不動産ニュース / 政策・制度

2021/1/28

長優住宅・安心R住宅制度見直しへとりまとめ

 社会資本整備審議会住宅宅地分科会と同審議会建築分科会との共管による「既存住宅流通市場活性化のための優良な住宅ストックの形成及び消費者保護の充実に関する小委員会」(委員長:深尾精一氏(首都大学東京名誉教授))は28日、3回目の会合をオンラインで開催。長期優良住宅制度、住宅性能表示制度、住宅瑕疵担保履行制度の改善方策等について、パブリックコメントによる意見募集の結果を踏まえたとりまとめを行ない、両分科会へ報告した。

 とりまとめでは、良質な住宅ストックの形成に向けた長期優良住宅制度の見直しについて、分譲マンションの長期優良住宅認定については住宅の維持保全を行なう管理組合が住棟単位で認定を受けることができるようにすべきとし、耐震性等の認定基準の合理化や、賃貸共同住宅の認定を増やすための基準の設定を検討すべきとした。
 既存住宅については、一定の性能を有するものについては、増改築を行なわず維持保全計画のみでも認定が取得できる制度を創設すべきとしたほか、流通時に住宅取得者が受けられるインセンティブを検討すべきとした。住宅性能評価と長期使用構造等の確認の一体審査や、土砂災害特別警戒区域など災害の危険性が特に高いエリアでは長期優良住宅認定を原則として認めない等も盛り込んだ。

 既存住宅の円滑な取引環境の整備については、標章付与件数が伸び悩む「安心R住宅」制度について、消費者および事業者への周知と併せ、既存住宅の個人間取引の商流になじみやすい制度への改善、利用者へのインセンティブについて検討し、さらなる普及を図るべきとした。2号保険(既存住宅売買瑕疵保険、リフォーム瑕疵保険など)の活用を広めるための検査方法の多様化や住宅履歴情報の活用、既存住宅状況調査との連携強化や、既存住宅状況調査、瑕疵保険の現場検査、フラット35物件検査など既存住宅に係る検査の効率化・合理化等も盛り込んだ。

 また、住宅紛争処理制度等の消費者保護の充実について、既存住宅が住宅紛争処理の対象となっていないことから、2号保険に加入した既存住宅を住宅紛争処理の対象に追加すべきとした。

 国土交通省は同とりまとめでの提言を具体化する「住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」を今国会に提出する。会合で挨拶した住宅局長の和田信貴氏は「2月上旬の閣議決定を目指し、作業を進めている」とコメントした。

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長期優良住宅

長期にわたり使用可能な質の高い住宅をいう。その具体的な基準は明確には定まっていないが、単に物理的に長寿命であるだけでなく、ライフスタイルの変化などへの対応、住環境への配慮など、社会的に長寿命であることが必要であるとされる。

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