不動産ニュース

2025/1/6

「2025年 年頭所感」(国交大臣・業界団体)

国土交通大臣および住宅・不動産業界団体トップが発表した年頭所感は、以下の通り。(順不同)

国土交通大臣 中野洋昌氏
(一社)不動産協会 理事長 吉田淳一氏
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会・(公社)全国宅地建物取引業保証協会 会長 坂本 久氏
(公社)全日本不動産協会理事長 中村裕昌氏
(一社) 不動産流通経営協会 理事長 太田陽一氏
(一社)全国住宅産業協会会長 馬場研治氏
(独)都市再生機構 理事長 石田 優氏
(独)住宅金融支援機構 毛利信二氏 
(公財)日本賃貸住宅管理協会会長 塩見紀昭氏
(一社)全国賃貸不動産管理業協会会長 佐々木 正勝氏
(一社)賃貸不動産経営管理士協議会会長 中村裕昌氏
(一社)住宅生産団体連合会会長 芳井敬一氏
(一社)プレハブ建築協会会長 仲井嘉浩氏
(一社)日本ツーバイフォー建築協会会長 池田 明氏
(一社)日本木造住宅産業協会会長 市川 晃氏
(一社)日本ビルヂング協会連合会会長 木村惠司氏
(一社)不動産証券化協会会長 菰田正信氏
(公社)日本不動産鑑定士協会連合会会長 吉村真行氏
(一社)日本ショッピングセンター協会 会長 清野 智氏
(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター 理事長 淡野博久氏
(一社)不動産テック協会 代表理事 巻口成憲氏・滝沢潔氏

■国土交通大臣 中野洋昌氏

 新年を迎え、謹んで新春の御挨拶を申し上げます。
 昨年は、元日の能登半島地震、その被災地を襲った9月の豪雨災害をはじめ、各地で大規模な災害が相次ぎました。改めて、こうした災害により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
 国土交通行政は、国民の命と暮らしを守り、我が国の経済や地域の生活・なりわいに直結しています。私自身、国土交通大臣として、現場の声によく耳を傾け、国民のみなさまのニーズにしっかり応えられるよう、全力で任務に取り組んでまいる所存です。
 本年も、引き続き、国民の安全・安心の確保、持続的な経済成長の実現、地方創生2.0の推進を柱に、諸課題に全力で取り組んでまいります。
 (1)国民の安全・安心の確保
 (2)持続的な経済成長の実現
 (原油価格・物価高騰等への対応)
 昨年12月に成立した補正予算において「子育てグリーン住宅支援事業」を創設しました。エネルギー価格などの物価高騰の影響を特に受けやすい子育て世帯などに配慮し、「GX志向型住宅」等の新築や、既存住宅の省エネリフォーム等に対し、環境省及び経済産業省との連携を通じて、幅広く支援してまいります。
 また、住宅ローン減税については、住宅価格の上昇など住宅取得環境が厳しさを増していることも踏まえて、令和6年から先行的に実施されている、子育て世帯等の借入限度額の上乗せ措置等が1年延長されることが閣議決定されました。引き続き、住宅取得に係る負担軽減を通じて、良質な住宅の取得を促進してまいります。
  (国土交通分野における環境施策の推進)
 カーボンニュートラルやネイチャーポジティブなど、地球環境問題を巡る世界の潮流は大きく変化しており、我が国においても、民間企業を含め、待ったなしの対応が求められています。「国土交通省環境行動計画」の改定に向けた検討を進めてまいります。
 脱炭素社会の実現に向け、住宅・建築物の省エネ対策等を強化することとしており、改正建築物省エネ法に基づく本年4月からの省エネ基準適合の全面義務化に向けた準備を進めるとともに、ZEH水準の省エネ性能の高い住宅や、炭素固定に資する優良な中大規模木造建築物に対する支援等を行ってまいります。また、使用時だけでなく、建設から解体に至るまでの建築物のライフサイクルを通じて排出されるCO2の算定・評価等を促進してまいります。
 また、都市のコンパクト・プラス・ネットワークの推進等とあわせて、改正都市緑地法等を踏まえた都市緑地の確保、エネルギーの効率的な利用や暑熱対策等のまちづくりGXを推進してまいります。
 (国土交通分野におけるDXの推進)
 建築・都市分野においては、EBPMに基づくまちづくりの高度化や官民データ連携による新サービスの創出を図るために、「建築・都市のDX」を強力に推進してまいります。不動産分野においては、不動産取引のオンライン化や不動産情報ライブラリの継続的な運用・拡充等を通じて、DXを推進する環境整備に取り組んでまいります。
 デジタル技術を活用して地域の課題解決等を図るため、「スマートシティ実装化支援事業」として13地区の先進的な事業を選定しました。引き続き、好事例の横展開等を実施するとともに、産官学連携を促進するなど、スマートシティのもたらす効果の最大化を一層推進してまいります。
 (3)地方創生2.0の推進
 (分散型の国づくり)
 国土形成計画においては、目指す国土の姿として「新時代に地域力をつなぐ国土」を掲げ、この実現に向けて「シームレスな拠点連結型国土」の構築を図ることにより、地域の魅力を高め、地方への人の流れの創出・拡大を図ることとしています。計画の実装に当たっては、二地域居住等の促進や地域生活圏の形成をはじめ、計画が描く将来ビジョンを国民全体で共有していくとともに、関係省庁とも緊密に連携しながら推進してまいります。
 昨年成立・施行された二地域居住を促進するための改正法と、昨年設立された官民連携プラットフォームを活用し、二地域居住の更なる促進に向けて取り組んでまいります。新たな働き方・住まい方への対応として、職住近接・一体の生活圏を形成するなど、豊かで暮らしやすい社会を実現するため、テレワーク拠点整備等を推進してまいります。
 (稼ぐ力のあるコンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりや都市再生の推進)
 生活サービス機能や居住の誘導と公共交通ネットワークの形成を連携して取り組むコンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりについては、昨年7月末までに立地適正化計画の作成に取り組む市町村が835、作成・公表した市町村が585、立地適正化計画と地域公共交通計画を併せて作成した市町村が532と着実に増加しています。今後はこれらの計画の実効性を高めるため、都市の骨格となる公共交通の確保やまちづくりに関する支援施策の充実、取組の裾野拡大や計画の見直し促進等に取り組み、持続可能な多極連携型まちづくりを推進してまいります。
 都市の国際競争力の強化に向け、金融・税制支援に向けた民間都市開発事業の認定を昨年は7件行い、民間投資を喚起するとともに、重要インフラの整備への支援にも取り組みました。また、地方都市の活性化に向け、まちなかの賑わい空間の整備、空き店舗・空き家の改修・利活用等の促進に取り組みました。引き続き、地域資源の活用を図りながら、ゆとりとにぎわいのあるまちづくりと都市再生を推進してまいります。
 (安心して暮らせる住まいの確保)
 誰もが安心して暮らせる住まいの確保に向け、昨年5月に改正された住宅セーフティネット法の円滑な施行や地域居住機能の再生を図る公営住宅等の供給支援に努め、住宅施策と福祉施策が一体となった住宅セーフティネット機能の強化等に取り組んでまいります。
 こどもや子育て世帯が安心・快適に日常生活を送ることができるよう、こどもや子育て世帯の目線や、住宅を起点とした「近隣地域」といった視点に立った、「こどもまんなか」の生活空間を形成していきます。こどもの遊び場や親同士の交流の場を整備するなど、こども・子育て支援環境の充実に向けた取組を更に進めていくとともに、子育て環境の優れた公営住宅等や子育て世帯に向けた民間の空き家等の活用、こどもの人数等に応じた住宅ローンの金利引下げを行う「フラット35子育てプラス」の実施、子育て世帯等の住宅取得やリフォームに係る負担軽減のための減税措置等による住宅支援の強化に取り組むなど、「こどもまんなかまちづくり」を推進してまいります。
 良質な住宅が次の世代に継承されていく住宅循環システムの構築に向け、良質な住宅ストックの形成、既存住宅流通市場の活性化、住宅取得・リフォームに対する支援に取り組んでまいります。
 加えて、マンションの建物と居住者の「2つの老い」の進行に対応するため、昨年10月末に設置したマンション政策小委員会における検討の結果を踏まえて、老朽化マンションなどの管理や再生の円滑化等に向けた施策の強化に取り組んでまいります。
 (空き家対策・所有者不明土地等対策及び適切な土地利用等の促進)
 空き家対策については、令和5年施行の改正空家法に基づく「管理不全空家等」や「空家等管理活用支援法人」等の制度の活用を市町村等に促すとともに、財政支援、税制など、あらゆる方面から対策を進めてまいります。また、昨年6月に公表した「不動産業による空き家対策推進プログラム」により、空き家等の流通促進に向け、不動産業が持つノウハウを活用したサービスの充実や業務の効率化を促進してまいります。
 所有者不明土地対策については、その円滑な利用や適正な管理を図るための制度が地方公共団体や事業者等により有効に活用されるよう、土地政策推進連携協議会の開催等により、引き続き制度の周知や支援に取り組んでまいります。
 昨年6月に改定した土地基本方針に基づき、サステナブルな土地の利用・管理の実現に向けて、空き地にも着目した円滑な利用転換や適正管理に向けた地域の取組の環境整備など、新たな制度の創設を含め、必要な施策について検討を進めてまいります。
 空き家対策と所有者不明土地対策を一体的・総合的に推進することで、空き家・空き地の有効活用等を通じ、地域経済の活性化につなげてまいります。
 さいごに
 本年も国土交通省の強みである現場力・総合力を活かして、国土交通行政における諸課題に全力で取り組んでまいります。国民の皆様の一層の御理解、御協力をお願いするとともに、本年が皆様方にとりまして希望に満ちた、発展の年になりますことを心から祈念いたします。

