不動産ニュース / 開発・分譲

2020/2/10

練馬の築89年旧家跡地で分譲プロジェクト

計画地に建つ既存建物。建材や建具はできる限り再利用していく方針だ

 ポラスグループの(株)中央住宅は、築89年の旧家跡地での建売住宅計画「練馬区旭町プロジェクト」(東京都練馬区、総戸数9戸)に着手した。10日、既存建物の前所有者らを集め、「棟下式」を執り行なった。

 同プロジェクトは、都営大江戸線「光が丘」駅から徒歩20分、敷地面積は1,074平方メートル。既存建物の最初の所有者は東京海上保険会社(現・東京海上日動火災保険(株))の取締役会長や貴族院議員を務め、三菱財閥にもつながる実業家・各務鎌吉氏。建物設計を担当したのは数多くのビル設計を手掛けた建築家・木下 益治郎氏。1971年に前所有者に売却。前所有者は2018年に死去、長女が相続したが、管理が困難なことから同社へ売却していた。

 建物は木造2階建ての母屋と離れの2棟、延床面積は423平方メートル。和洋折衷のデザインが特徴的な住宅で、柱や梁に手斧彫りの貼り材が使われるなど、随所に職人の丁寧な仕事が見られる。解体前の建物調査で、天井裏から竣工時の棟札が発見され、歴史的・文化的価値の高い住宅だということが判明した。同社はこれを受けて解体開始を1ヵ月延期し、さらに詳細に調査。これに加えて「解体が決まった建物に感謝する儀式」として「棟下式」を行なっているグループの中央グリーン開発(株)に協力を依頼。前所有者親族、各務氏・木下氏の子孫にも参加を呼び掛けて神事等を実施した。

 12日に建物の解体をスタート。開発に伴い、既存建物の照明器具や建材、建具、庭の置石などはできる限り再利用する。各区画は敷地面積100平方メートル超で、敷地の一角に既存樹のモミジを楽しめるコモンスペースを設置する予定。竣工は10月半ば頃を予定している。

 同社取締役事業部長の金児正治氏は「土地も人も一期一会の出会いが大切。今回、棟下式に前所有者だけでなく施主や設計者の子孫も来てくれた。皆さんの思いを乗せたいい住宅にしていきたい」などと語った。

天井裏から発見された棟札
解体を前に神事等を執り行なう「棟下式」

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