国土交通省は22日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会の「空き家対策小委員会」(委員長:中川雅之日本大学経済学部教授)の2回目の会合を開いた。
空き家の発生抑制や利活用、適切な管理・除却に向けた取り組みの強化等、空き家政策のあり方を検討している。今回は、地方公共団体、不動産関係団体、民間事業者、NPO法人から空き家対策に関する取り組みについてヒアリングした。
前橋市は、「特定空家等以外の空家等の所有者への助言・指導」「所有者不明な空家等に係る緊急応急措置」といった特措法に規定されていない内容を条例に規定。独自に管理不全の空き家等の対策を実施している。建築住宅課に「前橋市空家利活用センター」を設定し、担当職員によって住民からの空き家相談も受け付けている。
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会は、空き家を取り扱う会員事業者に向け、管理マニュアルの策定。全国で空き家ビジネスを実践する各事業者の事例報告、次世代の空き家ビジネスモデルの情報発信等、会員の空き家ビジネスに係るツールや情報提供を展開している。また、空き家対策に関して全国の宅建協会が811自治体とで協定を結び、相談会の開催、空き家相談員の派遣等を行なっている。(公社)全日本不動産協会は、群馬県本部が展開する各自治体の空き家相談会への相談員の派遣状況やその実績等について説明。他団体と連携することで、開催回数や場所の増加を図っている。
これまで全国の31エリアで、地域内の複数の空き家を宿泊施設や飲食店等として活用し、まち全体をホテルとして機能させる事業等を手掛ける(株)NOTEは、プロジェクトごとに複数の空き家を集約してマネジメントする地域まちづくり会社を設立することがポイントになるとした。まちづくり会社が物件の開発を担うことで、買い主・借り主のリスクが軽減され、経済循環が生まれているという。
NPO法人ふるさと福井サポートセンターは、主催する空き家の所有者と購入希望者のマッチングツアーにおいて、所有者が売りに出す決断ができるよう丁寧にアドバイスすること、空き家のある集落(町内会レベル)に向けて随時情報を提供すること、移住希望者へ田舎暮らし方等に問題がないかどうかヒアリングを行なうことなどがポイントになるとした。マッチングの成功事例が増えると、集落が自主的に空き家ゼロに向けて活動を行なうようになるほか、所有者も早期に手放す決断ができるようになる。
また、各団体から空き家に関する事業・活動を通じて見えた課題解消に向けて、「空き家所有者情報の外部提供ガイドラインの考え方を基本としつつ、住宅等ストック流通の担い手である宅地建物取引事業者に対して、一定のルールのもと固定資産税を基にした所有者情報を開示できる仕組みの構築が必要」「既存物件の利活用促進に向けては、リフォーム工事の消費税非課税措置等が求められる」「相続人不存在の空き家が増加していることから、相続財産管理人制度を義務化してはどうか」等の要望が発表された。
中川委員長は「空き家問題は深刻化する前の“川上”から対応していかなくてはいけない。利活用等にあたっては、対象とするモノ、中心となるヒトを明確にする必要がある。全体をコーディネートする人が重要になるが、行政だけが担う必要はない」などと統括した。次回は、12月22日に開催。とりまとめの方向性ついて検討する予定。