(一社)不動産協会は29日、第350回理事会を開催。「成長型経済に資するまちづくりを促す政策要望」を決定した。
同協会では、建築費の高騰や、再開発をはじめとするまちづくりへの民間投資の停滞が、都市機能の高度化および社会課題の解決、持続的な経済成長の実現に向けた阻害要因になることを強く懸念。こうした観点から、税財政や規制改革の一体的な取り組みに関する要望を、環境政策、都市政策、住宅政策、税制改正、物流政策の計5項目でまとめている。
環境政策では、「ZEH・ZEB水準」への取り組みを加速。ネイチャーポジティブやサーキュラーエコノミーといった新たな課題への対応や、「未評価技術」を含む新技術の早期かつ柔軟な評価反映の実現、オンサイト再エネ設置の円滑かつ有効性向上に資する環境整備、中高層建築物における木材利用の加速化に向けた要望などを盛り込んだ。
都市政策では、急激かつ大幅な工事費の高騰や働き方改革による工期の長期化等の影響を踏まえ、魅力的な都市の形成に向け、都市のレジリエンス強化やまちづくりGX・DXを推進。多様な機能の集積による国際競争力強化に向けた取り組みなどについて、支援を要望していく。
住宅政策では、良質な住宅ストック形成と多様な社会ニーズへの対応として、旧耐震マンションを対象とした耐震診断の義務化や長期優良住宅の普及促進、二地域居住の推進に向けた住宅ローン減税といった支援措置などを求めていく。
その他、まちづくりにおけるGX・DXの推進加速やイノベーション創出を実現するための支援措置の延長・創設、中継物流拠点開発に資する規制緩和、補助などについての要望を盛り込んだ。
理事長の吉田淳一氏は、「要望事項はどれも重要なもの。状況を見極めながら、一つひとつについて、機動的に判断しながら要望していきたい」と述べた。