JLLとラサール インベストメント マネージメントは5日、「2024年版グローバル不動産透明度インデックス」を公表した。両社が世界の不動産市場に関する情報を収集し、各市場の透明度を数値化。2年に1度公表しており、今回が第13版となる。世界89ヵ国・151都市を対象に、256項目を6つのサブインデックスで分析した。
透明度ランク「高」「中高」「中」「中低」「低」のカテゴリに分けた「高」の上位国は、1位英国(総合スコア1.24)、2位フランス(1.26)、3位米国(1.34)。アジア太平洋地域の透明度改善が顕著で、特にインドが金融当局の介入による新たな気候変動リスク開示ガイドライン、土地登記のデジタル化などの制度化が進み、総合スコア2.44、透明度「中高」にランクインと、透明度が著しく改善した。またシンガポールは、サステナビリティやデジタルサービスの改善により透明度「高」市場入りしした。
日本は透明度「高」を維持し、11位にランクイン。20年版の16位、22年版の12位からさらに順位を上げた。サブインデックスでは、「サステナビリティ」(1.91)でフランスに次ぐ2位の評価に。「パフォーマンス測定」(1.59)は7位、「規制と法制度」(1.47)は12位と上位に入ったが、「市場ファンダメンタルズ」「上場法人のガバナンス」「取引プロセス」での透明度は低いと評価され、20位圏外だった。
同社によると、過去2年間で世界の商業用不動産直接投資の80%超となる1.2兆米ドル超の投資が透明度「高」の市場に投資されており、透明度の向上が投資促進に直結すると説明。日本の透明度をさらに向上させるための課題として、詳細な不動産取引データの開示や、上場法人による株主に向けたオープンなガバナンスと説明責任、日本独自の賃貸借契約や共益費の情報開示などが必要と指摘した。JLL日本リサーチシニアディレクターの大東雄人氏は、「賃料に共益費が含まれていて内訳が開示されていないというのは、日本の商慣習ではしばしば見かけるが、グローバルでは『不透明』となる」と述べ、こうした商慣習についても改善していくことで透明度が高まり、より多くの投資資金を呼び込むことにつながる、と語った。