不動産ニュース / 政策・制度

2023/12/14

国土審土地政策分科会、土地施策の現状を評価

 国土交通省は14日、国土審議会土地政策分科会企画部会(部会長:中井検裕東京工業大学特命教授)の会合を開き、土地基本方針に関連する各施策の現状について評価し、それを踏まえた土地政策の方向性や今後の対応について意見交換した。

 各施策の中で、「所有者不明土地問題」に対する措置が特に課題として指摘された。例えば、「地域福利増進事業の裁定件数」は令和9年10月の目標に対して、令和5年10月時点で1件の実績。また地籍調査の優先実施地域での進捗率が、令和12年3月の目標87%が、10月時点で80%。一方、都市のコンパクト化推進については、立地適正化計画を策定した市町村数が令和7年3月の目標600市町村に対して令和5年3月では504市町村に達しているほか、低未利用地への新規投資については、令和7年度約280億円の目標に対して令和4年度に604億3,000万円の新規投資実績が挙がるなどの結果が示された。

 こうした状況を受け、土地政策において目指すべき方向性としては、「最適な土地利用への転換」「適正な管理の確保」「土地の流動性確保」といった政策課題に対して、DXやGX、グリーンインフラなどといった社会的な要請についても新たに取り組み、人材育成や円滑な資金調達環境の確保といった基盤的な施策に取り組んでいくことで、「サステナブル」な土地利用・管理の実現を目指すことを打ち出した。

 その上で、次期土地基本方針において新たに記載が想定される事項について、「最適な土地利用への転換・適正な管理の確保」という観点では「空き家・空き地、所有者不明土地対策」「環境:気候変動への対応」「防災・減災:災害リスクへの対応」などを掲げた。また、「人材・担い手の確保」という観点では、「地域における宅地建物取引士の確保」などといった事項も想定に盛り込んだ。

 参加委員からは「所有者不明土地に関する施策がいろいろ取り組まれているのは理解しているが、それらの実績を実際に上げていくことがが最大の課題ではないか」「今後、マンション建て替えが増えていく中で、マンションの所有者不明化という問題も出てくるはず」「住宅だけでなく、病院や産業も含めた立地誘導などの地震対策に関する施策が求められる」などの意見が挙がった。

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