■(一社)不動産協会 理事長 吉田淳一氏

 我が国経済の緩やかな回復が進む一方で、物価上昇や世界経済の下振れリスク、少子化・人口減少をはじめとする様々な課題にも直面する中、今年は政官民総力をあげて「着実に未来を切り拓く年」にしたい。

 環境分野では、民生部門における省エネや再エネ等の取組みの役割を果たすべく、ZEH、ZEBの実現加速や、中高層建築物の木造化促進、ホールライフカーボン削減への取組み等により、サステナブルなまちづくりを進めていく。
 都市政策では、地方創生の推進とともに、経済効果の高い大都市が国全体を牽引し、我が国の国際競争力を強化することが重要だ。都市の防災性能の向上や魅力を高める機能集積、イノベーションの創出に資する空間づくりを進めていく。
 住宅分野では、環境性能・防災性能に優れた質の高い住宅を供給していくことにより、将来にわたって安心・安全で良質な住宅ストックの形成・循環の実現に貢献していく。
 国民の暮らしを豊かにするまちづくりや住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に向けて、貢献していきたい。

■(公社)全国宅地建物取引業協会連合会・(公社)全国宅地建物取引業保証協会 会長 坂本 久氏

 令和7年年頭にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
 昨年は、MLBの大谷・山本選手擁するドジャースのワールドシリーズ優勝と大谷選手のMVP獲得、パリ五輪での日本選手のメダルラッシュで、大いに日本が鼓舞された1年でした。
 世界に目を向ければ、ウクライナや中東紛争は長期混迷化し、本年年始には米国大統領が交代するなど、世界の社会経済情勢は先行き不透明であります。
 国内では、昨秋の衆院総選挙で与党が大敗、野党がキャスティングボードを握り、「103万円の壁」が政策課題として大きくクローズアップされました。
 また、賃上げや雇用状況の改善が見られる一方、少子高齢化による働く世代の減少、団塊世代すべてが後期高齢者となる2025年問題が指摘され、不動産市場においても、価格高騰、空き家の増加など、課題が山積しております。
 こうしたなか、本会では各種政策要望を行い、昨年6月に国土交通省より公表された「不動産業による空き家対策推進プログラム」により、低額物件の売買の媒介報酬の引上げ、長期空き家等の貸主からの報酬上限の引上げ、空き家管理受託のガイドライン策定、媒介業務に含まれないコンサルティング業務の促進などが示され、会員の皆様からのご要望や期待に沿うことができました。
 同プログラムにおいては空き家対策推進のため、所有者等への相談体制の強化や担い手育成、地方公共団体との連携を掲げております。こうしたことから、本会においても、空き家対策推進プロジェクトチームを設置し、全国の宅建協会の相談窓口体制の整備、担い手育成の研修などを実施していくとともに、宅建協会の空家等管理活用支援法人への指定を推進し、空き家対策に注力して参ります。
 また、本年の税制改正要望では、本会が創設に尽力した低未利用地の100万円特別控除の適用期限延長をはじめ、住宅ローン減税制度の拡充、空き家解消のための各種税制措置などを行っていくよう活動を展開して参ります。
 さらに、会員業務支援サイト「ハトサポ」をいっそう充実させ、会員の皆様が使いやすい不動産DXツールの提供に努めて参ります。
 本年は4月から半年にわたり大阪・関西万博が開催され、9月には世界陸上が東京で開催されるなど国際的イベントが目白押しです。万博のコンセプトは、「未来社会を共創」です。
 我々、ハトマーク・グループの力を結集して、山積する課題を克服し、未来社会を共創すべく、ビジョンで掲げている「みんなを笑顔にする」ため、頑張って参ります。 

■(公社)全日本不動産協会理事長 中村裕昌氏

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 皆様、晴れやかな心持ちでこの令和7年を迎えられたことと存じます。 

 前年は国民がこぞって新年を寿ぐ、まさにその元日に未曾有の大災害が発生するという生涯忘れ得ない幕開けとなりました。この令和6年能登半島地震により逝去された400名を超える方々に心より哀悼の意を捧げるとともに、長く住み慣れた住居を失われるなど被災された数多くの方々にあらためてお見舞いを申し上げます。そしてまた、被災者及び被災地への支援として総額7700万円もをお寄せいただいたことに会を代表して厚く御礼を申し上げます。

 かつてバブル黎明期の東京都心部においてマンションをもじった“億ション”が登場し、市民より驚きと羨望をもって受けとめられた時代がありました。それが今や、建築コストの高騰もあって億ションならぬ“2億ション”が雨後の筍の如く誕生しており、しかもその傾向は東京23区に留まらず地方主要都市にも拡がりを見せています。
 足元では日銀による追加利上げ実施の観測が高まるなど、「金利ある世界」が漸進するなか、子育て世代を中心とした未来を担う実需層から現時の不動産価格が乖離している状況に甚だ憂いを覚えるところです。目下の物価上昇指数からすれば、賃料の上昇トレンドが後追いすることも大いに想定されるため、住まいのアフォーダビリティをいかに確保すべきかが引き続き大きな政策課題になると考えております。
 他方で、地方圏のみならず三大都市圏であっても利用目的のない空き家が増加している実情もあります。ご存知のとおり、我が全日本不動産協会は、一つの法人でありながら全国47都道府県に拠点を持つ、文字どおり“オールジャパン”の組織です。この強みを最大限に生かして、どなたでも、全国どこからでも、たとえ居住地から離れた物件であっても、空き家の処遇についてよろずの相談ができる『全日ラビー空き家相談ネットワーク』を立ち上げ、令和7年度から運用を開始すべく鋭意取組みを進めているところです。

