森トラスト(株)は14日、訪日外国人動向をテーマにしたメディアミーティングを開催。同社や森トラスト・ホテルズ&リゾーツなどグループ4社の代表取締役を務める伊達 美和子氏が解説した。
25年の訪日外国人客数は大阪万博や円安、中国からの訪日客数復調で過去最高の4,268万人(前年比15.8%増)、旅行消費額も9兆4,500億円(同16.3%増)を達成した。しかしその後、中国政府の訪日自粛要請、中東情勢による原油価格高騰、燃料サーチャージ・航空券口頭で1~5月は前年比1.1%となった。「中国だけだと56.2%減だが、その他の国は14.1%と伸びている。米国や欧州、豪州などアジア以外からの比率が高まっており、長期滞在してくれる質の高い訪日客が増えている」(伊達氏)。
中国以外の訪日外国人客数が現状ペースで推移すれば、26年の訪日外国人客数は約4,200万人、燃料サーチャージの影響などを受け中国以外の成長率が3分の1にとどまったとしても約4,050万人の達成は可能と分析した。「円安の恩恵は強く、グループ各ホテルの予約数もさほど弱含みは見られない」(同氏)。また政府が「観光立国推進基本計画」で目標に掲げた「30年訪日外国人数6,000万人、観光収入15兆円」は、「中国が現状のままでも、それ以外の国からの訪日客が年10%ペースで伸びれば達成できる」(同氏)とした。
一方、三大都市圏と地方圏でのインバウンド構成比(外国人延べ宿泊者数)をみると、地方圏が33%(同2.1ポイント増)まで拡大しており「伸びしろは地方にあり、地方経済活性化の一翼を担える」(同氏)。問題とされていた「オーバーツーリズム」についてもネガティブ報道は減っているという。「訪日客の質の向上、新たな観光地への分散、リピーター増によるマナーの定着などが要因」(同氏)。
一方、「観光立国推進基本計画」の目標達成には「観光地・観光産業の強靭化が最も重要」(同氏)とした。ヒト・モノ・カネを戦略的に循環させる「持続可能な観光地経営」が必要とし、「宿泊税」「地域未来交付金」などを「観光地の持続的成長を支えるための、将来を見据えた成長投資として活用すべき」(同氏)と提案した。「目的を定める」「使途を見える化する」「合意を形成し効果を検証する」ことで、戦略的財源として活用。「国の地域未来交付金を起点に、自治体等が旗振り役となり、観光地経営の基盤づくりを進める。地域価値を高める投資を循環させることで、観光地の強靭化を図るべき」(同氏)とした。
なお、森トラストでは現在37のホテルを運営中で、16のホテルプロジェクトが進行中。「目先の建築費が高騰しており、新規プロジェクトは調整しながら計画を進めていく。これまで投資してきたホテルを有効活用し、30年以降の環境を意識しながら新たな投資機会を検討していく。新たな付加価値を実現した観光地が増えれば、投資も増やしていける」(同氏)。
