秋開業した六本木のホテルが高稼働しており 、今年も銀座、浅草での開業を予定している。また 、昨夏、上野駅前で開業した都市型商業ビル (FUNDES)も好調であり、今後銀座や五反田にて同様の施設の開業を予定して いる。

 このような状況から、今後も商業地の地価は堅調に推移するものと見ている。

 一方、住宅地では 、雇用・所得環境の改善や低金利の継続による住宅需要の下支えもあり、特に都心部や駅前 、商業施設近接などを中心に 、利便性が高く特長のある住宅は好調な売れ行きを示している。具体的には 、パワーカップルと呼ばれる共働き世帯の都心マンショ購入や、シニア層による郊外戸建てからの都心部や駅前マンションへの買い替えなど、利便性に着目した動きがより顕在化している。 また、 地方中核都市においても同様で、 当社 が福岡市内で手掛けている西新駅直結のマンション(Brillia Tower西新 )は、 販売を前に相当な反響を頂いている 。

 このような状況から、 住宅地の地価は利便性の高いエリアを中心に、今後も回復傾向が継続するものと思われる。

 当社では、 このような地価の推移や マーケットの変化を注視ししつ、今後も再開発事業や建て替えに積極的取り組み、より安全・安心・快適な街づくりを目指し、地域の発展に貢献していきたい。

この記事の用語

公示地価

地価公示により公示された「標準地」の価格のこと。もっとも代表的な土地評価である地価公示は、地価公示法にもとづき、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月下旬に公表する土地評価である。

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2019/4/10

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場内市場が豊洲へと移転した後も、日本伝統の「食」で外国人観光客などを魅了する築地市場。そこに3月、映像業界向けのクラウドサービスを手掛ける(株)ねこじゃらじが、クリエイター向けのコワーキングスペースをオープンしたという。「食」ならぬ「職」の場としての築地を模索しているようだ。