(株)ザイマックス不動産総合研究所は24日、「ホテルの人手不足に関する実態調査」結果を発表した。早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科准教授の石田航星氏との共同調査。
ザイマックス不動産総合研究所が保有するリストに基づく全国のホテル6,446施設が調査対象。528件から回答を得た。
ホテル運営に関わる職種について自社実施・業務委託の状況について質問。自社のみで行っているものの上位は「宿泊客対応」(87%)、「宴会・料飲」(47%)、「客室清掃」(37%)、「リネンサプライ」(3%)の順となった。「施設管理」は37%。
「自社のみ」「自社と業務委託」との回答者に人手不足状況を質問したところ、宿泊客対応スタッフは「とても不足」(18%)、「やや不足」(55%)、宴会・料飲スタッフは「とても不足」(24%)、「やや不足」(47%)と、いずれも7割以上のホテルで人手不足(「とても不足」と「やや不足」の合計)と認識していることが分かった。
人手不足の影響についての質問では、宿泊客対応スタッフでは、「接客サービスレベルの低下」(67%)、「経験の浅い従業員の増加」(60%)、「従業員の残業時間の増加や休日の減少」(54%)の順に。回答者からは、「離職率の高さは業界全体が抱える難題」、「若手(1~5年)の離職が多く、次世代の管理者が育たない」といった声が多く挙がり、高い離職率がさらなる人手不足を招き、それにより接客サービスレベルの低下等にも影響を及ぼしていることが推測される。
宴会・料飲スタッフでは、「接客サービスレベルの低下」(73%)、「従業員の残業時間の増加や休日の減少」(59%)、「経験の浅い従業員の増加」(58%)の順。「飲食客数の増減、宴会等の有無により業務量に波ができ、適切な人員シフトを組むことが難しい」、「料飲業務を指導できるスタッフが限られている。調理スタッフも同様で、このままでは将来食事提供が困難になってくる」という声が見られた。
ホテル全体の人手不足対策については、「賃金水準のアップ」(77%)がトップ。以下、「賃金以外の労働条件(勤務時間・休日など)の改善」(45%)、「シニア人材・外国人材など多様な人材の採用」(37%)、「マルチタスクの取り組み(複数部署の兼務やスキル取得等)」(35%)と続いた。