記者の目 / ハウジング

2007/8/10

団塊世代夫婦向けの“大人を愉しむ”住宅

ミサワホーム、「GENIUS Link-Age masters(ジニアス リンケージマスターズ)」をみる

 ミサワホーム(株)(東京都杉並区、代表取締役社長:佐藤春夫氏)は今年4月、子育て世帯の団塊ジュニアをメインターゲットにした住宅「GENIUS Link-Age(ジニアス リンケージ)」を発売した。さらに、7月21日には、同シリーズ第2弾となる新商品「GENIUS Link-Age masters(マスターズ)」を発売。こちらは、団塊世代の夫婦をターゲットにしており、子供中心の生活から、夫婦二人を中心にした生活を提案している。今回は31日に行なわれたマスターズの見学会の様子をレポートしたい。

「GENIUS Link-Age masters(ジニアス リンケージマスターズ)」外観
「GENIUS Link-Age masters(ジニアス リンケージマスターズ)」外観
夫婦の寝室「パーソナルベッドスペース」。手間と奥にベッドがあり、間にはクロゼット(写真左手)が。お互いの気配が感じられる、ほど良い空間に仕切られている
夫婦の寝室「パーソナルベッドスペース」。手間と奥にベッドがあり、間にはクロゼット(写真左手)が。お互いの気配が感じられる、ほど良い空間に仕切られている
夫婦で一緒に料理をしたり、仲間と集まれるオープンキッチン
夫婦で一緒に料理をしたり、仲間と集まれるオープンキッチン
セカンドリビングとしても使える、共有ライブラリー
セカンドリビングとしても使える、共有ライブラリー
天井設置された「シーリングファン」は、外と室内の温度をセンサーで感知して、自動的に熱気を排出する
天井設置された「シーリングファン」は、外と室内の温度をセンサーで感知して、自動的に熱気を排出する
オプションで付けられるコケの壁。水が出るパイプがとおっており、洞窟のように家の中をひんやりさせる効果が
オプションで付けられるコケの壁。水が出るパイプがとおっており、洞窟のように家の中をひんやりさせる効果が

コンセプトは“大人を愉しむ”

 ミサワホームでは、子供が大きく成長し、子育てがひと段落した50代~60代の団塊世代を「アクティブシニア」と位置付けている。新商品「GENIUS Link-Age masters」では、このアクティブシニアをターゲットに、「大人を愉しむ」というコンセプトのもと、夫婦二人の生活を提案。また、将来訪れるであろう「老い」に対しても対応できるよう、「個」の充足、「集」の楽しみ、安心デザイン、快適デザインという、4つのプロダクトコンセプトを盛り込んでいる。

<「個」の充足>
 玄関を入るとすぐ隣には、「マルチスペース」が設けられている。夫婦間で、「それぞれの部屋やスペースがほしい」という需要が多いことから、同社では、アトリエやギャラリーなど、趣味のスペースとして使える部屋を用意した。
 また、夫婦の寝室である「パーソナルベッドスペース」は、クローゼットを挟んで空間を仕切ることで、お互いの気配が感じられる。
 完全な別室ではなく、ほど良い距離感を保っているので、気配を感じながらも落ち着いて眠ることができるという。

<「集」の楽しみ>
 キッチンは、アイランド型のオープンキッチンを採用。夫婦で一緒に料理をしたり、仲間と集まって食事を楽しむことができる。
 また、家の中心には、「GENIUS Link-Age」でも採用されていた、家族や旅行の写真、お孫さんの作品が飾れる、現代版の床の間「ファミリーウォール」、セカンドリビングとして使える、「家族共有ライブラリー」を設置。
 2階の「プラスワンルーム」では、ゲストルームとして、顧客のベッドルームや、もてなしの空間として畳部屋にするなど、さまざまな対応が可能となっている。

<安心デザイン>
 大収納空間の「蔵」に大きな荷物を運ぶ際など、日常生活での利便性や、将来的に体が不自由になったときのために、「ホームエレベーター」を設置。緩勾配階段、段差なし浴室ドアなどのユニバーサルデザインアイテムも充実させていた。
 また、将来介護が必要になった場合でも、1階だけでも暮らしが完結できるプランを提案。1階の「マルチスペース」は、水回りと近いゾーニングとなっており、寝室などの居室に変更できる二段階配慮設計となっている。

<快適デザイン>
 風や光を室内に取り込むことで、体にも環境にも優しい住まいの実現をめざした、同社推奨の「ECO・微気候デザイン」。「GENIUS Link-Age masters」でも、地窓、高窓、欄間など古くかの日本の住まいの工夫を再現した「微気候設計」が採り入れられており、新部品「涼風制御システム」と合わせて、心地よい空気の流れを作り出している。
 都心は狭小地が多く、郊外と同じような通風は難しい。そこで、キッチンなどに空気の取り入れ口を設け、天井には「シーリングファン」を設置。外の温度と室内の温度を感知して、自動的に空気を吸い上げ、高窓「トップライト」から熱気を排出する。涼風制御システムの設置は、トータルで約25万円。
 さらに、オプションで、住宅の回りにコケの壁を設置することが可能。壁の中には、パイプがとおっており、タイマーで水が出る仕組み。湿らせることで、家の中を洞窟のように、ひんやりとさせる効果があるという。価格は10平方メートルで約50万円。

将来の安心もを考えた住まい

 同社商品開発部チーフデザイナー・白浜一志氏は、見学会で「GENIUS Link-Age masters」は、アクティブシニアを想定しているが、滑りにくく段差の少ない『幅広廊下』や、緩勾配でゆとりのある『幅広階段』など、ユニバーサルデザインも採用している。将来、足腰が弱った場合でも対応でき、10年後、20年後の安心を考えた住まい」などと語った。

 インテリアは、天然の素材感を生かしており、外観は、日本の伝統的な美意識を継承するデザインとなっている。
 販売価格は3.3平方メートル当たり59.7万円(税込み)。年間販売目標は1,000棟をめざしている。

 「夫婦のつながり」にスポットを当てたmastersでは、第一弾の子育て住宅と同様に、家の中で家族の気配を感じることができるよう、さまざまな工夫がなされていた。ブラインドやルーバー建具による軽い仕切りは、家族の気配をいつも感じられ、さりげない安心感が得られる。
 ただ、今回は、寝室をローゼットで間仕切りするなど、熟年夫婦の程よい距離感がよく考えられてあったと思う。夜中に気兼ねなく映画を見たり、本を読むこともでき、お互いの存在を近くに感じながら「ひとりの時間」を確保できることは重要ではないだろうか。

 住宅業界では、団塊世代へ向けた商品が次々登場しているが、今回の商品がアクティブシニアのニーズを捉えることができるのか、今後の動向に注目したい。(さ)

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