シービーアールイー(株)(CBRE)は10月29日、2021年第3四半期の物流施設市場動向を発表した。
首都圏(200棟)の大型マルチテナント型物流施設の空室率は、2.6%(前期比1.1ポイント上昇)となった。空室率が2%台となるのは、19年第3四半期以来。今期の新規供給は5棟・約18万坪で、5棟のうち3棟が空室を残して竣工したことが、空室率上昇の主因。物流企業のほか複数の小売業、製造業などに需要が見られたが、既存物件でまとまった面積の二次空室が発生した。今後は、大量の新規供給を控え、物件の選別傾向が一層進むと予測している。
エリア別では、東京ベイエリアの空室率が0.2%(同0.7ポイント低下)で、新規供給はなく小規模な空室の消化が進んだ。外環道エリアは1.3%と横ばい。国道16号エリアは3.2%(同1.4ポイント上昇)、圏央道エリアは2.1%(同1.4ポイント上昇)と、いずれも上昇した。
1坪当たりの実質賃料は4,470円で横ばい。新規供給物件のうち3棟が賃料水準の低い圏央道エリアで竣工したことに起因している。賃料の動きにも格差が現れ始めており、上昇傾向が持続している地域もあれば、天井感のある地域も見られる。
近畿圏(60棟)の空室率は1.6%(同0.1ポイント低下)。今後の開発計画は周辺部が中心で、すでに複数物件でテナント内定が進んでおり、22年の新規供給は21年の2割にとどまることから、空室率は低水準で推移するとしている。実質賃料は4,100円(同1.2%上昇)。今後の供給が少ない地域で上昇したほか、空室が約1万坪まで減少した湾岸部でも一部の物件で賃料が上昇した。
中部圏(29棟)の空室率は7.9%(同1.4ポイント上昇)。今期竣工の1棟が空室を残して竣工したことが、空室率上昇の主因。実質賃料は3,590円で横ばい。中心部では長期間空室がないため賃料がじわじわと上昇しているが、賃料水準の低い郊外物件が加わったことにより、前期から変動はなかった。