不動産ニュース / 政策・制度

2018/6/20

国交省、真に人に優しい不動産を議論

 国土交通省は19日、第7回「働き方改革を支える今後の不動産のあり方検討会」(座長:中川雅之日本大学教授)を開催した。

 今回は、前回(第6回)の同検討会で示したとりまとめ案を委員の意見などをもとに修正し、再度案を提示。2030年頃の日本社会が真に豊かさを実感できるようにするための不動産のあり方に係るとりまとめに向けた議論を行なった。

 今回の案では、インターネット等の情報技術の進展により、不動産の供給側、需要側各々で不動産の立地、活用内容の多様化など変化がみられることを的確に捉えた上で今後の不動産のあり方を考えていく必要がある旨を追加した。また、働き方改革については、大手企業の取り組みが先行しているものの、中小企業や地方においても、ITを活用した地方密着型オフィスの設立やテレワーク等の取り組みが進みつつあるとし、今後、さらに強化していく必要があることを付加した。さらに、前回挙がった「これからの不動産のあり方として、どのようなことが達成されると成功といえるのか、その指標として幸福度をKPI(重要業績評価指標)として採用しては」という指摘については、現時点での採用は難しいとして、「真に人に優しい不動産」が普及すると、人々の幸福度がどのように変化していくのか等と合わせて、今後の検討課題にするとした。

 池本洋一委員((株)リクルート住まいカンパニーSUUMO編集長)からは、「『真に人に優しい不動産』の『不動産』とは、どこの範囲までを指しているのか。住宅とオフィスのほか、ホテルや公共施設など、特にどの分野を中心に取り上げているのか明示しては」、「働き手をどうやって増やしていくかが働き方改革の本流。それに対して、不動産では何ができるのか、明確化すべき」などの意見が挙がった。

 井上高志委員((株)LIFULL代表取締役社長)からは、「公共不動産の割合が多くを占めており、廃校になった6,000校のうち5,000校が数年そのままの状態になっている。こうした公共不動産の稼働状況について、どこに何があり、どういう状況かをリスト化・データベース化して、民間が入って有効活用する際に働き方改革につながるように、国交省が政府を主導していくべき」といった意見を述べた。

 首藤若菜委員(立教大学経済学部教授)は、「IT化が進んで場所に関する制約がなくなり、雇用が分散する中で、地方でも、女性・高齢者でも働けるという絵柄は美しいけれど、日本の労働者を雇うとは限らず、地方を飛び越えて海外に行ってしまうのではと危惧している」と指摘した。

 同検討会は今回で最後となり、今後、挙がった意見を反映してとりまとめる。

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テレワーク

働き方のひとつで、情報通信機器等を活用して時間や場所の制約を受けずに柔軟に働く方法をいう。事業所に出勤せずに家で作業する在宅勤務、個人が委託・請負によって作業する在宅ワークなどがあるが、情報通信技術を幅広く活用することが特徴である。 テレワークにおいては、住宅が職場ともなり得る。

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