(公社)全国宅地建物取引業協会連合会は26日、第一ホテル東京(東京都港区)で理事会を開催。令和3年度税制改正および土地住宅政策に関する要望事項について報告した。なお、11月4日に開催した自民党宅建議員連盟総会においてすでに提言を行なっている。
重点要望事項として、(1)土地の固定資産税にかかる課税標準の上置き措置および各種税制特例措置の適用期限延長、(2)デジタル化推進を踏まえた不動産取引における書面の電子化およびコロナ対策のための各種給付制度の確実な実施、(3)銀行の不動産仲介業参入および保有不動産の賃貸自由化の断固阻止、の3点を盛り込んだ。
(1)においては、2021年度に控える固定資産税の評価替えの基準が20年1月1日時点の地価であることから、新型コロナウイルス感染症の拡大による企業業績悪化などの影響が反映されておらず、経済回復への足かせとなると指摘。当面の課税標準据え置きを求める。
(2)では、政府が進める各種行政手続き・契約のデジタル化を踏まえ、不動産取引における各種書面の電子化と、それに伴う宅建業法をはじめとした関連法令の整備を求めるほか、コロナ禍におけるテナントに対する家賃支援給付金等の迅速な給付についても盛り込んでいる。
(3)については、債権者という立場の強さや豊富な情報量、高い知名度を持つ銀行が不動産仲介業に参入した場合、中小不動産事業者の死活問題となり、地方経済や雇用を脅かすとして、これらの議論が再浮上した際に断固阻止するべきだとした。
このほか税制では、住宅ローン控除等における築年数要件を撤廃し、特例の対象を1981年6月1日以降に建築確認を受けた物件とすることや、床面積要件を35平方メートル以上に緩和することなどを要望。さらに二地域居住への適用も盛り込んだ。さらに、空き家空き地等を取得した場合の税制特例の創設や、総合的な流通課税の見直しなども求めていく。
政策については、心理的瑕疵にかかるガイドラインの作成、賃貸媒介報酬の見直し、所有者不明土地の流通促進に関連した諸制度整備などを要望した。