 さて、本年4月より、いよいよ2025大阪・関西万博が開幕します。本会は『大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn』のスペシャルパートナーとして、未来のまちづくりやウェルビーイングな住まいのあり方、そして少子高齢化社会において共助・共生の意識に根差した「みんならし」の温かい地域社会を築くために我々宅地建物取引業者が果たすべき役割など、未来社会の礎となるような公益性の高い研究成果を披露すべく取り組んでおります。

 安寧で豊かな住生活を通じて、全ての人が幸せを享受できる地域コミュニティを形成するため、今や3万7000有余となった全国の会員各社とともに力を尽くして参る所存です。本年も変わらぬご支援とご高配を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

 結びに、皆様にとりまして、本年も実り多き素晴らしい一年となりますこと、そして皆様のご健勝と益々のご発展を祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。

■(一社) 不動産流通経営協会 理事長 太田陽一氏

 2025年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 わが国の景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しています。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、総合経済対策をはじめとする各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことを期待しております。またトランプ大統領の就任に伴い、今後のアメリカ経済のわが国への影響にも十分注視するとともに、その政策動向等が不動産流通市場の活性化へ好影響をもたらすことに期待をしております。

 東日本不動産流通機構によりますと、首都圏既存マンションの昨年の成約価格は新築マンションの価格上昇の影響を受け、高い水準で推移する一方、成約件数は減少傾向を見せておりました。足元では5ケ月ぶりに件数が前年同月比プラスに転じており、今後も内外の金利動向や金融資本市場などとあわせて市場の動きを注意深く見守る必要があると感じております。

 本年は、住生活基本計画の見直し・改定に向けた動きが本格化してまいります。
 当協会としてもその策定過程における議論に積極的に参画してまいります。子育て世帯総数の減少や高齢者世帯の増加が見込まれるなか、2050年における住生活の姿を見据え、世帯属性等に応じた住宅を選択できる市場環境の整備が欠かせません。そのため新築住宅と既存住宅に対する政策のイコールフッティング化はもとより、ライフイベントやライフスタイルに合わせて一生のうちに何度でも住み替えが可能となる住宅循環システムの構築に貢献できるよう提言してまいりたいと考えております。

 当協会は、本年も内需の牽引役である不動産市場において、安全・安心な不動産取引ができる市場の実現とさらなる活性化に鋭意取り組んでまいる所存です。

■(一社)全国住宅産業協会会長 馬場研治氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 令和7年は乙巳(きのと・み)の年です。「乙」は草木がしなやかに伸びる様子や横へ広がっていく意味があります。「巳」は脱皮を繰り返すことから不老不死のシンボルともされています。新しいアイデアや挑戦で、皆様にとって本年が飛躍の一年となりますよう祈念しております。

 昨年は、能登半島地震や全国各地での猛暑、台風や線状降水帯による豪雨・河川の氾濫、さらに南海トラフ地震臨時情報が発表されるなど大きな自然災害に見舞われた一年でした。国民の生活基盤である住宅に関わる事業者として安心・安全な住まいの提供について責務を改めて認識する次第です。今後は生活の安全を守るため、レジリエンスの向上に向けて災害リスクが高い立地からの移転を事前に行うなど被害を未然に防ぐ努力が必要です。

 経済の状況を見るとインバウンド需要の増加が続いていることや省力化・デジタル化を目的とするソフトウェア投資の拡大など景気は回復基調にあります。地方都市でも海外からの訪問者数は、コロナ前以上となり、地域によっては半導体工場立地による波及効果もあり、経済活動は活性化しております。消費者マインドも徐々に持ち直しつつありますが、先行き不透明感から長期の借入れを要する住宅購入には、多くの勤労者がなかなか踏み込めない状況にあります。

 こうした状況の中、昨年12月に発表された令和7年度税制改正大綱では、住宅ローン減税の子育て世帯等への借入限度額の上乗せ措置及び床面積要件緩和措置の延長、子育て世帯の既存住宅リフォームに係る特例措置の延長、長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の特例措置の延長などが実現しました。これらの措置は、住宅取得者の負担軽減や良質な住宅ストックの形成・流通促進に寄与するものであり、ご尽力いただいた国会議員、国土交通省の関係の方々に深く感謝申し上げます。

 特に住宅ローン減税は、子育て世帯にとって住宅価格が高い水準で推移する中、住宅取得の有効な後押しとなります。しかしながら、これらの住宅ローン減税は、本年12月には期限切れを迎えます。令和8年以降どういう支援措置を講じていくのかについて、一般的な勤労者世帯の方が良質な住宅を適正な価格で購入できるよう控除率や控除額、控除期間等について研究・提言を行ってまいります。

 また、住生活基本計画の見直しに向けて社会資本整備審議会住宅宅地分科会での審議が昨年10月から開始されております。カーボンニュートラル実現への取組み、自然災害対策、不動産DXの普及促進、増え続ける空き家の解消、既存住宅の流通市場の整備、利活用困難な住宅の除却・改修・建替え等の促進、住宅弱者への対応など多くの課題について深い議論が期待されます。私も委員として参画しておりますので、ライフステージやライフスタイルの変化に伴い購入者の住宅に対する価値観が多様化する中、住宅リテラシーの向上、時代にあった土地利用の見直し、人口減少を見据えた都市のダウンサイズなどについて積極的に提案したいと思います。

 全住協は、今年も全国約1,700社の英知と熱意を結集し、国民の豊かな住生活の実現と住宅・不動産業の発展を通じ、日本経済の成長に寄与して参りますので、会員並びに関係の皆様方の倍旧のご支援とご協力をお願い申し上げます。最後になりましたが、皆様方のますますのご発展とご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

