大和ハウス工業(株)は、日本で初めてISO 19650-1およびISO 19650-2に基づいた「設計と建設のためのBIM BSI Kitemark(カイトマーク)」の認証をBSI(英国規格協会)の日本法人・BSIグループジャパン(株)より受けた。2月11日付。
建設業界ではデジタル化が急速に進んでおり、プロジェクトの開始から建設物の廃棄までのプロセスを、ビッグデータやIoT、クラウド、BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)などを駆使して、効率的に管理する手法が各社で用いられている。BIMは、デジタルモデリングを使用して、初期設計から建設、保守、最終的に廃棄に至るまで、建設資産のライフサイクル全体にわたる情報管理の仕組み。3次元の仮想建設環境(共通データ環境)において、エンジニアや所有者、建築家、請負業者間とのコラボレーションを可能とし、効率的な情報共有が可能となる。
ISO 19650は、BIMを使用して建設された資産のライフサイクル全体にわたって情報管理を行なうための国際規格。ISO 19650-1(2018)は、「BIMを使用した情報マネジメント:概念及び原則」、ISO 19650-2(18)は、「同:資産のデリバリーフェーズ」を指す。「BIM BSI Kitemark」は、ISO 19650-1およびISO 19650-2に定義された実践コードに基づき評価し、設計および建設段階の業界における世界基準を証明する。
大和ハウス工業は、2017年にBIMを導入し、設計部門において21年3月までに完全BIMに移行する予定。日本では、具体的にBIMの内容を評価する指針がないことから、ISO 19650に基づく認証取得に踏み切った。同社が国土交通省から採択され、事業のスタート時期を迎えていた「令和2年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化連携事業」において、昨年11~12月に審査を受けた。同社が仮想物件の設計部門の元請受託組織として、発注者や受託組織との情報マネジメントをISO 19650-2によって実施した。
24日開催の記者会見で、同社上席執行役員建設デジタル推進担当の南川陽信氏は「設計施工で独自に展開してきたBIMの取り組みが、国際的な基準に合致しているかを確認することで、国際競争力のあるBIMを構築したいと考えた。ISO 19650がBIMによる業務プロセス改革につながるものだと感じている」と述べた。同社では「施工」「維持管理」の分野でもBIMを進めており、今後、同分野における認証取得も行なっていきたい考え。