不動産ニュース / 開発・分譲

2021/8/10

ナイス、FC町田ゼルビアのクラブハウス上棟

建設中のクラブハウス。外壁が切れている部分が2層吹き抜けのエントランスホール。手前方向に木造屋根がせり上がる「跳ね屋根」
2階部分。鉄骨の梁の上部に垂木とCLT野地板が見える
テラス席部分。庇が最大3.5m張り出し、CLTと垂木もあらわしとなる

 ナイス(株)は、同社が施工したJリーグ「FC町田ゼルビア」のクラブハウス(東京都町田市)の上棟に伴い、6日、関係者に公開した。

 同施設は、小田急線「鶴川」駅バス9分の大規模住宅地「鶴川緑山住宅」に隣接するグラウンドで、2019年から計画が進められてきたもの。隈研吾建築都市設計事務所が設計監理で参画。土地は町田市から賃借。建物は鉄骨造・木造のハイブリッド構造の2階建て。建築面積は約1,100平方メートル、延床面積は約1,770平方メートル。クラブ事務所、トレーニングルーム、食堂、テラスなどで構成する。工費は非開示。

 当初はオール木造での建設を予定していたが、木造耐火建築物とすると耐火被覆等でコストアップとなるため、ハイブリッド構造へ変更した。主要部は、鉄骨造のラーメン構造。屋根の野地板に鳥取県産のCLTを約34立方メートル使用。垂木も「TJIジョイスト」と呼ばれる木造複合構造部材を使用している。

 エントランスホールや2階テラスの方向に向け屋根が高くなる「跳ね屋根」としており、木造の屋根は跳ね出し梁により最大3.5m外周に跳ね出している。2階のテラス席は防鳥ネットを介しグラウンドに開放。エントランスホールも2層吹き抜けのガラス張りとして、グラウンドピッチに視線が抜けるよう設計している。また、テラス席とホールの上部は、垂木をケヤキの小枝のようにデザイン。耐火被覆せずあらわしとしている。

 同日会見したFC町田ゼルビアを運営する(株)ゼルビア代表取締役の大友健寿氏は「当クラブは現在、J2でプレーしているが、J1に昇格するには1万5,000人収容のホームスタジアムと天然芝のピッチ・クラブハウスを持つことが条件となる。他のチームにはないデザインのクラブハウスを持ちたかったが、コスト面での厳しい制約があった。ナイスさんと隈研吾建築都市設計事務所さんの工夫とチャレンジにより、来シーズンより素晴らしいクラブハウスを運用することができることに感謝したい。選手はもちろん、クラブ社員も気持ちが変わってくる」と謝意を述べた。

 設計監理を手掛けた同事務所代表取締役の横尾 実氏は「既製品をうまく使うなど、コストを抑えながらできる限り良いものを作ろうと、ナイスさんと運命共同体で頑張ってきた。グラウンドや周囲の自然環境を取り込めるよう配慮した」などと語った。

クラブハウス完成予想図

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CLT

木材板を積層接着した厚型のパネル。英語のCross Laminated Timberの略で、和訳は「直交集成板」である。 CLTは、板の層を繊維方向が直交するように交互に張り合わせたもので、高い寸法安定性、優れた断熱性があるほか、CLTを柱や梁とする構造は軽量で耐震強度を確保できるとされている。

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