■(独)都市再生機構 理事長 石田 優氏

 令和7年の新春を迎え、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
 本年は、前身の日本住宅公団の発足から70年を迎え、令和6年度から令和10年度までの第五期中期計画の初年度にもあたります。引き続き、都市再生、賃貸住宅、災害対応支援の領域において、人口減少・少子高齢化、災害の激甚化・頻発化などの進行によって複雑・高度化する社会課題の解決に向け、国の政策実施機関として貢献してまいります。
 昨年は元日に能登半島地震が発生し、多大な被害をもたらしました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 能登半島地震への対応につきましては、建物の危険度判定等の初動対応に引き続き、住民の皆さまの意向を反映した被災自治体の復興まちづくり計画の策定について支援を行っております。昨年9月には活動拠点となる「UR奥能登・輪島ベース」を輪島市に設置し、より機動的に執務を行える体制を整えたところであり、更なる支援強化を進めてまいります。
 都市再生事業では、大都市圏での大型プロジェクトだけでなく、地域経済の活性化や安全・安心まちづくりなど、地域の抱える社会課題の解決を目指す都市再生を推進しております。
 例えば、JR大阪駅の北側でURが事業を推進するうめきた2期区域では、本年4月開会予定の大阪・関西万博に先駆け、昨年9月に先行まちびらきを行いました。都心部におけるこれまでにない魅力をもった大規模な「みどり」の空間(8ha)の創出や、ライフデザイン・イノベーションをテーマとした新産業の創出拠点の形成等により、「『みどり』と『イノベーション』の融合拠点」の実現を目指し、令和9年度の全体まちびらきに向けて更に事業を推進してまいります。
 また、広島市では、基町相生通地区第一種市街地再開発事業において昨年10月に施設建築物工事着工を迎えました。今後も、広島市の官民連携のリーディングプロジェクトとして、様々な個性と魅力が交わり、新しい広島を創造・発信する場を、関係者や市民の皆様と作り上げていきます。
 本年春には、URが代表施行者を務める虎ノ門二丁目の市街地再開発事業で、高機能オフィスやビジネス活動をサポートする業務支援施設が導入される業務棟が竣工を迎えます。新橋・虎ノ門エリアでは、今後も、エリアの機能更新や高度利用・エリア価値の向上に、URとしても多面的・長期継続的に取り組んでまいります。
 引き続き民間事業者や地方公共団体、地域の人々と連携し、都市再生を推進してまいります。
 次に、賃貸住宅事業では、幅広い世代や多様な世帯が安心してくらし続けられるよう、地方公共団体、民間事業者、居住支援団体等の多様な主体と連携しながら、人々の交流を育む環境づくり等を通じ、ミクストコミュニティの形成と住宅セーフティネットの充実を図ってまいります。その一環として、UR団地の医療福祉拠点化を推進してきております。本年度末までに233団地での形成を達成するなど、住生活基本計画で定められた目標(令和12年度までに250団地形成)を大幅に上回るスピードで推進を図っているところです。
 また、管理開始から40年を超える団地を中心に、地域や団地の特性に応じた再生を進め、地域の魅力や価値を高め、持続可能で活力あるまちづくりを推進してまいります。
 さらに、多様化するお客様のニーズに対応し、地域の価値向上にも寄与するため、リノベーションした住宅の供給や、UR賃貸住宅の強みである屋外空間を活用した親子で楽しめるあそび場の提供など、賃貸住宅ストックの活用と再生をより一層推進するとともに、脱炭素・環境配慮の取り組みも推進し、安全・安心で快適なまちづくりを目指してまいります。
 災害対応支援について、様々な大規模災害からの復旧・復興支援を通じて、防災や復旧・復興に関する経験やノウハウを蓄積してまいりました。
 能登半島地震への復興支援だけでなく、東日本大震災からの復興支援についても、原子力災害被災地域の福島県大熊町、双葉町、浪江町の3町における着実な復興を引き続き後押ししてまいります。例えば、浪江町では、昨年10月、駅周辺のまちづくりに向けた基盤整備工事を起工し、町が計画する商業、居住、交流機能の具体化に向けた支援を行っております。
 また、本年は、住宅・都市整備公団時代に復興支援をさせて頂いた阪神・淡路大震災の発生から30年を迎えます。災害の発生が相次ぐなか、地方公共団体等においても平時の備えに対する意識が高まっていることから、防災から復興に至るまでの各種研修を「UR防災研修プログラム」として整理し、地方公共団体等の皆様に提供するなど、頻発化・激甚化する自然災害に対して、これまでの経験やノウハウを生かした支援を続けてまいります。
 更に、海外展開支援に関しては、昨年7月にバンコク、8月にジャカルタに駐在員事務所を設置し、現地政府や民間企業との関係構築・情報収集を進めております。バンコクではタイ政府の要請を受け、バンスー地区におけるスマートシティ開発の計画策定支援を実施し、ジャカルタではMRTJ(ジャカルタ都市高速鉄道公社)と連携して、ドゥクアタス地区において日尼両国の関係者による検討会を立ち上げ、歩行者デッキ整備の検討に着手しているところです。
 環境問題への対応では、地球温暖化対策実行計画である「UR-eco Plan」を見直し、「UR-eco Plan2024」を3月に策定・公表いたしました。2030年度までのCO2排出削減目標を45%から70%に引き上げるとともに、UR賃貸住宅の建替え時にZEH相当仕様を標準化する他、太陽光発電設備の設置や再生可能エネルギーの調達等についても行動計画に盛り込んだところであり、その達成に取り組んでまいります。
 また、こうしたURの取組みへの理解を深めて頂くとともに、これまでの歩みを振り返りつつ、これからのくらしを考える場として「URまちとくらしのミュージアム」が一昨年の9月に開館いたしました。多数のメディアにも取り上げていただき、多くの一般の方々も含めて1年間で13,000人を超える来館者にお越しいただいております。現在は、ミュージアムを「実践場」に新たなくらし方を探求する「まちとくらしのトライアルプロジェクト」が進行中です。コンペで選ばれた9者のアイデアが、本施設を中心とした赤羽駅周辺地域全体をフィールドとして活動を開始しているとことであり、是非、おこしいただければと思います。
 このように、URは、今後ともまちづくりや住まいづくりを通じて社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現に向けて役割を果たしてまいります。
 最後に当機構の業務につきまして、日頃から格別のご理解・ご協力を賜っております関係各位に深く感謝を申し上げるとともに、本年の皆様方の益々のご発展とご健勝を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

■(独)住宅金融支援機構 毛利信二氏

 しあわせの原点 住まいを支える

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 令和6年能登半島地震及び9月の大雨により被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。発災から1年が経過しましたが、復興は緒に就いたばかりです。機構は過去の災害対応の知見を活かして地方公共団体等の関係機関と緊密に連携し、引き続ききめ細やかな相談会の開催や情報提供等を通じて一日も早い復旧・復興を支援していく所存です。
 また、昨年は物価高・住宅価格高騰に日銀の政策変更も重なり、住宅取得環境は大きな影響を受けた1年でした。機構の調査によれば、住宅ローン利用者の中にも金利上昇への不安の声は大きくなりつつあります。機構はこれまで一貫して【フラット35】等の長期固定金利の安心を市場に提供してまいりましたが、これからも真摯に長期固定金利の利点を周知し、「金利のある世界」においても安心できる現実的な選択肢を提供していくことが我々の使命と受け止めています。
 我が国が抱える政策的課題に対して、住宅金融が果たす役割も変化し続けています。
 喫緊といえる少子化対策については、【フラット35】子育てプラスや子育て配慮賃貸住宅への金利引下げにより未来を担うこどもたちの良好な住環境獲得を支援します。
 脱炭素社会の構築に向けては、【フラット35】S(ZEH)や【グリーンリフォームローン】の提供等を通じ、ステークホルダーの皆さまと住まいの脱炭素化を加速させます。
 「人」と「マンション」の高齢化も我々に重たく課された課題です。
 シニア世代向けに提供する【リ・バース60】は、金利上昇への不安の声を踏まえ、固定金利タイプの提供をはじめるなど引き続きシニア世代の住まいの悩みに寄り添いながら、併せて空き家の発生の防止の面でも貢献していきます。
 高経年マンション問題には、修繕積立金を効率的に運用するマンションすまい・る債やマンション共用部分リフォーム融資などを通じて資産価値の適切な維持を後押しするほか、機構が積み重ねてきた知見を関係機関と共有することにより良好なストックを未来につなぎます。
 時代の変化が速く不確実性が増す中にあっても住まいがしあわせの原点であることは不変です。「住まいのしあわせを、ともにつくる。」という機構のパーパスの実現に向け、皆さまとともに手を取り合い弛まぬ努力をしてまいります。本年も変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

