不動産ニュース / 調査・統計データ

2024/2/16

実務者の9割超が「おとり物件は業界の課題」

調査結果を発表するLIFULLの加藤氏

 (株)LIFULLは15日、「『おとり物件』に対する不動産会社の対応実態調査&消費者への認識調査」の結果を発表した。

 おとり物件とは、不動産ポータルサイトなどに入居者募集の広告が掲載されているものの、実際には存在しない物件、存在するが取引対象にならないか取引の意思がない物件と定義される。掲載が故意か過失かは関係ない。(公社)首都圏不動産公正取引協議会の2022年度の調査では、おとり物件の件数は126件で、前年度比68%減となっている。

 同社は、不動産仲介業務担当者を対象に、23年12月14日~24年1月9日にインターネットで調査を実施。379人から有効回答を得た。おとり物件を業界の課題として認識しているのは93.2%。一方「おとり物件をサイトに掲載してしまわないよう対策を行なっているか」では、「対策を行なっていない」または「対策は行なっているが、不十分である」が32.7%に上った。また、半数以上が広告取り下げまでに1日以上を要しており、その要因には人手不足や人為的ミス、DX化が進んでいないなどが挙げられた。さらに、おとり物件の掲載が発生しやすいのは2~3月と、不動産会社の繁忙期と重なることも分かった。

 消費者への調査は、24年1月12~16日に全国の17~49歳の男女を対象にインターネット上で行ない、有効回答数は2万5,021人。「成約した物件は一般的に不動産会社が不動産ポータルサイトから手動で削除していることを知っていたか」の問いに対し、「明確に認知している」人の割合は12.1%にとどまった。

 今回の調査結果についてLIFULL HOME’S事業本部のエグゼクティブアドバイザー・加藤哲哉氏は「業界としては、おとり広告をなくしていこうという意識もあり、以前に比べるとかなり減ってきている。そうは言っても、ユーザーのおとり物件の遭遇率は5割。まだまだ改善しなければいけない」と指摘。「DX化を進めたいけれど、お金もマンパワーもないという地場の会社が多くある。今後は業界の枠を超えて、管理会社、仲介会社、ポータルサイトがデジタルで、リアルタイムで情報をやり取りして募集中の物件しか掲載されていないというのをやっていく必要がある」と話した。

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おとり広告

実際には取引できない物件の広告のことで、客寄せのためにする。架空の物件、売却済みの物件、売主に取引の意思がない物件などの広告はすべてこれに当たる。そのような広告を出すことは宅地建物取引業法に違反し、また、不動産公正取引協議会の不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)で禁止されている。

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