不動産ニュース / 政策・制度

2024/11/15

内閣府、「重要土地等調査法」の周知活動スタート

「届出の着実な実施をお願いしたい」と述べた内閣府・岸川氏

 内閣府は11月から「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(重要土地等調査法)」の届出制度に関し、業界団体等に制度説明を行なった上で意見交換する「キャラバン」を、神奈川県からスタート。7日には(公社)全日本不動産協会神奈川県本部、15日には(公社)神奈川県宅地建物取引業協会にて、役員らとの意見交換を行なった。

 同法は、国境離島や防衛施設周辺等の土地の所有・利用について安全保障上の懸念があることから、関係府省による情報収集など状況把握しやすくする目的で2022年9月20日に施行された。同法で定められた「注視区域」「特別注視区域」においては、国が区域内の土地等利用状況を調査し、重要施設等の機能を阻害する行為が認められた場合に土地等の利用者に対して機能阻害行為等の中止等を勧告・命令できる。

 特別注視区域内の面積200平方メートル以上の土地等の所有権移転等の契約を行なう場合には同法に基づく国への売り主・買い主による契約前の届出(不動産事業者による代理申請可能)が定められている。今回、内閣府では、該当の取引を行なう場合に重要事項説明によって届出の必要性を取引相手に伝えることの周知について業界団体を通じて要請。「キャラバン」と称して特別注視区域を多く抱える自治体の業界団体を中心に意見交換を行なっていくこととした。

 キャラバンでは、各団体に対して意見交換の趣旨説明を行なった上で、同法の概要を説明する業界向け動画などを投影した上で、意見交換を実施した。

 両団体での説明会冒頭、内閣府の大臣官房審議官(重要土地担当)の岸川仁和氏が「全国に583ヵ所の区域指定を行ない、神奈川県には、注視区域が12ヵ所そのうち2ヵ所が特別注視区域と位置付けられています。現在、全国で区域内の土地利用等の状況について実態把握に努めているという状況です。特別注視区域における届出制度は重要事項説明の内容にも位置付けられています。着実な実施をお願いしたい。われわれも、これを機に不動産業界の皆さんといい関係を築きたい」と挨拶した。

 7日の全日神奈川では、本部長の佐々木 富見夫氏ら役員が出席した。佐々木氏は「不動産業者が重要事項説明で届出の重要性を伝えることは重要なことだと感じています。当県本部では、相模原市・横須賀市・三浦市・座間市に対象区域が存在しており、今回のキャラバンを通じて、すべての会員に周知徹底していきたい」などと述べた。意見交換では、「届出の代理申請に関する委任状等はどうすればよいのか」といった質問があり、内閣府からは「一般的に委任状をとっていただければ問題はない」などと、実務に沿った内容の意見・要望が行なわれた。

 15日の神奈川宅協では、セミナー形式で説明会を行ない、会長の草間時彦氏らの役員をはじめ、会員会社経営者らが聴講した。草間氏は「この法律が施行されて2年が経過し、今回改めて周知を行なっていきたい。私の会社は横須賀市内にあるが、注視区域・特別注視区域がある。取り引きの際には適切な対応をするよう、社員には伝えている。会員の皆さんも、今一度確認していただいて、理解を深めてもらいたい」などと挨拶。質疑応答・意見交換では、会場から「現在注視区域として指定されているものが、将来的には特別注視区域に指定される可能性もある。注視区域に届出制はないものの、重要事項として説明しておいた方がよいのか」という質問に対して、内閣府から「法律上、注視区域については不動産会社の個別判断に任せる形になるが、説明しておいていただけると大変ありがたい」などという回答がなされた。

 キャラバンは指定区域の多い都道府県を中心に今後12都道府県程度で行なわれる予定。

全日神奈川での説明会は役員と内閣府職員の対話形式で行なわれた
神奈川県宅協の説明会はセミナー形式で役員のほかに一般の会員も参加した

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