記者の目 / 開発・分譲

2008/1/24

TXで変わるマンション市場

つくば市最大級のマンション「パークハウスつくば研究学園」が誕生

 2005年8月に開業した、つくばエクスプレス(TX)。沿線では、マンション・建売住宅の開発が一気に進んでいる。不動産開発、なかでも大規模マンション開発の空白区だった「守谷」駅以遠(守谷~つくば)での大型開発が、ここにきてめだってきた。そんな中、つくば市最大規模のマンションが誕生する。三菱地所(株)、NTT都市開発(株)による「パークハウスつくば研究学園」(茨城県つくば市)だ。

「パークハウスつくば研究学園」外観
「パークハウスつくば研究学園」外観
現地空撮写真。筑波山を望める自然豊かな環境が感じられる
現地空撮写真。筑波山を望める自然豊かな環境が感じられる
つくば市で初めて、ミキハウス子育て総研(株)による「子育てにやさしい住まいと環境」の認定を獲得。バルコニーにスロップシンクが設置されており、ガーデニングや汚れ物の洗濯がしやすいなど、子育て層に嬉しい設備が充実している
つくば市で初めて、ミキハウス子育て総研(株)による「子育てにやさしい住まいと環境」の認定を獲得。バルコニーにスロップシンクが設置されており、ガーデニングや汚れ物の洗濯がしやすいなど、子育て層に嬉しい設備が充実している
モデルルームは、カラーやテーマの違う3タイプの部屋を用意
モデルルームは、カラーやテーマの違う3タイプの部屋を用意
「知的住生活研究所」から生まれたコンセプト「+1Labo」。○LDKの概念にとらわれず、新しい嗜好性をもった「プラスひと部屋」を設けるゆとりをもたせた
「知的住生活研究所」から生まれたコンセプト「+1Labo」。○LDKの概念にとらわれず、新しい嗜好性をもった「プラスひと部屋」を設けるゆとりをもたせた
「さくらレジデンス」最上階住戸専用のメニュープラン。リビング天井高が3.5mとなり、開放的な空間が味わえる
「さくらレジデンス」最上階住戸専用のメニュープラン。リビング天井高が3.5mとなり、開放的な空間が味わえる
マンションパビリオン内に設置されたラウンジでは、共用スペース「サード・スペース」を再現
マンションパビリオン内に設置されたラウンジでは、共用スペース「サード・スペース」を再現
CMキャラクターには、タレントの三浦りさ子氏を起用。広域集客を狙っている
CMキャラクターには、タレントの三浦りさ子氏を起用。広域集客を狙っている

「都市」「自然」「知」が融合したまちづくり

 同物件は、TX線「つくば研究学園」駅徒歩3分、UR都市機構が施行する「茨城県つくば市葛城一体型土地区画整理事業区域」内に建設される、総戸数550戸のオール電化マンション。地上24階地下1階建ての「けやきレジデンス」と、地上20階地下1階建ての「さくらレジデンス」からなり、両棟がTX高架を挟み込むように建設される、つくば市内では、最大規模のマンションだ。施工は鹿島建設(株)。完成予定は、09年3月。

 同区画整理事業は、TX沿線でも最大規模のもので、北関東最大級の大型ショッピングセンターやつくば市総合庁舎に加え、建売住宅やマンションの建設が進んでおり、20万人都市「つくば市」の新たな商業・行政・住居の中心をめざしている。同物件も、この区画整理事業のまちづくり方針に合わせて、商品企画が練り込まれている。

 つくば市は、各省庁の関係機関や民間企業の研究施設が集中する「知」のエリアだ。三菱地所は、そうした特性をいかした住まいづくりを考えるため、「知的住生活研究所」を開設。同研究所で行なったアンケート調査などをマーケティングデータとして活用した。
 また、自然豊かな環境をいかすため、建物外観はつくばエリアの基調色であるナチュラルカラーを中心にした3層構成とし、周囲の景観と一体化した色調としたほか、敷地内にソメイヨシノやシダレザクラ、ヤマザクラ等の多様な桜の樹種で構成される「さくらガーデン」を設けるなど、豊かな自然とリンクした外構・外観デザインを採用している。

 同社常務執行役員の柴垣 譲氏も「研究・開発機関の拠点を形成しているなどの先進性・未来性がつくば市の最大の魅力だろう。そこに豊かな自然があり、TX線の開通による利便性もある。当マンションは、これらの魅力を兼ね備えており、高く評価できると思う」と自信をのぞかせた。

