ザイマックス不動産総合研究所は20日、「1人あたりオフィス面積調査(2022年)」結果を発表した。
同社は、企業におけるオフィスの利用実態を把握するため08年から継続した調査を行なっているが、コロナ禍でテレワークが普及し、オフィス利用人数と在籍人数が急激に乖離しつつある状況で「1人当たりオフィス面積」の捉え方を見直す必要に迫られた。そこで、「出社率」という新たな要素も考慮し、「<在籍>1人当たりオフィス面積」および「<出社>1人当たりオフィス面積」それぞれについて分析した。
調査対象は、東京23区のオフィスビルに入居する一般事務用用途テナント。<在籍>は9,865テナント(08~22年延べ数)、<出社>は973テナント(21・22年延べ数)。調査対象テナントの賃借面積を利用人数で割った値の中央値を計算している。
22年の<在籍>1人当たりオフィス面積の中央値は3.66坪(前年度比0.11坪減)と、過去最少に。<出社>1人当たりオフィス面積は4.88坪(同0.37坪減)と、昨年度から大きく減少した。<在籍>と比べ<出社>1人当たり面積が大きい背景としては、コロナ禍による出社制限やテレワークにより、出社率が低下したことが挙げられる。
同社は、<在籍>1人当たりオフィス面積の減少の背景として、ハイブリッドワークを推進する一環としてフリーアドレスの導入やメインオフィスの縮小(面積減)があると分析。また、メインオフィス以外に働く場所を分散させようとした動きがあったほか、企業の景況感の改善などを背景に新規採用の強化による人員増が挙げられるとした。
一方、<出社>1人当たりオフィス面積を減少させる背景としては、緊急事態宣言の終了や、出社制限の緩和などにより、従業員がオフィスに戻る動きが強まり、出社人数が増加したことが考えらえると考察している。
<在籍>と<出社>に大きな差があったことから、従来の在籍人数に基づいて整備されたオフィスでは、出社率の低下に伴いオフィススペースに余剰が生じている可能性が明らかとなった。同社は、今後も企業の出社施策やオフィス面積の調整などにより、1人当たりオフィス面積は徐々に変化していくだろうと見ている。