日鉄興和不動産(株)は16日、同社が分譲する新築マンションの購入検討・申し込み手続きすべてがウェブ上でできるオンラインストア「sumune for LIVIO」のサービスを開始した。
24時間365日、購入検討から申し込み手続きまでをオンラインで可能にするシステムを開発。さらにオンラインとすることでモデルルーム費用、人件費、広告費が削減できることから、申し込み金を一律10万円とするなど、余剰分を顧客に還元し、初期費用を軽減する仕組みを導入した。
分譲マンションの供給戸数を順調に増やしている一方で、同社は自社・グループ内ともに住宅販売リソースを保有していない上、マンション販売会社では受託規模を縮小させる傾向にある。そうした状況から、ユーザーニーズの多様化に対応すると共に、マンション販売の新たな手法を構築することを目指した。
同サービスでは、従来はモデルルームへの来場者に配布している物件資料など、マンション購入検討に必要な情報が、会員登録不要でいつでもウェブ上で閲覧可能。対象物件の全販売住戸がVR内覧でき、カスタマイズや住宅ローン、管理費等の諸費用など購入時のシミュレート機能も利用できる。購入申し込み手続きについては、20分程度の個人情報やクレジットカード情報の入力後、申し込み金10万円をネット決済する。その後は本人確認、専用アプリによる住宅ローン審査が行なわれ、申し込みが最終確定した段階で、同アプリで契約~引き渡しまでをサポートする。コンシェルジュのサポートや、ビデオチャット等、ユーザーの不安や不明点を解消するサービスも提供し、オンラインだけでは不安なユーザーに対しては、コンセプトルームの見学も可能とする。
また、会員登録により、物件価格や諸費用の支払いに利用可能な100万円相当のポイントを一律で付与。申込金一律10万円と合わせて購入のハードルを低下させた。
資本業務提携しているITシステム会社アルサーガパートナーズ(株)(東京都渋谷区、代表取締役CEO/CTO:小俣泰明氏)がシステムを開発。オンライン上での住宅ローン手続きに関しては、同じく業務提携するiYell(株)(東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:窪田光洋氏)が、sumune専用に開発した住宅ローン手続き専用スマートフォンアプリ「sumune ダンドリ」を提供する。
サービス開始時は販売中の5物件、1LDK住戸のみを対象とするが、今後は、ファミリータイプを含めた取り扱い物件の拡充、関西エリアを含むエリア拡大のほか、電子契約手続きへの対応、住戸申し込みに係る抽選機能等さまざまな機能アップデートも計画。また、sumuneと連携した新たな展示・接客スタイルのマンションギャラリーの開設も予定している。
同日会見した同社常務取締役の猪狩甲隆氏は「販売部隊を持っていない当社は、“攻めのDX”に賭けたい。高額な不動産は人の手を介して購入するという、お客さまの価値観を変えるようなサービスを構築して、新たな販売手法をつくっていきたい」などと意気込みを語った。