■(公財)日本賃貸住宅管理協会会長 塩見紀昭氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 令和6年は、今後の協会のあるべき姿として「中期運営方針2026」を策定し、会員総会で発表しました。管理業特化の唯一の団体として先駆的な取り組みで業界を変革する“リーディング・アソシエーション”を目指すという目標を掲げ、3つの運営方針骨子を設定しました。1つ目は「賃貸住宅管理業の地位向上に向けた取組みの深化」、2つ目は「社会課題解決に向けた会員の経営力強化の支援」、3つ目は「目標の達成に向けた協会の組織構成と運営の改革」です。

 令和7年は、あるべき姿の実現に向けて、「賃貸住宅管理業界の認知度向上」に向けたブランディング強化を推し進めます。併せて、JPM人財ネットワーク制度の普及など業界全体が抱える人材課題解決に取り組みます。社会課題解決に向けた会員支援では、管理業法を適正に運用できるようにサポートの更なる強化や日管協預り金保証制度の普及促進の強化、高齢者や外国人等の受入れ等を見据えた改正住宅セーフティネット制度の普及促進、居住支援協議会への参画推進に取り組みます。また、業界人材育成の観点では、2万5,000名を超えた「賃貸住宅メンテナンス主任者認定制度」の広報を強化し、管理業界で求められる人材の育成・資質向上に努めます。引き続き、当協会は、管理業界を牽引する団体として、会員拡大に向けた取り組みに加えて、事業のあり方や組織運営など会員満足度を高めるための組織改革も行っていきます。

■(一社)全国賃貸不動産管理業協会会長 佐々木 正勝氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 今年度はオンライン配信形式による2つのセミナーを開催、(1)「みんなで考えるこれからの高齢者入居」セミナーは4月12日から2週間開催し、視聴者から「高齢者入居の何が問題で、何がその対応策かを提示してもらえた」「実際に困っていた事例の対処方法を知ることができた」等の評価をいただきました。(2)「賃貸管理サミット 2024」は9月30日から5日間、4年連続で開催し、毎年大変な反響で今年度は過去最高の1070名の申込みがあり、講演内容にも高い評価をいただきました。
 また、理事・監事研修会を7月17日に開催、国土交通省不動産・建設経済局の中野晶子参事官他担当官から「不動産業による空き家対策推進プログラム」についてご説明いただきました。参加された理事・監事より各地域での取り組みや実情を踏まえた課題に対する質疑や要望が多数発言され、貴重な意見交換の場となりました。

 私たちのスローガン『「住まう」に、寄りそう。』を会員の皆様とともに実践してきた成果として、会員数は年々増加し、12月時点で6,900社を超えております。そのような中、昨年は青森県・徳島県・長崎県支部が設立、秋田県・熊本県支部の設置も承認され、来年度からは全国41支部体制となります。今後も強靭な組織の確立に向けた事業展開を図るとともに、更なる賃貸不動産管理業の適正化に向け、全宅連と連携の上、国土交通省等関係機関とも協議を重ねてまいります。
 最後に皆様方の益々のご繁栄とご健勝をお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

■(一社)賃貸不動産経営管理士協議会会長 中村裕昌氏

 資格の社会的地位と認知度向上へ 

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 昨年は、国家資格となり4回目の試験が11月17日に実施され、3万194名が受験し、昨年度に比べ、1,895名増加しました。そして、12月26日の合格発表をもって、賃貸住宅管理業法に定める業務管理者の要件を備える合格者を多数輩出することができました。
 国家資格化して5年目を迎える本年は、賃貸不動産経営管理士の社会的必要性周知のため、広報活動に力を入れ、受験者の更なる確保や賃貸住宅管理に対する適切な知識を備える人材の育成を目指し、資格の役割付与や地位向上に継続して力を入れていきます。
 また、昨年に引き続き厳正かつ公正な試験・講習の実施とともに、国土交通大臣登録機関として、一層の体制強化を図り、業界の適正化に努めます。
最後に、賃貸住宅管理業のますますのご発展とご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

■(一社)住宅生産団体連合会会長 芳井敬一氏

 令和7年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
 昨年も能登半島地震をはじめ、全国各地で多くの自然災害が発生しました。改めてお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われたすべての方々に心からお見舞いを申し上げます。被災地の復旧、復興に尽力された皆様に敬意を表するとともに、今回の経験を今後の備えに生かしてゆかねばなりません。
 さて、わが国の経済は、長きにわたるデフレ経済から、成長経済への移行に期待がされる一方、足元の物価上昇や金利の上昇傾向、海外情勢の不安定化など、依然として様々なリスク要因が懸念されています。そのような中、昨年11月に総合経済対策がまとめられ、本年はこれらの政策により、日本経済が持続的な成長に向け着実に歩を進める年になることを大いに期待しています。
 住宅市場におきましては、持家着工が35ケ月ぶりに対前年比増に転じたものの、総戸数の年率換算値は78万戸程度の低い水準であり、予断を許さない状況です。
 このような状況の中、昨年も当連合会は、税制・予算の政策について積極的な要望活動を展開しました。その結果、令和6年度補正予算において「子育てグリーン住宅支援事業」が措置され、GX志向型住宅への支援創設、長期優良住宅、ZEH住宅支援の賃貸住宅への拡大や、三省連携による省エネリフォーム支援の継続等が盛り込まれました。また、令和7年度税制改正大綱では、住宅ローン減税について、子育て世帯等向け借入限度額の上乗せ措置が令和7年入居までの延長と、床面積要件の緩和の継続が措置され、子育てリフォーム税制、買取再販事業や、サービス付き高齢者向け住宅供給促進の特例措置も延長されました。こうした施策を積極的に周知・活用し、国民に安全で安心な良質な住宅の提供を推進してまいります。
 また、昨年10月から社会資本整備審議会住宅宅地分科会において、住生活基本計画(全国計画)の見直しに向けた検討がスタートしました。2050年にあるべき住生活の姿を見据え、当面10年間に取り組む政策の方向性が議論されており、当連合会としても、積極的に議論に参画し、新たな計画により、すべての方の住生活が安全安心で豊かなものとなるよう、貢献したいと考えます。
 本年も、当連合会は、関係各所と一体となって、すべての方の豊かな住生活の実現に努めながら、わが国の健全な経済発展に貢献してまいります。
 結びとなりますが、皆様のご健康とご多幸を心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

