(株)三井住友トラスト基礎研究所は6日、「不動産私募ファンドに関する実態調査」(2020年7月)の結果を発表した。国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用している不動産運用会社109社を対象にアンケートした。7~8月に調査し、有効回答数は47社。
20年6月末時点での不動産私募ファンドの市場規模は、運用資産額ベースで21兆1,000億円(前回調査〈19年12月末時点〉比約9,000億円増)と推計。前回調査に続き過去最高額を更新した。増加ペースは9,000億円増加した前回とほぼ同水準を維持しており、新型コロナウイルス感染症拡大の環境下においても国内の市場規模の拡大が継続している。
エクイティ投資家の投資意欲については、「変化はない」(65%)が依然過半を占めるものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から「低くなってきている」(33%)との回答が大幅に増加した。
前回調査からの環境の変化については、「レンダーの検討範囲(エリア・タイプなど)の縮小」(19社)、「基準金利からのスプレッドの拡大」(13社)の回答が多く、「特に変化はない」(12社)を上回った。
コロナの影響により、不動産私募ファンドのデット資金調達環境は全体として悪化傾向にあり、特に対象不動産の属性に応じてレンダーの融資姿勢が厳しくなっていると感じている運用会社が多いと推察される。
今後1年以内のファンド組成については、「ホテル」(4%)、「商業施設」(12%)、「物流施設」(8%)の割合が減少し、「オフィス」(32%)、「住宅」(32%)の選好傾向が鮮明になった。
また、今後注力していきたい物件タイプについては、「ホテル」(7%)、「商業施設」(9%)の割合が減少し、「住宅」(23%)、「物流施設」(26%)が増加した。
新型コロナウイルス感染症拡大後の投資方針については、半数以上が変化があったと回答。「取得価格目線の低下」(95%)、「投資対象の範囲縮小」(82%)、「LTV水準の低下」(80%)などの回答が多数を占め、レンダーの融資態度の厳格化や不動産価格下落に備える運用会社が増加しているとした。