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2022/7/25

家賃債務保証、賃借人の過半が「満足」

 (公財)日本賃貸住宅管理協会・家賃債務保証事業者協議会は22日、令和4年度第1回定例会を対面とオンラインのハイブリッド形式で開催した。

 定例会では、国土交通省住宅局安心居住推進課課長補佐の巽 弘樹氏が、家賃債務保証業者登録制度の現況について報告した。同省が行なった管理会社への調査では、家賃債務保証業者を利用するケースが80%(2020年度調査:80%)と前年同水準。賃借人の家賃債務保証会社に対する満足度を聞いたところ、55.3%が「満足」「まあ満足」と、過半がおおむね満足と回答した。また、賃貸人が連帯保証人・家賃債務保証会社に求める役割については、「家賃滞納のリスク負担」にとどまらず、「原状回復費用のリスク負担」「残置物処理費用のリスク負担」「緊急連絡先」など多岐にわたっている。

 全国の消費生活センター等が受けた苦情・相談件数は、10年度の727件をピークに、17年度以降は500件台で推移。20年度は497件と500件を下回った。過去大きな割合を占めていた「求償関係」「保証料・支払金額」は減少傾向。一方、「契約時説明不十分」「連帯保証人と保証業者の二重保証」の割合は徐々に高まりつつある。

 日管協総合研究所主任相談員の鈴木一男氏は、家賃債務保証に関する相談業務について紹介。同研究所に寄せられた相談件数1,832件(21年4月~22年3月)のうち、家賃債務保証に関する相談は46件(全体の2.5%)だった。昨年度比約1.9ポイント減となり、「自主ルールが守られている表れではないか」と話した。相談に見る傾向として、同氏は「相談者が保証委託契約の内容を十分に理解していないことによる事例も多い」とし、「借り主への丁寧な契約内容の説明が求められる。個社ごとに相談窓口を設け、さまざまな相談に対して柔軟に対応することが大切」とアドバイスした。

 ことぶき法律事務所弁護士の亀井英樹氏は、今年度改定した「業務適正化に係る自主ルール」やコンプライアンスの重要性を分かりやすく解説。求償権の行使については判例を用いて詳しく説明し、あらためて細則の確認も行なった。
 (一社)家財整理相談窓口代表理事の神野俊幸氏は、「残置物処理の最前線 現場実務のリアルな現状と課題」をテーマに講演。生前・遺品・空き家整理、特殊清掃サービス事業者が年々増加傾向にある一方で、「適正価格で的確な作業ができる事業者が少ない」とし、事業者の選定にあたっては「担当者の顔が見えるか、見積額の根拠を明確にしているか、必要な許認可を取得しているかに注意を払うことが、良い事業者を見分けるポイントとなる」と話した。

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家賃債務保証

住宅の賃貸借契約に当たって、家賃債務を担保するために求められる保証をいう。連帯保証人を立てる方法が一般的であるが、それに代わって、家賃滞納の場合に一時的に立替え払いするサービス(家賃債務保証サービス)が活用されることもある。

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