■(一社)プレハブ建築協会会長 仲井嘉浩氏

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 米国においては個人消費や内需を中心とした景気拡大が継続する中、日本経済においても雇用・所得環境の改善、企業の全般的な業況感の改善が継続するなど、緩やかではありますが景気の回復がみられます。
 住宅市場に着目しますと、昨年の総合経済対策による補正予算では「子育てエコホーム支援事業」の後継事業となる「子育てグリーン住宅支援事業」の創設により、ZEH水準を超える高い省エネ性能を有する「GX志向型住宅」への手厚い補助が導入された他、断熱窓への改修促進や賃貸住宅を含む高効率給湯器の導入促進など、省エネリフォームにおける3省連携の支援策が盛り込まれました。   
 また、年末の税制改正大綱では、子育て・若年夫婦世帯へ向けた住宅ローン減税の借入限度額の上限が令和7年度も維持されることとなりました。
 未だ十分な耐震性能や省エネ性能を満たさない住宅ストックが数多く存在する中、省エネ基準の適合義務化を目前に控え、政府では2030年までに省エネ基準をZEH水準に引き上げることが決定しております。物価の高騰に加え円安と相まった資材価格の高騰や人件費の上昇などの影響により、持家着工数の減少は継続しており、一部のシンクタンクでは今後も大きな減少傾向を推計しておりますが、高い性能を有する工業化住宅がそうした基準を満たさない住宅の除去を伴う建替需要に対応できるものと考えております。
 プレ協では、「住生活向上推進プラン2025」で様々な目標値を設定し、将来世代に継承できる良質な住宅ストックの形成に全力で取り組み、市場の回復に繋げていきたいと考えております。特に、戸建住宅分野に加えて低層賃貸住宅分野におけるZEH化・長期優良住宅化について、今回の国の施策で示された方向性を踏まえつつ、業界の先導役として加速させていく分野と考えております。また、既存住宅流通の活性化にもつながる省エネリフォームの促進に加え、住宅の資産価値の「見える化」を図り、適性な査定と連動させることで、安心して既存住宅の購入ができる市場環境の形成に取り組みたいと考えております。
 各種人材の育成においては、プレハブ建築技術・技能の向上や時代のニーズに対応するため、PC建築に係る資格認定事業やプレハブ住宅コーディネーター資格認定事業による教育と啓発活動を、併せてストック住宅への対応として、既存住宅状況調査技術者やプレハブ住宅点検技術者の育成も継続して参ります。更に、建設キャリアアップシステムにより働き方の適正化を図りつつ、担い手不足や資材高騰による建築費の上昇に対応すべく建築分野のDX化を推し進めて参ります。
 昨年元旦に発生した能登半島地震では、石川県からの要請を受け、累計102団地4,467戸の引き渡しを完了しました。今年度の事業計画では、首都直下災害も想定した、いわゆるBCP対応を重点項目として盛り込んでおります。本部体制機能の強化、地方公共団体との一層の連携やDXの推進による業務の効率化など、災害発生直後から応急仮設住宅の供給に迅速に対応できるよう体制を更に充実していく事としております。
 広い裾野を有する住宅業界は、国民にとっての重要なインフラであると同時に生活を支える基盤の産業です。益々多様化する社会に柔軟かつ機敏に対応しながら、会員企業と協力して住宅建築の可能性を広げるため、今年も様々な課題に対し果敢にチャレンジしていきたいと考えております。どうぞ宜しくお願い致します。

■(一社)日本ツーバイフォー建築協会会長 池田 明氏

 初春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 近年物価上昇や円安などの影響により、新設住宅着工戸数が低迷し厳しい市場環境が続いております。特に「持家」については34ヶ月連続で着工戸数が前年同月を下回るという状況でしたが、昨年10月にようやく増加に転じ、今後の情勢が注目されます。

 そうした中、今後住宅市場環境の活性化を図るべく、当協会は住宅投資促進のための経済対策、税制対策について住宅生産団体連合会と連携して要望活動を行ってまいりました。その結果、「ZEH水準を大きく上回る省エネ住宅」への支援を行う制度である「子育てグリーン住宅支援事業」の創設などを盛り込んだ令和6年度補正予算が昨年12月に成立しました。また、子育て世帯等に対する住宅ローン減税制度の借入限度額の維持・継続等が与党の2025年度税制改正大綱に盛り込まれました。このような動きが住宅市場の活性化につながり、経済の底上げに寄与することを願います。

 さて、本年4月には改正建築基準法及び改正建築物省エネ法の施行により、省エネ基準への適合義務化、4号特例の見直し等が予定されています。当協会では国土交通省と連動して、枠組壁工法用の確認申請・審査マニュアルなどの技術関連資料を作成し、昨年10月より実務講習会を実施しており本年も継続してまいります。ツーバイフォー工法にかかわる事業者の皆様がスムーズに改正への対応が可能となるよう引き続き取り組んでまいります。

 昨年の7月には、世界の平均気温が観測史上最高を更新した模様です。「2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現」のため、危機回避に迅速に対応していくことが求められますので、二酸化炭素を吸収し炭素を蓄える木材を構造材とし、建設時や建物利用時のCO2排出量を削減するツーバイフォー工法による建物供給を通じて、積極的に寄与してまいりたいと存じます。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

■(一社)日本木造住宅産業協会会長 市川 晃氏

 新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
 はじめに、昨年元日に発生した能登半島地震やその後に発生した奥能登豪雨など、相次ぐ災害により被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 米国の政権交代に向けた動きや各地で続く国際紛争などにより、世界経済の先行きには不透明感が漂っています。
 国内住宅市場においても、建設コストに係る様々な価格高騰や住宅ローン金利の上昇基調等、取り巻く状況変化に迅速な対応が求められています。

 昨年末に成立した令和6年度補正予算では、住宅取得支援施策として、昨年に続く子育て世帯等への支援と共に、カーボンニュートラルの実現に向け、全ての世帯を対象とした「GX志向型住宅」に加え、「賃貸住宅」も対象とした「子育てグリーン住宅支援事業」が創設されました。

 また令和8年の5回目となる「住生活基本計画」の見直しに向け、誰もがライフスタイル等に応じた快適な暮らしができ、住生活産業に係る人が輝ける社会の実現に向けた議論が必要です。

 本年4月から4号特例の見直しや、省エネ基準への適合義務化などのルール変更がされます。一定の性能を備えた住宅がストック市場で適切に評価され、消費者が安心して既存住宅を取得し、リノベーションできる環境の整備につながることを期待します。

 また、今まで以上に木材の利活用が注目されています。木材利用の促進に向けた取り組みを着実に進め、ホールライフカーボンの観点に立って脱炭素化に取り組んで参ります。

 良質な住宅ストック形成の実現には、地域に根付いた住生活産業の果たす役割も大きく、引き続き会員企業や各支部等と連携し取り組んで参ります。

 本年も何卒宜しくお願い致します。

■(一社)日本ビルヂング協会連合会会長 木村惠司氏

 新年あけまして、おめでとうございます。
 さて、昨年を振り返ると、年初に能登半島地震が発生し、その甚大な被害からの再建の途上にあった被災地が、9月には豪雨により再び大きな被害に見舞われました。また、これまで経験したことのない記録的な猛暑など、自然災害や気候変動への備えを改めて考えさせられる一年でした。
 世界に目を向けると、ロシアによるウクライナ侵攻はいまだ先が見通せず、中東では緊迫した情勢が続いています。韓国での戒厳令騒動による政情混乱にも大変驚いていますが、アメリカでもまもなく第2次トランプ政権が発足します。世界の政治や社会・経済の構図が大きく変わる可能性があり、今年は、その動向をより注視していかなければならない年になりそうです。
 そうした中で、わが国の景気は引き続き堅調に推移していくと予想されています。経済界も協力している賃金の上昇に加え、物価高や資源高の要因の一つだった円相場についても、日米政策当局の思惑はあるものの、日米の金利差は徐々に縮小に向かい、円安基調も是正されてくるのではないかと思われます。
 一方、中長期的な懸念材料は、少子高齢化と生産年齢人口の減少に伴う深刻な人手不足です。この構造的な問題については、じっくり考え、対応を検討していく必要があります。
 さて、オフィス市場については、コロナ禍を経て、おおむね回復の基調にあります。リモートワークという仕事の仕方は残ると思いますが、クリエイティブな仕事では、リアルに対面し、意見を交わし、つくり上げていくことが必要になります。とくに、日本ではチームで仕事するケースが多く、これからも多様なオフィススペースが求められてくるはずです。
 ビル業界として、こうしたニーズに応え、付加価値の高いオフィス空間を提供し続けていくことが何よりも重要だと考えております。
 また、ビル業界では、DXやGX(環境分野)への対応も求められています。DXについては、各社においてオフィスビルのスマート化に向けた様々な取組みが進められています。費用対効果の問題もありますので、それぞれに出来ることから少しずつ導入していけば良いと思っています。協会としてDXに関する情報を収集・整理して、会員へ提供していければと考えています。
 環境分野では、一昨年策定した「オフィスビル分野におけるカーボンニュートラル行動計画」をもとに、会員が一致団結してCO2削減に取り組んでいるところです。昨年、国土交通省等に対し、既存ビルの省エネ改修、再生可能エネルギーの利用拡大等に関する支援措置を要望しましたが、引き続き、政策当局に対し、各種要望活動を積極的に展開していきます。
 連合会では、これからも全国19協会と連携しながら、ビル業界を取り巻く課題に対応していこうと考えています。

