(独)都市再生機構(UR都市機構)は31日、イイノホール(東京都千代田区)にて「令和6年度 URひと・まち・くらしシンポジウム」を開催した。
今回のテーマは「防災とまちづくり」。開催に当たり、同機構理事長の石田 優氏が挨拶し、「近年は災害が頻発しており、“防災まちづくり”という視点がますます重要となっている。当機構がこれまで復興支援に携わってきたノウハウを自治体と共有し、たくさんの方に防災まちづくりへの関心を高め、理解を深めていただければ。今後も“人が輝くまちづくりに不可欠な存在”であり続け、安心・安全なまちづくりに寄与していく」と話した。
基調講演では、国立大学法人東京大学生産技術研究所教授の加藤孝明氏が登壇。「防災のパラダイム変化」をテーマに、防災を基軸とした総合的な地域づくりについての取り組みを披露した。防災まちづくりに取り組む際には、「防災“も”まちづくりと考え、防災だけでは取り組みにくいことを理解し、防災の推進力と持続性を高めること。また、災害への備えを日常に織り込み、他の地域課題と合わせて総合的に考えることが重要」と話し、実現のためのキーワードとして「総合性」「内発性」「自律発展性」「市民先行・行政後追い」「多様性+緩やかな連携」を挙げた。
引き続き、加藤氏をモデレーターに、徳島県美波町町長の影治信良氏、静岡県伊豆市市長の菊地 豊氏、土肥温泉旅館協同組合理事長の野毛貴登氏、同機構災害対応支援部部長の山下昌宏氏がパネルディスカッションを実施。防災にまつわる取り組みをそれぞれ紹介した。
「災害に対しては、準備が9割、自助7割、共助2割、公助1割と心得ておく。自分の命は自分で守るということを共通認識として持つことが大切」(影治氏)、「地震の“注意情報”と“警戒情報”とでは対応が異なる。その違いをいざというときのために把握しておくことが大切」(菊地氏)、「“観光防災まちづくり”として、災害時や災害が予想されるとき、宿泊施設を避難所として利用できるよう伊豆市と協定を締結している」(野毛氏)などとコメントした。
また、同機構の取り組みとして、「災害対応」「流域治水支援」「地区防災計画をきっかけとしたコミュニティづくり」「公園・広場を活用した災害に強いまちづくり」の4事業について報告がなされた。
同シンポジウムの内容は、11月7~22日まで登録制によるアーカイブ配信、12月末までYouTube配信を行なう。