記者の目 / IT・情報サービス

2022/2/10

IoTでレンタルスペースを無人管理

居抜きのまま、空室の有効活用が可能に

 コロナ禍でレンタルスペースの需要が増えており、ビルの空室や空き店舗等を転用する事例も増えている。一方で、騒音発生による近隣からの苦情、利用時間の無断超過などのトラブルも多く発生しているようだ。しかし、その対策として管理人を常駐させては採算が取れないケースも少なくない。そんな中、低コストで無人管理を行なうIoTシステムが出てきた。

◆ポイントは「退出」の管理

「SMASSO」据え置き型

 人感センサーを搭載した専用機器の設置と簡単な電気工事等によって、スペースの無人管理を可能としているのが、(株)スペースコネクト(東京都目黒区、代表取締役:福西佐允氏)が提供するIoTシステム「SMASSO」。据え置き型、壁への埋め込み型など5種類の設置方法を用意している。

 同システムでは、管理者側であらかじめ、例えば「照明を利用終了時間10分前に点滅、終了時にオフ。音声によるアナウンスの実施」と設定しておくと、騒音やCO2濃度が一定レベルに達すると注意喚起の音声が流れる。利用者に終了時間を通知することにもなる。スマートロックも取り付ければ、同システムと連携しカギの自動開閉設定も可能だ。「スペースの管理でポイントなのは退出管理です。実は、現在普及しているスマートロックでは、入室の管理はできますが、退出の管理は難しい。当システムでは音声・照明を用いて、退出を促すことができ、利用者が退出した後は自動でロックをかけることができます」(同社技術顧問・徳永隆也氏)。また、コロナ禍での対策としてCO2濃度が高まった場合は、注意喚起をアナウンスした上で換気扇が自動的に稼働する仕組みも取り入れた。

「SMASSO」の液晶画面の機能

 なお、室内に設置された機器の液晶画面では、騒音(dB)・CO2濃度の数値、利用終了時間(現時点での残り時間)などを表示するほか、照明や換気扇のオン・オフ、ドアのカギの開閉などの操作がタップで可能だ。また、部屋の空き状況のシステムと連動させ、画面上の二次元バーコードから利用者がその場で延長の申し込み・決済ができる仕組みも採用。無断利用を防止する。

◆軽微な工事で低コスト

 既存物件をレンタルスペースとして活用する場合、大規模な改修工事、多額のコスト投下は難しいケースが多いだろう。同システムは、専用機器の設置と簡易な電気工事のみだけで組み込むことを可能とした。コストもイニシャルコストが16万5,000円、ランニングコストが月額4,000円弱と手頃な設定だ。「施設の利用料金の設定にもよりますが、初期費用は1年程で回収できるケースが多いようです」(同氏)。

築40年超のビルのレンタルスペース。従前はスナックとして利用していたのをパーティスペースに
「SMASSO」を採用し、トラブルが軽減した

 実際に同システムを採用している不動産会社に取材してみると、これまで発生していたレンタルスペースの近隣からのクレームが減少。スタッフの業務量が大幅に軽減できたという。「効果的だったのは照明の点滅でした。利用客は話に夢中だったりすると、音が流れても気付かない場合もあります。騒音が発生したら音声とともに照明を点滅させ、注意喚起する設定にすることで、ほぼトラブルはなくなりました」(日本商事(株)取締役専務・岡崎 梓氏)。

 なお、同社の場合は、1980年築のビルのスナックとして利用されていたフロアを主にパーティスペースとしてレンタルしている。「同システムを活用すれば居抜きのまま、低コストで貸し出すことが可能です」(同氏)。

◆◆◆

 レンタルスペースのプラットフォーマー最大手(株)スペースマーケットの調査によれば、コロナ禍でレンタルスペースへのニーズが多様化し、ホームパーティやウェブ会議用、動画撮影スタジオなど、さまざまな空間への需要が高まっているという。岡崎氏も「以前は貸し会議室が主流だった施設もさまざまな使い方ができることが求められるようになってきました。その分、きっちりした会議室だけでなく店先の空地などこれまで貸し出すことを想定していなかったような場所への利用ニーズも出ています」と話す。一方、コロナ禍でテナントを失ったビルオーナーや管理会社も少なくない。このようなIoT技術をうまく活用すれば、さまざまな空間の収益化も考えられそうだ。また、地域貢献のために、自社ビルの会議室や空きスペースを無料で貸し出す場合などの際の管理システムとしても活用できる。

 なお、同システムは、日々その内容を進化させており、2月からは、スペースマーケット等、複数の予約仲介サイトから受け付けた予約状況を一元管理できるシステムの提供も開始する。

 IT関連の技術の進化が目覚ましい中、筆者としては退出完了の合図とともにお掃除ロボットが室内清掃を開始する、音声案内によって口頭で予約の延長をリクエストできるなど、さまざまなシステムと連携した新たなサービスが出てくることにも期待したい。(umi)

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