(公財)日本賃貸住宅管理協会は8日、2023年度(23年4月~24年3月)の賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」を発表した。今回で28回目。同協会会員へのアンケートを基に業況判断指数(DI値)を算出している。回答者数は699社。
同期のDI値は、「成約件数」が20.9(22年度調査16.2)。「成約賃料」も23.6(同13.2)と、いずれも前年度から大幅上昇となった。成約賃料の1R~1DKは13.9(同3.8)、1LDK~2LDKは23.3(同14.5)、2LDK~は22.8(同15.7)と、どの間取りにおいても上昇している。「入居者からの条件交渉」では、「賃料」が5.0(同10.5)、「礼金・フリーレント」が10.4(同14.9)と下降。入居時・退去時トラブルは、いずれも下降した。
「成約件数」は、全国では「増加」比率が5割弱(47.4%)となった。いずれのエリアにおいても「増加」比率が高く、「コロナの5類変更もあり、全国的に賃貸市場は引き続き活性化している」と考察。「成約賃料」については、全体では「増加」比率が約5割(50.6%)。首都圏で全体の「増加」比率(61.9%)が6割以上を占め、1LDK以上の「増加」比率は5割を超えた。成約賃料の上昇要因として、賃貸需要増とインフレの影響を挙げている。
「管理物件の仕入れ」については、全体では「増加」比率(43.0%)と「変化なし」比率(45.1%)がそれぞれ4割以上。関西圏とその他エリアにおいて、既存戸数の「増加」比率が高く、5割以上を占めた。
「新規管理物件受託時の条件」では、「入居者募集・仲介」が75.0%と最も高く、管理戸数が多いほど割合が高くなっている。「管理報酬」69.3%、「建物管理対応」54.7%、「入居者対応」44.9%と続いた。サブリースについては「借上料率」が79.0%と突出して高い。
「管理報酬」のボリュームゾーンは、全国では「5%」が66.6%。サブリースの「借上料率」は「85~89%」33.2%だった。「入居率」をみると、全国で委託管理物件は94.2%(同94.0)、サブリース物件では97.0(同97.3)。
「平均居住期間」については、単身の平均居住期間が3年3ヵ月、ファミリーの平均は5年3ヵ月。
「オーナーからの更新時の条件交渉」では、全国での賃料の「増加」比率は3割弱(29.2%)。特に首都圏では4割以上(41.8%)と高くなっている。更新料は「減少」が19.4%と「増加」(4.4%)より高い結果に。賃貸市場の活況やインフレ、公租公課の上昇、利回り低下により賃料値上げ交渉が増加したと分析した。
今回新設した「住宅確保要配慮者の成約件数」については、全国で高齢者の「増加」比率が3割弱(27.2%)。外国人は約4割(39.9%)と高くなった。エリア別にみると、首都圏・関西圏で外国人の「増加」比率が高いが、その他エリアでは高齢者の「増加」比率が高い。全般的に管理会社、貸し主の中で住宅確保要配慮者の受入意識が徐々に醸成されてきたと考察している。