記者の目 / 開発・分譲

2007/2/7

「働く、住まう、遊ぶ、憩う」緑豊かなデザイン都市

「東京ミッドタウン」タウンツアーレポート

 再開発が進むまち“六本木・赤坂”。2003年「六本木ヒルズ」がオープンしたのに続き、今後も都営住宅改装に伴い建設が進められている「パークアクシス青山一丁目タワー」や約10,000坪の土地を再開発する赤坂5丁目TBS周辺など、2007年から2008年にかけ、大型の複合施設が誕生する予定である。  そして、3月30日のオープンを控え、最近大いに注目を集めているのが、三井不動産(株)が手がける「東京ミッドタウン」だ。グランドオープンに先駆け、2月1日にプレス向けタウンツアー(内覧会)が実施されたので、その模様をご紹介したい。

「ミッドタウン」全景。六本木にあらゆる都市機能を持った、新しい“まち”が誕生する
「ミッドタウン」全景。六本木にあらゆる都市機能を持った、新しい“まち”が誕生する
「ミッドタウン・タワー」39階のオフィスフロア。写真に写っている部分でも約4分の1の広さ
「ミッドタウン・タワー」39階のオフィスフロア。写真に写っている部分でも約4分の1の広さ
同じく39階からの景色。近所の「六本木ヒルズ」がきれいに見える
同じく39階からの景色。近所の「六本木ヒルズ」がきれいに見える
「ガーデン」に面した「オークウッド」外観
「ガーデン」に面した「オークウッド」外観
光がたくさん差し込む中庭のような位置にある、オークウッドの共用テラス
光がたくさん差し込む中庭のような位置にある、オークウッドの共用テラス
室内ダイニングは上品な家具で統一されていた(オークウッドモデルルーム)
室内ダイニングは上品な家具で統一されていた(オークウッドモデルルーム)
オークウッドの1階にあるラウンジ。こちらも上質な家具が並ぶ
オークウッドの1階にあるラウンジ。こちらも上質な家具が並ぶ

日本の新しい価値を生む「ミッドタウン」

 2000年、防衛庁本庁が檜町(東京都港区赤坂9丁目)から市ケ谷に移転したことを機に、移転後の跡地で新たな大規模再開発事業が始まった。
 広大な緑を育む檜町公園を含めた、高いポテンシャルを持つその場所に、オフィス、住宅、商業施設などからなる複合都市を創造すべく、01年に三井不動産や積水ハウス(株)などコンソーシアム6社が計画地を落札。
 05年、創造力と発信力を持ち、憩いの場としても親しまれるニューヨークのミッドタウンにちなみ、タウンネームを「東京ミッドタウン」に決定。今後の国際競争力の源泉となるであろう「デザイン」をテーマに、日本の新しい価値と感性を世界に発信する拠点として、07年3月30日、ついにグランドオープンを迎えることとなった。

 敷地面積約6万8,891平方メートルという広大な敷地に誕生する「東京ミッドタウン」は、オフィス、ホテル、メディカルセンターなどが入居する「ミッドタウン・タワー」(地上54階地下5階建て)を中心に、オフィス、住宅、商業施設からなる「ミッドタウン・イースト」(地上25階地下4階建て)、オフィス、商業施設からなる「ミッドタウン・ウェスト」(地上13階地下3階建て)、商業施設、サントリー美術館、サービスアパートメントからなる「ガーデンサイド」(地上8階地下3階建て)、美術館「デザインウィング」(地上1階地下1階建て)、住宅棟「パーク・レジデンシィズ」(地上29階地下2階建て)、の6つの建物とガレリアで構成する。
 内覧会では、このうち「ミッドタウン・タワー」のオフィスフロアや「ガーデンサイド」のサービスアパートメントなどを見学することができた。順にご紹介しよう。

