不動産ニュース / 政策・制度

2021/7/20

25年度にも新築住宅の省エネ基準適合義務化

 国土交通省は20日、経済産業省、環境省と合同で進める「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」(座長:田辺新一早稲田大学創造理工学部建築学科教授)の5回目の会合を開催。とりまとめ案を発表した。

 とりまとめ案では、住宅・建築物の省エネの目指すべき姿を明確にした。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、関連する技術開発の進展等と合わせ、省エネ対策を徹底。ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能を有するストックの蓄積を図る。その実現に向け、30年における新築の住宅・建築物は平均でZEH・ZEBの実現を目指すことを明記した。30年度以降に新築される住宅については、ZEHの強化外皮基準に適合させるとともに、再生可能エネルギーを考慮しない設計一次エネルギー消費量を現行の省エネ基準値から20%削減するとした。

 新築住宅の省エネ対策の強化を段階的に推進。22年度に補助制度における省エネ基準適合要件化、ZEH等や省エネ改修に対する支援の継続・充実、中小事業者の断熱施工の実地訓練を含めた技術力向上の取り組みを実施。23年度より、フラット35における省エネ基準適合要件化、建築物省エネ法に基づく誘導基準等の引き上げ、分譲マンションに係る住宅トップランナー基準の設定(BEI=0.9・省エネ基準の外皮基準)を進める。

 24年度には新築住宅の販売・賃貸時における省エネ性能表示の施行、既存住宅の省エネ性能表示の試行を実施。25年度には住宅の省エネ基準への適合義務化、住宅トップランナー基準の見直し(注文戸建住宅BEI=0.75、それ以外BEI=0.8、いずれも強化外皮基準)を実施。併せて誘導基準等の引き上げも行なう。これらにより、省エネ量を新築で253万kL、改修で91万kLを目指す。

 再エネ・未利用エネルギーの利用拡大に向けては、太陽光発電設備について、50年において住宅・建築物には設置されていることが一般的となることを目指し、設置を促進するとしたほか、太陽熱・地中熱の利用、バイオマスの活用などにも言及した。

 委員からは「50年のカーボンニュートラル実現は非常に高い目標数値であることから、この省エネ対策のスケジュールや数値目標では、かなり低い設定になる。今回のとりまとめでは、実現可能な範囲にとどめるのか、高い目標を目指すのか、明確にすべき」「世界の住宅性能と比較すればZEHの水準でも高いとは言えない。さらにその上の基準を目指すこと、そしてその内容についても明確に示すべき」「省エネだけの取り組みだけでいいのか。再エネ・創エネについての取り組み、中でも太陽光発電設置については、明確化すべきではないか」など、厳しい意見が多く挙がった。

 本来は今回で最後の会合の予定だったが、さらなる議論が必要とし、座長判断で6回目の会合の開催を決定。次回は今回の意見を踏まえて修正した案をさらに検討する。

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外皮熱性能

建築物のエネルギー消費性能を評価するときの評価指標のひとつで、室内外の温度差による熱損失量をいう。この数値が小さいほど省エネの程度は大きい。

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