■(一社)不動産証券化協会会長 菰田正信氏

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 昨年は、元日に発生した能登半島地震をはじめ大規模な自然災害に直面した一方で、約30年振りとなる高水準の賃金引上げを2年連続で更新し、足元の企業の設備投資は史上最高の水準にあるなど、デフレからの完全脱却に向けて成長と分配の好循環が動き始めた一年でした。
 また、日本銀行においては、3月には日銀がマイナス金利政策を解除し、イールドカーブコントロールを撤廃するなど、金融政策の正常化に向け、長期にわたる大規模な金融緩和政策が転換することとなりました。
 一方、世界では、ロシアによるウクライナ侵略の長期化に加えて、イスラエルとパレスチナの紛争やシリアのアサド政権の崩壊など中東情勢の混乱も続いています。また、昨年は各国で選挙が実施され、11月の米国大統領選挙においてトランプ氏が当選するなど、各国の政権動向が注目されています。

 そのような中、不動産投資市場においては、昨年9月末時点で国内リート市場全体の資産規模が約30.1兆円と、初めて30兆円の大台を突破しました(Jリート約23.4兆円、私募リート約6.7兆円)。振り返ると10年前の2014年9月末の資産規模は約13兆円であり、この10年間で約2.3倍に拡大したことになります。市場拡大を成し遂げるために尽力された業界関係者の方々に敬意を表したいと思います。
 不動産賃貸市場に目を向けると、オフィスは需要の回復に伴い空室率が低下し賃料も上昇傾向にあります。賃貸住宅は高稼働率と賃料上昇が継続しており、またホテルについても旺盛なインバウンド需要を追い風に好調を持続しているなど総じて堅調に推移しています。
 こうした不動産市場の良好な環境がJリートの適正な評価につながるよう、「ミドルリスク・ミドルリターン」で長期投資に適した金融商品としての魅力を幅広い投資家層に訴え、認知を高めるよう努力してまいります。昨年1月に開始された新NISA制度では、前年を超えるペースでJリートの新規買い付けがなされており、個人の資金が着実にリート市場に向かっていることが窺えます。個人資金の受け皿としてしっかりと役割を果たすことで、NISAを通じた個人の資産形成を力強く支援してまいります。

 令和7年度税制改正大綱においては、当協会が要望した「不動産証券化ビークルに係る登録免許税・不動産取得税の軽減措置の延長」が認められました。この措置により、不動産の買い主体として存在感を発揮する不動産証券化ビークルが、引き続き不動産流通市場を下支えすることが可能となり、ひいては不動産市場の活力が増し、我が国の着実な経済成長に寄与するものです。要望実現に向けてご尽力いただいた関係者の方々に深く感謝を申し上げます。

 最後に、皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りするとともに、我が国経済が力強く成長する年になることを願って、新年のご挨拶とさせていただきます。

■(公社)日本不動産鑑定士協会連合会会長 吉村真行氏

 明けましておめでとうございます。
 新年のスタートにあたり、国民の皆様、会員の皆様、並びに本会の活動にご理解・ご支援をいただいております各分野の皆様へ、新年のご挨拶を申し上げます。
 まずもって、昨年1月に発災した能登半島地震に対して、全国から延1,564名の不動産鑑定士の皆様に、珠洲市、輪島市、志賀町、七尾市、穴水町、内灘町において罹災証明書発行のための住家被害認定調査をはじめとした被災地・被災者支援活動にオールジャパンで大変なご尽力をいただきましたこと、深く感謝申し上げます。
 そして、9月に発災した奥能登豪雨につきましては、発災直後の初動の迅速かつ的確なマネージメントが必要とされましたので、選抜チームを派遣し、石川県、国土交通省そして内閣府防災との連携の元、珠洲市、輪島市を支援致しました。
 また、去る12月26日に内閣府と住家被害認定調査に係る自治体支援のための連携協定を締結致しましたので、一層の被災地・被災者支援活動に取り組んで参りたいと考えております。
 さて、私も会長になりまして6年目となりますが、「業務拡充」「人材育成」「地位向上」という3つの取り組み方針を掲げ、「具体的な形とすること」、そして「新たな道を拓くこと」を心掛け、一つひとつ着実に取り組んでおります。
 また、不動産鑑定士の最大の強みであるAppraisal(鑑定評価)、この強みを活かしてAnalysis(分析)、Advisory(助言・提案)を提供するという「3A」は、業界の将来ビジョンとして平成23年に提言させていただきましたが、今現在も不動産鑑定士のあるべき姿であると確信しており、鑑定Appraisalに、時代のニーズである助言Advisoryを組み合わせた「A+A」を世に認知いただけるよう尽力して参りたいと考えております。
 そして、不動産鑑定士の将来の担い手確保に向けて、地価公示に続き、都道府県地価調査、相続税路線価評価、固定資産税評価、公共用地取得の際の鑑定等の公的鑑定評価の報酬単価の引上げによる適正報酬の確保を目指して参ります。
 私達は不動産鑑定士の役割、使命をしっかりと考え、「不動産の価値判断ができる専門家・実務家」として、そして、「有事の時こそ役に立つ専門家」として、国民目線を持って全力で取り組まなければならないと考えております。
 これまで以上に社会的使命を果たせるよう会務に尽力して参る所存ですので、今年も引き続き皆様のご理解・ご支援をお願い申し上げます。
 最後になりますが、皆様の今年一年のご健勝とご活躍を祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。

