記者の目 / 開発・分譲

2007/11/26

ライフスタイルパーク「ララガーデン 春日部」オープン

コミュニティーを重視した郊外型SC

 11月8日、「ララガーデン 春日部」(埼玉県春日部市)がグランドオープンした。  同施設は、三井不動産(株)が展開する地域密着型のライフスタイル型ショッピングセンター(SC)。都市近郊生活者のライフスタイルの高度化・多様化に対応するため、スーパーや生活雑貨店などを核に、ファッションやレストランのほか、地域に必要とされる医療やサービス機能などを集積。生活者の利便性向上を図りつつ、施設で過ごす時間そのものの快適さ・楽しさを重視し、人々が自然と集まり、地域コミュニティーの中心となる施設をめざすとしている。  今回は11月6日に行なわれた、内覧会の様子をレポートしたい。

「ララガーデン 春日部」外観。中央に浮かぶ大屋根は、春日部市の花「藤」をイメージ
「ララガーデン 春日部」外観。中央に浮かぶ大屋根は、春日部市の花「藤」をイメージ
3層吹き抜けのモール空間。屋根との隙間から光が差し込みむことで、開放的な空間を作っている
3層吹き抜けのモール空間。屋根との隙間から光が差し込みむことで、開放的な空間を作っている
シニア層をはじめ、幅広い年代に訴求する「三越春日部」。コンパクトな店舗ながらも婦人服やギフトコーナーなどさまざまな商品が充実している
シニア層をはじめ、幅広い年代に訴求する「三越春日部」。コンパクトな店舗ながらも婦人服やギフトコーナーなどさまざまな商品が充実している
春日部市を舞台にした人気アニメ「クレヨンしんちゃん」をテーマにしたアミューズメントパーク
春日部市を舞台にした人気アニメ「クレヨンしんちゃん」をテーマにしたアミューズメントパーク
南エントランス。左右2つにテラスを設け、人々が集う場を設けた
南エントランス。左右2つにテラスを設け、人々が集う場を設けた
施設の中心に位置するプラザ。ステージと一体となり、地域コミュニティーの活動の場としてイベントなどが開催されるほか、ギャラリーとして使用することもできる
施設の中心に位置するプラザ。ステージと一体となり、地域コミュニティーの活動の場としてイベントなどが開催されるほか、ギャラリーとして使用することもできる

コミュニティー機能を重視したSC

 同社は、都市近郊生活者に向け、「ライフスタイルパーク」と呼ばれる比較的小規模な複合商業施設を積極的に展開している。
 同施設は、「トレアージュ白旗」(神奈川県藤沢市)、「LALAガーデンつくば」(茨城県つくば市)、「LaLaテラス南千住」(東京都荒川区)に続く4店舗目。春日部に引き続き、このほど、川口でも「ララガーデン川口」を着工した。

 同施設のコンセプトは、地域住民を基軸ターゲットとし、比較的小規模ながらも、買い物をする施設だけでなく、生活サービスや貸し出し可能の公共施設、またエンターテインメント施設や飲食店などで構成。
 また、オープンスペースやテラスなど、共用部を充実させることで、施設を訪れた人が自然と集まり、地域コミュニティー活動の場としてまちの中心として機能する施設をめざす。

 建物は、6階建て、敷地面積2万3,361平方メートル、延床面積6万3,340平方メートル。東武野田線、東武伊勢崎線「春日部」駅より徒歩4分に位置。
 毎日立ち寄れる「街」をイメージし、施設内は3層吹き抜けのオープンモールや、テラスを設置するなど開放感があふれる作りになっている。実際、施設内を歩いていながらも外にいるような感覚を受けた。

 施設のデザイン監修には、MTMインターナショナルおよびフェルナンド・バスケス氏を起用。親しみやすく洗練された色使いとなっている。また施設の中心には春日部駅西口の「春日部市ふじ通り」にある藤棚をイメージした大屋根を設けた。

地域特性を生かした店舗展開

 入店しているテナントは食品スーパー「リブレ京成」をメインに、服飾雑貨店、その他飲食店などをふくめ88店舗。そのうち22店舗が埼玉県初出店の店舗とするなど、ほかの近隣商業施設との差別化を図った。

 デイリーユースとして使用を見込んでいる団塊ジュニアファミリーをメインターゲットとしながら、学生・シニア、またエンターテイメント利用客など、幅広い年代・地域に訴求する店舗展開となっている。
 「三越春日部」では、老舗デパートである「三越」ならではの、幅広い年代に訴求できるインテリアや生活用品を揃えた。また、最寄駅である東武線「春日部」駅近辺に多くの中・高・大学が所在することから、「Misty Grace」、「CHILLE anap」、「Janiss」、「SPIG」などティーンズ・ヤングを対象としたファッションや雑貨店なども多く誘致した。
 また、エステティックの「TBC」やマッサージの「てもみん」、簡易フィットネスが行える「PIU 5R HEALTH」などリラクゼーション施設も充実している。

 そのほか、シネマコンプレックス「ユナイテッド・シネマ」や地元を舞台とした人気アニメ「クレヨンしんちゃん」をテーマにしたアミューズメントパーク「ゲーセン クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶブリブリシネマスタジオ」もオープン。
 春日部駅10キロ圏内には、こうしたアミューズメント施設が少ないことから、上記2施設を出店することで、比較的遠方に住むアミューズメント施設利用客の集客も見込むとしている。

コミュニティーを充実させ、まちの中心に

 また都市近郊者の生活利便性向上を図るだけでなく、地域コミュニティーの中心となる施設をめざし、人々が集うことのできる共用部を充実させた。ステージと一体となりイベント等が開催される「プラザ」、南エントランスに位置する噴水のほか、テラス、コミュニティールームなどが設けられている。

 これらは「みんなの広場」として、春日部市に在住、もしくは在勤、在学している人で、営利目的でない活動であれば、誰でも利用可能。
 ステージでは演奏、演技の発表、プラザでは展示イベント、コミュニティールームでは教室、集い等、用途に合わせてそれぞれの施設を選択することができる。「グランドオープン記念」特別企画として、当分の無料にて貸出する。

 また、同施設のキャラクターを春日部市内に在住・在学している児童・生徒から募集するなど、参加型のイベントのイベントを実施し、利用者とともに施設作りを行なっていく方針である。

 同社商業施設本部リージョナル事業部総括の柴田志道氏は「春日部エリアは、趣味のサークル活動や地域の活動が活発に行なわれており、こうしたスペースの有効活用が見込まれる。地域住民にコミュニケーションできる場を提供することを通じて、細かなユーザー情報を拾い、利用者のニーズにあった施設づくりを行なっていきたい」などと述べた。

 埼玉県内で商業施設の開発が盛んに行なわれている中、「コミュニティー形成」を重視し、他の商業施設との差別化を図った「ララガーデン 春日部」。初年度の来場者見込みは500万人、売上目標は120億円。地域コミュニティーの核となり、業績好調な「LaLaガーデンつくば」、「LaLaテラス南千住」に続くことができるか、注目したい。(ゆ)


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2024/5/1

「海外トピックス」を更新しました。

サントスの「動く博物館」と中心街の再活性化【ブラジル】」を更新しました。

ブラジル・サンパウロ州のサントスでは、旧市街地2.8キロをめぐる「動く博物館」が人気となっている。1971年には一度廃止された路面電車を復活して観光路面電車としたものだが、なんと日本から贈られた車両も活躍しているという。