ミサワホーム(株)は29日、国立研究開発法人宇宙航空開発機構(JAXA)、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所、(株)ミサワホーム総合研究所とともに、南極での実証実験に取り組む「南極移動基地ユニット」を、報道陣に公開した。
4者は、極限環境下での持続可能な住宅システムの構築に取り組んでいる(関連ニュースはこちら)。将来的には宇宙探査への応用も目指していく。
ミサワホームは、持続可能な住宅システムの構築は、将来起こりうる社会や暮らしの変化に対応する「未来住宅」の実現につながるとし、移動しながら生活できる自立移動型「南極移動基地ユニット」を開発。同ユニットは、1基の長さ約6m、幅約2.4m、高さ約3mのコンテナ型。鉄骨ラーメン構造と木質パネルを組み合わせており、断熱・気密性は、同社の技術をベースに、北海道のZEH基準の倍の性能を目指して作った。2つのユニットを現地で組み合わせることで、床面積約33平方メートルの部屋にすることができる。
建築の専門家ではない観測隊員でも組み立てられるよう、簡易化されている他、自然エネルギーの活用として、太陽光発電パネルを壁面に設置。CO2濃度制御と連動した換気システムや換気量の最適化によりエネルギーと熱ロスの削減を図る。また、躯体センサーや周辺環境のモニタリング等を行ない、各データの分析も行なっていく。
2020年2月から、昭和基地で第61次南極地域観測隊による実証実験が行なわれ、機能の検証や今後の課題を抽出する。
会見で同社取締役専務執行役員の作尾徹也氏は、「未来住宅に向けた技術について検証し、フィードバックを繰り返しながら、将来的には宇宙探査へ応用できるところまでもっていきたい」と抱負を述べた。