不動産ニュース / 開発・分譲

2023/8/1

大和ハ、マンション事業は高付加価値戦略へ転換

 大和ハウス工業(株)は7月31日、報道陣を対象に「マンション事業計画説明会」を開き、今年度以降のマンション事業戦略を明らかにした。

 説明に当たった同社執行役員マンション事業本部長の富樫紀夫氏は「マンション用地の価格上昇は常軌を逸しているし、建設費や人件費も下がる見込みはない。お客さまに選ばれるための付加価値をいかにして実現するか。量的な拡大ではなく、グループの総合力を生かした高付加価値物件の供給に絞り、土地仕入れや事業を吟味していく」などと語った。

 具体的には、開発期間はかかるものの高い収益性が見込める再開発や建て替え、複合開発に注力する。再開発に関しては、関連部署をマンション事業本部から本社部門へ移し、商業施設部門、ホテル部門等とも連携してグループ総力で取り組む。現在、全国で21件の再開発事業に取り組んでおり「地元の富裕層を取り込めているほか、札幌駅前の再開発では、道外の契約者が43%に達している」(富樫氏)とした。

 建て替えについては、これまで手掛けた7案件の実績を起点に、需要の掘り起こしを図る。複合開発は、建築、環境、不動産、生活全般にわたるグループの事業領域を連携し、郊外や地方都市で不動産価値の高い分譲マンションを開発していく方針。環境配慮については、国の各種助成制度を活用しながら2024年度以降販売するマンションすべてをZEH-M仕様としていく。

 このほか、コロナ禍を経て表出した新たなニーズに対応した事業として、既築建物再生事業、ホテルコンド(民泊)事業などをあげた。「既築建物再生事業は、従来の法人投資家だけでなく、個人投資家からの反響が増えている。ホテルコンドは、4年前ニセコで始めた。札幌や沖縄の分譲マンション購入者の7割は本州在住者で、『使わない時収益となる商品を考えてほしい』という声が挙がっていたこともあり、北海道・沖縄で展開していく」(同氏)。

 グループのマンション事業(大和ハウス工業(海外含む)、(株)コスモスイニシア、大和ライフネクスト(株))の数値目標については、23年度は売上高4,300億円(前年度比11.2%減)、営業利益210億円(同48.5%減)、営業利益率4.9%(同3.5ポイント減)となるが、高付加価値戦略により26年度の売上高4,000億円、営業利益250億円、営業利益率6.3%を目指す。なお、同社単体のマンション供給実績(22年)は、2,022戸(首都圏495戸・近畿圏569戸・その他958戸)、23年は1,900戸(首都圏550戸・近畿圏450戸・その他900戸)を見込む。

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