不動産情報サービスのアットホーム(株)は24日、38回目となる「地場の不動産仲介業における景況感調査」(2023年4~6月期)の結果を発表した。北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアにおいて、前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出(「50」が前年並み)。同社加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて不動産仲介業に携わる不動産店の経営者層が対象。調査期間は23年6月12~26日。有効回答数は1,896店。分析はアットホームラボ(株)。
当期の賃貸仲介の業況DIは、首都圏が50.0(前期比4.8ポイント下落)。繁忙期で業況が大きく改善した前期からは下落したものの、前年同期比は9期連続のプラスとなり、好調を維持した。近畿圏は47.0(同2.2ポイント下落)で、首都圏同様に反動で下げたが、前年同期比では5期連続のプラスとなり、回復傾向を維持している。
全国14エリア中、10エリアで前期比下落するも、前年同期比では9エリアがプラスとなった。首都圏では千葉県を除く4エリアで下落したものの、千葉県と東京23区でDI=50を超えたほか、他の3エリアもDI=40 台後半にとどまるなど堅調さを維持した。
売買仲介の業況DIは、首都圏が47.2(同2.3ポイント上昇)と2期連続で上昇。近畿圏は44.2(同0.6ポイント下落)と2期連続で下落した。小幅な動きが継続し、堅調さを維持。14エリア中9エリアで前期比上昇、前年同期比では10エリアでプラスとなったものの、全体的には横ばい傾向のエリアが多かった。全国的には「エンドユーザーより買取、建売事業者、事業者買取案件の募集が多く感じられる」(東京都稲城市)など、不動産事業者の動きが活発化しているという声が多く聞かれたという。
23年7~9月期の見通しDIは、賃貸が首都圏47.7(今期比2.3ポイント下落)、近畿圏48.0(同1.0ポイント上昇)とやや低下するとの予想ながらも高水準を維持。14エリア中、DIが上昇するとの見通しは5エリア、9エリアでマイナスが見込まれている。売買仲介については首都圏44.4(同2.8ポイント下落)、近畿圏42.7(同1.5ポイント下落)と下落が見込まれている。見通しDIは4エリアで上昇、9エリアでマイナス、1エリアで横ばいの見込み。
分析を担当したアットホームラボ(株)執行役員データマーケティング部部長の磐前淳子氏は、「水際対策の解除に伴うインバウンド需要の拡大は、外国人からの問合せ増加だけでなく、繁華街や観光地における貸店舗の開業や拠点追加、従業員の住まい探しなど賃貸分野全般の活性化につながった。一方売買は、特に都心では投資目的の取引が旺盛。個人よりも不動産事業者との取引が多かった等の声も目立ち、売買の業況を支える要因に変化が現れつつある」と分析した。