子育てにやさしいマンション

 同マンションは、ミキハウス子育て総研(株)による「子育てにやさしい住まいと環境」の認定を獲得している。
 同認定は、「子育て」という視点から住まいを考え、日本で初めて「子育てにやさしい住まいと環境」というソフト面の評価基準を体系化したもの。専属の認定士が体系化した基準に沿って新築物件をチェック。規定数を充たせば、「子育てにやさしい住まい」として、認定マークが発行・掲示される。認定事業が開始された06年から現在まで105物件・7,000戸あまりが認定されているが、同物件はつくば市初の認定物件。

 TX「研究学園」駅へのアクセス、近隣に複合ショッピングセンターがオープン予定などの利便性の高さ、緑地スペースやコミュニティースペースが豊富なこと、スロップシンクやピクチャーレール、IHクッキングヒーターなど子育て世帯に配慮した設備機器の設置、子供の様子を見守れるよう考えられた家事動線や間取りなどが評価されている。

 ミキハウス子育て総研・代表取締役社長の藤田 洋氏は「第三者の目で見ることで、本当に子育てにやさしい物件なのかを判断でき、購入側にも販売側にもプラスとなると考えている。同物件は非常に利便性が高いうえ、周囲に公園や医療機関・幼稚園や小学校などの施設も充実しており、家族全員にとって快適な立地環境と思われる」などと話した。

都心では味わえない“ゆとりのある生活”

 住戸は、専有面積87平方メートル~115平方メートル。「知的住生活研究所」のマーケティングデータをもとに、全住戸の75%を、専有面積を100平方メートル超とした。もはや、都心近郊では見ることができなくなった「100平方メートルマンション」の提案である。
 全住戸を7m以上のワイドスパンとし、6畳以下の居室を廃するなどゆとりを持たせている。「さくらレジデンス」の最上階住戸では、リビングダイニングの天井高を他の階よりも1m高い、3.5mとしたプランを用意。100平方メートルを超える広さと相まって、さらなる開放感が味わえる。

 各住戸は、カラーテイスト7パターン、基本プラン25タイプ、メニュープラン219タイプ。また、従来型の○LDKの概念にとらわれない、家族のライフスタイルにあった「+1Labo」の提案を用意した。同プランは、知的住生活研究所と共同で、暮らしに「+1」となる新しい発想の具現化をユーザー参加型で実施するもの。同プランは、知的住生活研究所と共同で、暮らしに「+1」となる新しい発想の具現化をユーザー参加型で実施するもの。住戸のなかに、新しい指向性をめざした空間を設けることで、例えば“隠れ家的書斎”や“広いリビングにリラックススペースと家族のワークスペース”として利用するなど、よりライフスタイルにマッチした住まいづくりを行なっていこうという考えだ。

 共用スペースも、ゆとりを感じられる数々の工夫を凝らした。けやきレジデンスに設置される共同スペース「サード・プレイス」は、グランドエントランスを含む2,000平方メートルの大空間で、ギャラリー、キッズ・スペース、ライブラリーなどの機能が備えられている。一方、さくらレジデンスの「サード・プレイス」は庭園の「さくらガーデン」を望むラウンジとなっている。

 「サード・プレイス」とは、家でも職場や学校でもない、「3番目の場所」として、居住者にゆっくりと過ごしてもらえる空間をめざしたもの。住民すべてがリラックスして過ごせる空間を設けることで、住民同士のコミュニティが形成を促進するというわけだ。マンションパビリオン内にも、サード・プレイスを再現しており、そのよさをアピールしている。

来場は地元中心も広域集客へ期待

 昨年末に行なわれた会員限定の先行販売では、63戸の販売に対して、約100組が来場。50戸の申し込みが入った。つくば市内からの来場が約4割と最も多いが、茨城県内の他のエリアや東京都内からの来場者も多く、幅広い地域からの注目を集めている。

 同社はさらに、CMキャラクターにタレントの三浦りさ子氏を起用。広域集客に期待をかけている。自身が二児の母である三浦氏は「私も、休みの日は子どもと外で遊ぶことも多いので、こうした利便性と自然を兼ね備えた環境で子育てができることはとてもうらやましい」などと抱負を語っている。

 首都圏マンション市場が冷え込む中で、TX線の開通により新たな可能性を秘めたエリアとして大きな注目を集めているつくば市。つくば市内最大規模を誇る同物件が、つくばのまちづくりにどう影響していくのか注目したい。(ゆ)

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お知らせ

2024/5/1

「海外トピックス」を更新しました。

サントスの「動く博物館」と中心街の再活性化【ブラジル】」を更新しました。

ブラジル・サンパウロ州のサントスでは、旧市街地2.8キロをめぐる「動く博物館」が人気となっている。1971年には一度廃止された路面電車を復活して観光路面電車としたものだが、なんと日本から贈られた車両も活躍しているという。