不動産ニュース / 調査・統計データ

2020/9/3

日本の都市特性、総合評価1位は京都市

 (一財)森記念財団 都市戦略研究所は3日、「日本の都市特性評価2020」の結果を公表した。同日、ウェブ形式の会見を開き、同財団理事で明治大学名誉教授の市川宏雄氏が概要を説明した。

 政令指定都市・県庁所在地および人口17万人以上で昼夜間人口比0.9以上の国内109都市と東京23区を対象に、「経済・ビジネス」「文化・交流」「生活・居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野83指標をスコア化し、各都市が持つ特性を数値化した。現実に即した評価とするため、今回より「新規住宅供給の多さ」の判断基準を建築物の棟数から床面積合計に改めるなど、評価方法を一部変更している。

 109都市の合計スコア順位は、1位が京都市(1,211.7)、2位が大阪市(1,188.4)、3位が福岡市(1,161.5)となった。京都市は文化・交流の分野で高い評価を得ており、中でも観光資源の多さで突出した評価を得ている。また、大阪市が子供の医療費支援で評価を上げたほか、宿泊施設の指標でスコアを伸ばして前年より1つ順位を上げた。
 このほか、金沢市(石川県)は合計スコア966.8となり昨年から1つ順位を上げて8位。「文化・交流」分野の評価が高く、イベントの数や発信実績などの評価が高かった。また、熊本市(885.4)は昨年の22位から16位に躍進。子供の医療費支援の対象拡大や刑法犯認知件数の少なさが評価された。

 東京23区では、千代田区(1,412.0)がトップ。2位は港区(1,394.1)、3位は中央区(1,261.8)。千代田区は「経済・ビジネス」「生活・居住」「交通・アクセス」の分野で最も高い評価を得た。

 また今回、調査時期が2020年1~3月で、新型コロナウイルス感染拡大の影響がないことから、影響を想定した再評価も実施。83指標のうち、経済の悪化や訪日外国人の減少、マイクロツーリズム活性化、勤務地の多様化などによる影響が想定される30指標を抽出し、都市や区の特性に応じてスコアの増減率を設定している。

 109都市の再評価では、1~3位の京都市、大阪市、福岡市という順位は変化なし。松本市やつくば市、静岡市などが再評価前よりもスコア・順位とも上昇し、一方で札幌市、広島市、北九州市では共に低下した。
 東京23区では再評価の結果、千代田区が2位に下がって、港区が1位に。また目黒区はスコア・順位ともに上昇した。

 市川氏は、「特徴が際立っている都市が上位にランクインしている。また、都市が持つ力は毎年少しずつ変化しており、今年は大阪の力が上がった。コロナによる移動パターンの変化や働き方の変容をどう受け止めるかは都市によって異なる。地域特性・資源を生かした個性ある取り組みが求められる」などと解説した。

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