シービーアールイー(株)(CBRE)は26日、2022年第3四半期の全国13都市オフィスビル市場動向調査の結果を発表した。
オールグレード(延床面積1,000坪以上、新耐震準拠)ビルの空室率は、東京が4.9%(前期比0.6ポイント上昇)。新築ビルが空室を残して竣工したことが主因。企業のコスト意識の高まりを背景に、新築ビルよりも、立地やグレードに対し割安感のある既存ビルが先行して空室を消化した。オールグレード賃料は、1坪当たり2万1,490円(同0.4%下落)。
グレードA(オフィスが集積するエリアの貸室総面積6,500坪以上、延床面積1万坪以上、基準階面積350坪(東京500坪)以上、築年数概ね15年未満)の空室率は3.8%(同1.7ポイント上昇)。坪賃料は3万4,750円(同0.3%下落)と、23年の大量供給を控え、競合となる大型ビルを中心にテナント確保のための賃料調整が続いている。
大阪は、空室率3.5%(同比0.3ポイント低下)。グレードBを中心に、拡張移転や館内増床などで空室が消化され、全体の空室率を押し下げた。坪賃料は1万4,180円(同0.1%下落)で、引き続きグレードを問わず募集賃料が2万円を超えるビルでは引き合いは鈍い。そのため空室を抱える高額帯のビルを中心に賃料が引き下げられている。
グレードA空室率は4.7%(同0.4ポイント上昇)、賃料は2万4,450円(同0.8%下落)。コロナ禍以降、グレードを問わず募集賃料が2万円を超えると、テナント候補からの引き合いが鈍くなる状況に変わりはない。空室を抱える高額帯のビルを中心に賃料を引き下げる動きが続いている。
名古屋のオールグレード空室率は5.8%(同0.4ポイント上昇)と、オフィスの集約や減床が空室率上昇の主因。中小型で、賃料が市場全体の平均並み(1万円台半ば)のビルの需要は引き続き堅調だった。坪賃料は1万3,780円(同0.1%下落)で、空室を抱える高額帯のビルを中心に、募集賃料を引き下げる動きが散見された。
グレードAは空室率が8.5%(同0.5ポイント上昇)、坪賃料は2万6,800円(同0.9%下落)。グレードを問わず、空室を抱える高額帯のビルを中心に募集賃料を引き下げる動きが見られた。
地方都市のオールグレード空室率は、10都市中5都市で対前期比上昇、4都市で低下、1都市で横ばい。空室率が上昇した都市では、いずれも新規供給が上昇の主因。オールグレード賃料は10都市中6都市で対前期比下落、3都市で上昇、1都市で横ばい。トップレントのビルや、相場に比べて割高感のあるビルで賃料が引き下げられている。