最高の眺望を持つオフィスフロア

 タウンツアーのスタート地点は、「ミッドタウン・イースト」の地下1階に位置する、大会議室「ミッドタウン・ホール」(約4,749平方メートル)。ここからミッド・タウン全体の中心である「プラザ」地下1階へ移動する。こちらには都営地下鉄大江戸線・東京メトロ日比谷線「六本木」駅から直通の通路が開通予定で、駅からのアクセスも便利。
 壁には大滝が流れ、目の前には壮大なパブリックアートがあり、建物内にもデザイン性の高いこだわりが感じられる。
 
 そのまま、当日メインの1つといっていい「ミッドタウン・タワー」地下1階のエントランスから43階のオフィスフロアに昇った。オフィスフロアは、防犯対策も万全で各エントランスにはセキュリティゲートが設置。社員は、非接触ICカードシステムを利用し、来客者には各自使い捨てQRコードを記載したカードが配布される。
 1フロア面積3,326平方メートルになる39階は、一面ガラス貼りで「東京タワー」「六本木ヒルズ」はもちろん遠くの景色まで一望できる。こんな素晴らしい場所で仕事をするとなれば、さぞはかどるであろうと考えたが、筆者の場合外のパノラマが気になって仕方なくなりそうだ。

緑とデザインの融合エリア

 続いては1階のエントランスから「ガーデンサイド」へ。こちらは敷地の東側に位置し、「檜町公園」と隣接している。この公園は、檜が多いことから「檜屋敷」の異名をとった萩藩・毛利家の麻布下屋敷の庭園跡である。
 ガーデンにはサクラやクスノキなど防衛庁跡地に残されていた約140本の高木を移植し、緑豊かな景観である。両方とも日中は開放している。
 ちょうどプラザとは反対に位置する、ガーデン側の建物には、「ザ・パーク・レジデンシィズ・アット・ザ・リッツ・カールトン東京」(総戸数244戸)のメインエントランスが設置されている。
 また商業施設「ガレリア」(総店舗数約130店舗、店舗専有面積2万3,800平方メートル)「サントリー美術館」「21_21DESIGN」などがあり美しい外観を連ねていた。

日本初上陸のサービスアパートメント

 「ガーデンサイド」の中でも外苑東通り側に戻ってきた場所に位置するサービスアパートメント「オークウッドプレミア東京ミッドタウン」(総戸数107戸)、ここがタウンツアーのゴール地点となる。
 同物件は日本初上陸となるオークウッドの最高級ブランドのサービスアパートメントで、部屋サイズは、スタジオ(42平方メートル)~3ベッドルーム(127平方メートル)があり、今回は2ベッドルーム(103平方メートル)タイプを見学した。
 客室には、選び抜かれた家具が配置され、ブロードバンド、ドレンチシャワー、キッチン用品を完備した洗練された空間が用意されている。定期的なハウスキーピング、バイリンガルスタッフ常駐などサービス面も充実しており、施設はラウンジバー、フィットネスセンターなどを完備、共用部分も含め上品で華やかな内装となっている。
 まだ募集は開始していないが、外資系企業へ勤務の駐在外国人はもちろん、日本人からも幅広い世代から問合せが寄せられているそうで、その注目度がうかがえる。価格は月70万円~200万円代を予定しているという。

「人に優しい」都市の誕生

 最近の大規模複合施設は、クオリティが高い分、非常に広く複雑な建物も多い。「東京ミッドタウン」も確かに広い、しかし建物全体の構造が非常にシンプルなので歩くのが楽なのである。かつ大規模な外観も広い空間も、上品な雰囲気で不思議と威圧感はなく、むしろ癒される。それは各所ふんだんに木材を使用しているからだ。敷地の約40%を占めるガーデンも、よくある、いかにもツクリモノの庭とは異なり緑の息吹を感じた。
 この他にも六本木周辺の美化活動や地元の祭り、「六本木安全安心パトロール隊」への参加など、地域のコミュニティに積極的に参加していく方針だというミッドタウン。ただスタイリッシュなだけではなく、「環境共生」「地元密着」型がこれからの大規模再開発のキーワードなのかもしれない。そんな憩いの場の誕生が楽しみである。(umi)

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「海外トピックス」を更新しました。

サントスの「動く博物館」と中心街の再活性化【ブラジル】」を更新しました。

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