三井不動産(株)は8日、3月に竣工した賃貸ラボ&オフィス事業「三井のラボ&オフィス」の「三井リンクラボ新木場1」(東京都江東区)を報道陣に公開した。
同事業は、本格的なウェットラボ(創薬や再生医療等の研究者が液体や気体等を使った実験が可能なラボ)とデスクワークができるオフィスが一体化した施設の賃貸事業。2016年よりライフサイエンス領域のイノベーション促進のために取り組む「場の整備」、および(一社)ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)と連携して行なう「コミュニティの構築」の一環となるもの。都心で展開する「都心近接型」、アカデミアや研究施設、先端医療施設等の近接地に展開する「シーズ近接型」ほか、海外での展開も計画する。
「三井リンクラボ新木場1」は、20年1月に稼働した「三井リンクラボ葛西」に続く都心近接型第2弾で、初の新築ラボ施設となる。東京メトロ、JR「新木場」駅徒歩11分、都心や羽田空港などへのアクセスに優れる立地。敷地面積3,300.06平方メートル、6階建て、延床面積1万1,169.77平方メートル、総貸付面積7,867.25 平方メートル。
専有部は、1フロア約1,600平方メートルで最大14分割も可能としており、最小約110平方メートルから対応する。各区画ごとに貸室内へ直接給排水・給排気・都市ガスなどを配管できる設備バルコニーを設置。実験専用の排気ダクト、空調室外機等の増設スペース等も用意している。
共用部は、1階にデッキテラス併設のコミュニケーションラウンジやカフェを設置したほか、入居テナントとLINK-J会員専用の最大100人収容可能な会議室も用意。エントランス近くにキッチンカー専用の駐車スペースも設けた。
一般的なオフィスと異なり、実際の施設を確認した上で成約に至るケースも多く、現時点での入居率は6~7割程度。異業種から参入したAI/バイオ技術を活用した予防ヘルスケアサービスに関する研究を手掛けるNECソリューションイノベータ(株)や、バイオ基盤技術製品の製造を手掛ける大学発スタートアップ、医薬品開発業務を受託し臨床開発等を行なうCRO企業等、さまざまなライフサイエンス領域のプレイヤーが集積する。
今後は、21年11月に「シーズ近接型」の「(仮称)三井リンクラボ柏の葉」が竣工し、新木場エリアでも23年春竣工予定の2棟目を計画。23年には国内4棟体制となる予定。海外については米国・ボストンで21年中に竣工する施設の開発を推進しており、今後もボストンや西海岸エリアで展開していく予定。
会見した同社取締役専務執行役員の植田 俊氏は、「このラボ&オフィス事業は、不動産の新しいアセットクラスという位置付け。今回の施設は、賃貸型、都心型のラボとして日本で初めての施設となるが、認知されればされるほどこうした施設の需要は高まると考えている。開発のペースを速め、供給することで需要を顕在化していきたい」などと抱負を述べた。