不動産ニュース / 政策・制度

2021/2/25

ニューノーマルでは都市アセットの活用を

 国土交通省は22日、第5回「デジタル化の急速な進展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会」(座長:出口 敦東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻教授)をWeb会議にて開催。中間とりまとめ案(骨子)について意見交換を行なった。

 同案では、新型コロナ危機を契機に生じた変化として、在宅勤務・テレワークの急速な進展、自宅での活動時間の増加など、人々の活動様式が大きく変化していると報告。また、働き方や暮らし方の価値観も変化・多様化し、ワークライフバランスの重視やゆとりある屋外空間や住居周辺のワークスペースへのニーズの高まり等についても触れている。

 また、都市政策の課題についても整理。近年は整備された施設・都市インフラをいかに利用するかが議論にテーマになっていると指摘した。こうした変化や多様化する人々の意識・価値観に迅速かつ的確に応えるため、同検討会では、官民の既存ストックのうち、利活用が都市生活の質や都市活動の利便性向上に資するものを「都市アセット」と称し、その利活用を通じた都市政策のあり方を主な討論の対象としてきた。

 「今後の都市政策のあり方」の方向性として、“人間中心・市民目線のまちづくりの深化/機動的なまちづくりの実現”や“都市アセットの利活用”が重要とし、そのためには、「多様な主体による持続的な推進体制」や「まちづくりを評価する指標のあり方」等の検討を推進すべきとした。また、都市アセットの利活用や都市サービスの創出をはじめ、まちづくりの構想・計画、都市空間の整備、住民との合意形成、モニタリング・評価などまちづくりの各段階に都市活動データを取り入れていくことが有効な手段の一つだとして、こうしたデータの取集・管理・利用についてのルールづくり等の必要についても指摘した。

 委員からは、「多様性やダイバーシティの視点も取り入れたい」「東京都では人口の転出超過が続くなど、新しいデータが出てきている。そうした動きも頭に入れつつ議論していく必要がある」「まちに人を運ぶには交通手段が必要だが、駐車場問題など課題も多い。デジタルテクノロジーで快適性をあげることが可能なのでは」といった意見が挙げられた。

 座長の出口氏は「さまざまな意見が挙がり、課題等も見えたので、これらをすでに進んでいる土地政策にも反映してほしい。最終とりまとめに向けて、多様性や創造性といった視点を取り込んでいきたい」と述べた。3月22日開催の次回会合でとりまとめを公表する予定。

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