不動産情報サービスのアットホーム(株)は30日、「TSMCの熊本県進出に伴う工場周辺エリアの家賃動向」に関する調査結果を発表した。
2021年10月、台湾の半導体受託製造の大手TSMCが熊本県菊陽町に工場進出を発表して以来、同町および大津町・合志市など周辺エリアの地価が大幅に上昇した。そこで、同社の不動産情報サイトに登録・公開された熊本県内の居住用賃貸マンション・アパートの家賃変化について、進出発表前の同年1~3月と24年1~3月の家賃を比較。シングル向け(30平方メートル以下)・ファミリー向け(50~70平方メートル)それぞれの面積帯で調査した。
TSMC工場周辺の賃貸マンション家賃上昇率は、シングル向けが、菊陽町+23.6%(平均家賃4万9,900円、21年同期比9,522円増)、大津町+36.7%(同5万9,333円、同1万5,940円増)、合志市+16.0%(同4万1,000円、同5,667円増)。熊本市平均は+0.8%(同4万1,669円、同326円増)、熊本県平均は+1.1%(同4万1,634円、同461円増)。
ファミリー向けは、菊陽町+23.1%(同8万1,429円、同1万5,283円増)、大津町+11.8%(同7万3,615円、同7,761円増)、合志市+2.3%(同6万1,883円、同1,409円増)。熊本市平均は+8.4%(同7万3,421円、同5,688円増)、熊本県平均は+6.9%(同7万316円、同4,554円増)。
菊陽町と大津町では、シングル向け・ファミリー向けともに2桁の上昇率となった。両町の平均家賃は熊本市より高い。
賃貸アパートの家賃上昇率は、シングル向けが、菊陽町+16.8%(同4万7,369円、同6,811円増)、大津町+24.2%(同5万1,385円、同1万2円増)、合志市+8.7%(同4万409円、同3,231円増)。熊本市平均は+4.9%(同3万8,098円、同1,786円増)、熊本県平均+6.2%(同3万9,018円、同2,261円増)。
ファミリー向けは、菊陽町+13.6%(同6万8,450円、同8,216円増)、大津町+5.7%(同6万1,750円、同3,341円増)、合志市+8.1%(同6万290円、同4,506円増)。熊本市平均は+4.9%(同6万2,958円、同2,942円増)、熊本県平均は+4.2%(同6万120円、同2,421円増)。
アパートの家賃上昇率は、合志市を含む工場周辺エリアすべてで熊本市を上回った。
また、工場周辺エリアの家賃上昇率は、マンション・アパート共に、シングル向けがファミリー向けを上回る結果に。同調査を調査・分析したアットホームラボ(株)は、「シングル向けの上昇率がファミリー向けを上回ったのは、関連企業を含む従業員や工事関係者など単身者のニーズが高まったことによるもの」としている。TSMCは第1工場に隣接する第2工場の建設も発表。工場周辺エリアでは新築物件の建設が続いており、地元不動産会社からは「供給過多」、中でも築20年を超える物件の空室増加を懸念する声が聞かれている。