(株)ザイマックス不動産総合研究所は7日、「東京賃貸オフィスビル市場における修繕費の将来予測」(2022年)を発表した。東京23区に所在する、延床面積300坪以上、主な用途を事務所とする物件9,519棟が対象。賃貸オフィスビルの各年の修繕費をビルごとに算出し、性能維持工事・共用部改修(バリューアップ工事)・原状回復工事に分類、集計した。
22年から61年までの40年間の東京23区賃貸オフィスビルの修繕費は、おおよそ年間4,000億~5,000億円の間で推移すると予測。22年からの20年間は年間4,500億円を上回る水準だが、それ以降は設備の更新や改修で対応していたビルの建て替えが進み、修繕費は徐々に減少へと転じるとした。
規模別での修繕費の将来予測については、大規模ビル(延床面積5,000坪以上)の修繕費が、どの年においても中小規模ビル(延床面積300坪以上5,000坪未満)を大きく上回ると予測。また、22年時点で、大規模ビルの平均築年数が中小規模ビルと比較して若いことから、今後築古化が進むにつれ大規模な工事が断続的に発生するため、大規模ビルの修繕費は一定の水準で推移していくと見ている。一方、中小規模ビルは、22年で平均築年数が約33年と全体的に築古化しており、今後は順次建て替えが進むと予測した。
同社は、「修繕費は設備の更新サイクルに合わせて増加、減少を繰り返しながらも、築古化したビルの建て替えが進むことで長期的には減少傾向となる」としている。