■(一社)日本ショッピングセンター協会 会長 清野 智氏

 謹んで新年のお慶びを申しあげます。

 昨年はウクライナ、パレスチナ問題など、世界的にリスクが高まる不安定な情勢が続きました。一方、日本においては1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」、そしてその能登半島をはじめとして全国各地を襲った“過去に経験したことのない”集中豪雨など、自然災害による危機を身近に感ずる年でした。また、33年振りとなる平均5%超の賃上げや夏季賞与の増加などにより、個人消費の力強い回復が期待されましたが、その一方で、円安や原油高などによる物価上昇や将来に対する漠然とした不安感もあり、消費動向には残念ながら足踏み状態がみられました。
 このような状況下ではありましたが、ショッピングセンター(以下、SC)は、物価上昇の影響を受けつつも、SC主催または近隣で行われたイベントなどにより来館者数が増加し、全体的には前年実績を上回る売上げで推移した1年でした。
 売上げが回復し、また地域のインフラとしてSCの役割が高まる一方で、2025年以降の最も大きな課題として私たちが考えなければならないのは、人材の確保です。高齢化と人口減少、仕事観の変化などにより、SCにおいても特にテナント従業員の人材確保が厳しくなってきています。地域商業を支えるとともに、生活者が集うコミュニティ機能、子育て支援、雇用創出、災害時のライフライン機能など多様な役割を担い、地域に欠かせない存在へと深化することが、SCの持続的成長に不可欠だと考えていますが、これらの役割を担う人材が十分確保できていないことに対して、私は強い危機感を持っています。
 当協会では2023年10月から、ディベロッパーとテナントの関係者が集まり、テナント従業員の人手不足解消に向けて、お互いが何をすべきか議論を重ねてきました。そして、ディベロッパーとテナントが、「働きやすい環境」「安全に働ける環境」「営業時間」などの課題を共有し、理解し合い、それぞれのSCの特性を踏まえて解決に向けて取り組むことを強く推奨する内容をレポートにまとめ、当協会の会員に向けて先般、発信したところです。
 2025年はこのレポートの内容を踏まえて各SCが具体的に取り組めるよう、協会としても普及活動や好事例の発信などのフォローアップに注力して参ります。併せて、SCに共通する後方業務である毎日の「売上報告業務」の簡素化・標準化へ向けた作業も進めております。これにより業務効率化、テナント従業員の労働時間短縮が図られ、働きやすい環境づくりに寄与することになると考えております。

 さて、1月22~24日の3日間、新年恒例の「第49回日本ショッピングセンター全国大会」をパシフィコ横浜で開催いたします。多くの方々の英知の結集により、今後のSCのあり方について有益な示唆を得られる場になるものと思います。
 また、今後のSCのあり方や社会的役割を示唆するSCを顕彰する「第10回日本SC大賞」、および地域貢献に優れたSCを顕彰する「第8回地域貢献大賞(倉橋良雄賞)」について、今年の定期総会で表彰し、業界内外に発信する予定です。
 以上のように、今年、2025年もSC業界の発展に向けて鋭意努力して参りますので、引き続き当協会の活動にご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。
 結びに、皆様のますますのご発展とご健勝を祈念いたしまして、私の年頭の挨拶とさせていただきます。

■(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター 理事長 淡野博久氏

 新年明けましておめでとうございます。
 日頃から当財団の事業に多大なご支援とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 当財団は住宅品質確保法及び住宅瑕疵担保履行法に基づき、住宅紛争処理支援センターとして住宅紛争審査会(全国の単位弁護士会)への支援、消費者等からの電話相談にお答えする「住まいるダイヤル」の運営、全国の単位弁護士会と連携した弁護士と建築士の対面による原則無料の専門家相談等を実施しております。
 2022(令和4)年6月に公布された建築物省エネ法等の改正法に基づき、本年4月には建築確認手続き等の見直しが施行されますが、「住まいるダイヤル」において消費者や事業者の皆様からの相談に的確に対応することなどを通じ、改正法の円滑な施行に微力ながら尽力してまいる所存です。
 また、今年は住宅品質確保法が2000(平成12)年に施行されてから25年(四半世紀)を迎える節目の年にあたります。この機に制度創設時の精神を振り返り、次世代へと引き継いでいくとともに、将来を展望し制度の更なる発展を期するため、関係団体の協力を頂戴しつつ、関係者の経験と知見を結集し、記念式典の開催、記録誌の作成、関連情報の周知等を行う記念事業を事務局として進めてまいります。
 住宅ストックを巡っては全国の住宅の耐震化比率が約9割に至るなど量的・質的な充実が進む中、豊かな住生活の実現に向け、既存住宅ストックの有効活用を図ることがより一層重要になってきております。このため、当財団としても健全な既存住宅流通・リフォーム市場の整備に向けた取組みを強化すべく、2021(令和3)年の法改正により新たに紛争処理の対象となった既存住宅売買・リフォーム関連の紛争処理支援の充実、<住宅リフォームエキスパート>増改築相談員の登録・研修やマンションリフォームマネジャー試験制度を通じたリフォーム人材の育成、住まいのリフォームコンクールにおける社会課題解決に資する取組みの推奨、瑕疵の発生防止やリフォーム関連の調査研究・情報発信の強化、リフォーム見積書チェック等に取り組むこととしております。
 このような取組みを通じ、本年も消費者の利益の保護、住宅紛争の迅速かつ適正な解決、住宅の整備・流通の円滑化、リフォーム市場の健全な発展等による豊かな住生活の実現に向け、尽力してまいる所存です。
 末尾に当たり、皆様のご健勝とご繁栄を心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

(一社)不動産テック協会 代表理事 巻口成憲・滝沢潔氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨今、不動産業界は急速なデジタル化を迎えており、テクノロジーの進化により業務の効率化と透明性向上が進んでいます。特に、AI、ビッグデータ技術が不動産業界に与える影響は非常に大きく、生成AIの登場により、従来の不動産取引のプロセスの変革が大きく加速しつつあります。この変化に伴い、不動産業界におけるテクノロジー活用はますます重要なテーマとなり、業界全体の競争力を高めるための鍵となります。

 当協会は、「不動産事業者と不動産テック事業者の橋渡し」をミッションに掲げ、昨年は数多くの活動を通じて、業界内外の情報交換と連携を深めてまいりました。特に、テクノロジーを活用した不動産の価値向上や、生成AIを活用した業務の効率化・高度化、スマートシティの推進に向けた研究などが進み、多くの新しい取り組みが始まっています。また、行政や他団体との連携も進み、さまざまな企業や専門家が参加することで、協会の活動がより多角的に広がりを見せました。

 2025年には、以下の3つの柱を中心に活動を一層強化し、業界の発展に貢献していく所存です。

 1.不動産テックのビジネスチャンス拡大
 不動産業界におけるデータ活用やAI技術の実務活用を推進するため、ビジネスマッチング部会や業界マップ部会などを開催。実務に即した事例を多く紹介する機会を設け、協会加盟員様の事業拡大に寄与していきます。
 2.業界全体の標準化推進
 不動産テクノロジーの活用において、業界内での標準化が重要です。特に、国土交通省が取り組まれている「不動産ID」は、不動産業界におけるデータ連携として重要な役割を果たすインフラとなります。また、経済産業省が進めるスマートビル検討会の取り組みとも連携し、データ標準化について取り組んでまいります。
 3.テクノロジーを活用した業界革新
 最先端のテクノロジーを不動産業界にどう適用していくかが、今後の競争を左右します。特に、生成AI技術を用いた不動産取引の高度化や、AIによる需要予測・価格分析などのデータ分析分野は、業界の生産性向上や事業機会の創出が期待される領域であるため、部会活動を通じての情報発信を行っていきます。

 これらの取り組みを通じて、不動産業界の競争力を強化し、より効率的で透明性の高い市場を実現することが私たちの目指す方向です。加えて、当協会会員の連携を強化し、地域ごとの課題解決を実現するための活動を活性化させてまいります。

 関係省庁や業界団体との連携をさらに深化させ、新たな社会・経済の創生を支える役割を果たしていきます。2025年も、皆様と共にさらなる飛躍を遂げる一年にしていきたいと考えております。

 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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