(株)ザイマックス不動産総合研究所は3日、「賃貸ビル経営における支出増加の現状」と題したレポートを発表した。
同社では、2015年より早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科の石田航星研究室と共同でビルオーナーアンケートを実施している。24年に実施した複数棟・大規模ビルオーナーを対象とした実態調査では、直近1年間の賃貸ビル事業の収支が増加したと感じる割合は「収入」で37%、「支出」が66%と、支出が収入を大幅に上回った。
支出の項目で「増加した」との回答を見ると、「管理委託費」52%、「修繕費」69%、「水光熱費」58%、「公租公課」48%、「保険料」43%、「資本的支出(設備更新・改修など)」62%、となり全項目で「増加した」との回答が4割以上を占めた。なお、中小オーナーを対象にした調査でも、支出が増加傾向と感じる割合は、21年は30%、23年は61%と、大幅に増加している。
各項目の支出増加の原因は多岐にわたり、円安、原油高や資材価格の高騰、人手不足による人件費の上昇、自然災害による工場の低稼働や特需発生など、複数の要因が重なり大きな支出の増加を引き起こしている、と同社では分析している。
今後の見通しについては、短期的には「やや悲観」「悲観」の合計は17%にとどまるものの、中長期的にはそれが33%にまで増加。今後のビル事業における不安についての設問では、1位の「ビルの老朽化」(84%)に続き、「コストの増加」(62%)が2位となり、支出の増加がビル事業における不安要因の一つとなっていることが明らかになった。