記者の目

2010/3/9

「子どもを賢くしたい!」を叶える家とは

セキスイハイム、「かげやまモデル」モデルハウス見学会

 積水化学工業(株)住宅カンパニーは、立命館大学教授の陰山英男氏と共同開発した、子どもが賢く育つ家「かげやまモデル」のモデルハウスをこの1月、埼玉県蓮田市内にオープン、このたび報道陣向けに公開した。    同社は、「生活習慣が向上するための住まいとはどういうものなのか?」という考えのもと、2009年2月、陰山教授とともに「子どもが賢く育つ家づくり」プロジェクトをスタート。同年4月には30棟のモデルハウスが完成。同年8回ほど開催された同氏によるセミナーには、若い主婦を中心とする1,000名以上が集まり、「かげやまモデル」はすでに09年だけで100件以上の契約があったという。「かげやまモデル」見学会で紹介された、子どもが賢く育つ工夫を紹介したい。

鉄骨系ユニット住宅「ドマーニ」をベースにした「かげやまモデル」のモデルハウス
鉄骨系ユニット住宅「ドマーニ」をベースにした「かげやまモデル」のモデルハウス
リビングの窓側に配置されたカウンターデスク。明るく開放的な空間で勉強が可能
リビングの窓側に配置されたカウンターデスク。明るく開放的な空間で勉強が可能
トイレ内にも本棚。いつでもどこでも読書ができる工夫がなされている
トイレ内にも本棚。いつでもどこでも読書ができる工夫がなされている
対面式キッチンは自然にコミュニケーションが生まれる場
対面式キッチンは自然にコミュニケーションが生まれる場
家族内コミュケーションを図る伝言板
家族内コミュケーションを図る伝言板
和室の必要性を勧める陰山氏。子どもにとって、足を伸ばしてリラックスできる場所が必要なのだとか
和室の必要性を勧める陰山氏。子どもにとって、足を伸ばしてリラックスできる場所が必要なのだとか

陰山メソッドを取り入れた「かげやまモデル」

    「かげやまモデル」は、セキスイハイムの高い躯体性能と温熱環境をベースに、教育界の第一人者でもあり「百ます計算」で有名な陰山教授の子育てノウハウを取り入れた戸建て住宅だ。  陰山教授は小学校の教鞭をとっていたころに、基礎学力の向上を図る「陰山メソッド」を確立した。これは、徹底した反復練習と生活習慣を基本に、子どもたちのやる気そのものを育成するというもの。  今回の「かげやまモデル」は「陰山メソッド」を取り入れた、子どもが賢く育つ家をコンセプトとしている。同モデルのポイントは、(1)どこでも学習できる場所づくり、(2)生活習慣を支えるしかけ、(3)家族コミュニケーションを演出する、の3点だが、具体的にはどういうものなのか、それぞれポイントごとに見ていこう。


どこでも学習できる場所づくり

 同氏は、母親の目が届くところで勉強することにより、母親も子どもも安心するとの考えから、小学校低学年ではあえてリビングで勉強することを推奨。カウンターデスクを窓側に設置し、開放的な空間で勉強できるようにしている。また、パソコンや携帯電話の充電器もリビングに置き一括管理することで、子どもが子供部屋にこもることを防ぐという。
 また、「読書量が子どもの学力向上に影響を与えている」と提唱する陰山氏は、リビング、和室、さらにはトイレに本棚を設置。いつでもどこでも本を読むことができることから、読書量が増すことはもちろん、疑問に思ったらすぐに調べる癖もつくのだとか。


生活習慣を支えるしかけ

 「朝食を食べない子は学力が伸び悩む」、「適度の睡眠時間が学力向上を促す」などといった同氏独自の調査結果から、学力向上に生活習慣が大きな影響を与えていると提唱している。例えば、夜、子どもが深い眠りにつけるよう、帰宅した父親が子供部屋を通ることなく寝室に行ける動線の工夫や、朝食を食べさせ学力を伸ばすためにも母親が毎日無理なく朝食を作れる環境づくりが必要となる。同社では、開発商品「快適エアリー」を搭載し、暖かい環境で心地よく家事ができる設備を整えている。
 さらに、吹き抜けを設けることで、朝日の入るダイニングとなり、家族の生体を整え規則正しい生活を支えていく。
 また、子ども部屋は、子どもの成長に合わせて部屋を仕切ることができるよう、間仕切りとなる家具を設置。可変性の高い空間とした。子どもの成長段階によって生活習慣も変化していくからだ。


家族コミュニケーションを演出する
 
 家族のコミュニケーションを促す仕掛けも随所にみられた。コルクボードをリビングに設置し、忙しい家族の伝言板として活用。また、オープンな書斎、対面型キッチンを設置するなど、コミュニケーションが自然と生まれる工夫がなされている。
 また、吹き抜けの設置は生活リズムを整えるだけでなく、1階・2階のコミュニケーション創出の意味もある。1階で家事をしている母親が2階にいる子どもを視界にとどめておくことができる一方、子どもは母親の気配を感じ安心することができるのだ。

 同社では、10年度「かげやまモデル」のモデルハウスを40棟増設、展示エリアも、陰山教授の知名度が高い近畿や四国から、今後は全国に展開していく予定だ。


子どもが賢く育つ家は、大人にとっても健康的な家
 
 子どもが賢く育つ家とは、家族が規則正しい「生活リズム」のなかで「コミュニケーション」を図りつつ、子どもが勉学に勤しむ「癖」を促していく家だといえるのではなかろうか。パソコンや携帯電話などの普及により家族内コミュニケーションが減り、生活リズムが崩れがちな現代人。「かげやまモデル」は、子どもが賢く育つ家のみならず、われわれ大人にとっても健康的に暮らせる家といえよう。「親の背を見て子は育つ」というように、子どもの教育を考える前にいま一度、親自身が快適に家族円満に暮らせる家づくりを考えていく必要があると実感した。(tam)

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【関連ニュース】
埼玉に子どもが賢く育つ家づくりプロジェクト「かげやまモデル」モデルハウスがオープン/積水化学工業(2010/01/25)

【関連記事】
月刊不動産流通2010年1月号 談話室『日本の住宅に必要なもの』
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「『住まいの資産価値向上意識』を高めたい!」を更新しました。住まいを長持ちさせるためには大切な「外壁塗装」。しかし、家の中の手入れやリフォームと比較し、外壁のメンテナンスがおろそかになるユーザーは少なくありません。今回は住まいの資産価値向上に対するユーザーの意識を高めるため、省エネ性や快適性に寄与する「性能向上リフォーム(内窓施工)」と外壁塗装を組み合わせた提案を開始した、創建ペイントの取り組みを紹介します。