不動産ニュース / 政策・制度

2018/12/20

長期優良住宅、手続きや維持保全で改善求める

検討会
検討会の様子

 国土交通省は20日、「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」(座長:松村秀一氏[東京大学大学院工学系研究科特任教授])の2回目の会合を開いた。

 同検討会は、2009年6月の制度スタートから10年を迎える長期優良住宅制度に対する評価や課題を整理し、長期優良住宅のさらなる普及に向けた取り組みの方向性を検討する目的で設置された。

 今回の会合では、(一社)住宅生産団体連合会(住団連)、全国建設労働組合総連合(全建総連)、(一社)不動産協会(不動協)、横浜市が、現在の取組状況や課題認識についてそれぞれプレゼンテーションした。

 住団連では、税制優遇等のインセンティブがはっきりしているため、同制度が顧客にも事業者にもメリットのある制度だと評価。一方で、課題も多いと指摘。同制度における「長期使用構造等の措置」を、住宅性能評価方法基準に位置付けることで、手続きの簡素化が図れると提案した。また、維持保全についても維持保全工事にかかる費用の一部を所得税から控除する制度など、維持保全の実効性を高める取り組みが望まれるとした。

 全建総連は、申請手続きの煩雑さが中小工務店の申請の障壁になっていると指摘。また、10年ごとの維持メンテナンスについても、中小工務店が廃業した場合のことを考えると顧客に提案できないなどといった声も紹介。要望として、申請フローの簡略化や、維持メンテナンス対策等を挙げた。

 不動協は共同住宅(分譲マンション)についての実態をプレゼン。認定要件である耐震等級2を取得するには、工事費のアップや住戸の商品企画に悪影響を与えることなどが課題となっているとした。また、既存住宅流通大手へのヒアリングの結果、長期優良住宅が既存住宅流通市場で評価されていないという実態にも懸念を示した。その上で、現状の住戸単位での認定ではなく棟単位での認定や耐震性の基準見直しなどが必要と訴えた。

 横浜市は、手続き面での課題や認定増加に向けた取り組みを紹介。審査の合理化に向けた環境整備や建築主の理解向上などいった点で改善を提案した。

 次回の検討会は19年1月29日に開催する予定。

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長期優良住宅

長期にわたり使用可能な質の高い住宅をいう。その具体的な基準は明確には定まっていないが、単に物理的に長寿命であるだけでなく、ライフスタイルの変化などへの対応、住環境への配慮など、社会的に長寿命であることが必要であるとされる。

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