どん底からのアメリカンドリームストーリー
(前編から続く)人身売買組織から助け出され、ニューヨークでホテルの清掃をしていたインド人少年PKが、カリフォルニアで運命的に出会い魅了されたあるホテル。
突然オーナーに「売ってください!」と持ち掛けたが、そもそも無茶な話だった。
だが、話は意外な方向に動いていく。
もはやストーカー。諦めようと思った矢先に
ーー断られ続けてもR氏のもとに通い続けた。あまりしつこいと嫌われるのでは?
「確かに(笑)。私も4回ほど拒絶され、さすがにこれ以上はストーキング行為になるかなと思い、あきらめかけたんです。
ちょうどその頃にインドにいる父親が亡くなって、このまま自分はずっと家族にも会えない人生なのかなと喪失感に苛まれちょっと心が折れかけました。
が、その一方で、もう無くすものはない、何も怖くないという思いも湧いてきていました。
それで、今日が駄目だったらもうあきらめようと、ある日、頭金7万ドルのLOIを書いてR氏を尋ね、朝の10時からずっとオフィスのR氏の部屋の前で待機しました。R氏は出たり入ったりしていましたが、私のことは無視していました。午後3時過ぎて、やはり駄目か、もう諦めて帰ろうとしかけた時、R氏から声がかかったんです。
部屋に入ると、R氏が700万ドルで売る、3日以内に手付金2万5,000ドルをエスクローに差し入れ、90日以内に売買を成立させるようにと言いました」
ーーなんと、作戦成功!
「嬉しかったです。」
「が、実は私はエスクローが何かも分からなかった。そこからが大変でした。また、手付金はなんとか用意できましたが、大問題がありました。私は当時まだ難民扱い状態だったので、社会保障番号(Social Security number)も銀行口座も運転免許もなかった。
それからは、まさに死に物狂いでインターネットにかじりつき、諸手続きと格闘しました。幸い周囲に私を支援してくれる人もおり、専門ブローカーの手も借りて、なんとか間に合わせました。
売買契約が成立したのは2006年7月4日、アメリカの独立記念日でした。凄く運命的なものを感じます。この日は私の独立記念日にもなりました」
ーー正直、ちょっと信じられない話、まさにミラクルです! もしや神への祈りが通じたのでしょうか。
それにしても、オーナーR氏は突然気が変わったんですか? それとも根負け?
「根負けもあったかと思いますが、後で分かったことは、当時そのホテルはあまり経営状態が良くなく、組合のストライキが繰り返されていたんです。オーナーにしてみれば、どこかの時点で、渡りに船という気持ちに切り替わったのではないでしょうか。
私がホテルを取得した後、2年後に組合を解散させるとみるみるうちに経営は改善し、借金も数年で返済できました。私のサラリーも月5,000ドルになりました」
ーーまるで映画でも観ているようなサクセスストーリーですね。
「はい、まさにアメリカンドリームです。それで、以前ソニーピクチュアズの方から映画化の話が持ち上がったことがありました。残念ながら話の途中でその方が亡くなってしまい、立ち消えになっていますが」
リノベホテルで新しいブランド展開
ーーそれから18年の間に、多くのホテルを開発したり、投資してきていますね
「はい、約2年に1物件のペースで買っています。売却したホテルもありますので現在は12のブティックホテルを所有・運営しています。現在年商は2,400万ドル程度になりました」
ーーホテル以外の不動産には投資しないのですか?
「住み込みで長年働いた経験からホテルの運営については裏も表もよく分かりますが、他の分野についてはその点感覚も知識もノウハウもないので、私はホテル投資に特化しています」
ーー今後、ホテルビジネスで新たなチャレンジもされていくとか?
「はい。アメリカには個人が経営する『Inn』『モテル』などの小規模宿泊施設が数多くあります。木造でも日本に比べると寿命の長い建物が多く、中古のそれら施設を買取り、リノベーションして新しい付加価値を備えたホテルブランドを作っていく予定です。
ブランド名は『The Ours(ジ・アウアズ)』。
すでに3,000万ドルを投資して事業スタートの準備中です。
22年6月に複数の場所でホテルの買収をスタート、今年中にはオープンする予定ですが、すでにそのデザイン性が評価されています。現在7物件で改修工事が進んでいます。どれも主要都市から車で2~3時間以内に立地し、12室~50室くらいの規模。ホテル内にはBARや飲食設備なども備え、リゾートやリモートワークの場としても活用できる仕様にしているほか、家庭的な雰囲気の演出や宿泊者同士のコミュニケーションも促す、民泊とホテルの間に位置する宿泊施設をイメージしています。
リノベ費用も含め1部屋当たり15万ドル~20万ドルを注ぎ込んでいます。物件にもよりますが」
ーー新しい付加価値とは?
「宿泊予約やチェックイン・アウトの手続き、客室サービスなどの顧客向けサービスや、フロント・清掃・設備維持といった日常業務、価格設定をはじめとする収益管理、マーケティングなど、ホテル運営全般のオペレーションをワンストップで操作・管理できるアプリを独自に開発しました。併せて、客室内の温度・照明、ロックキーやテレビなどのオーディオ設備といったハードウェアも独自に開発し、ソフト・ハード両面で最新テクノロジーを実装することで効率的で省力化されたホテル運営を可能にします。それらを共有したホテルチェーン展開をしていこうと考えています」
ーー今後のビジョンは?
「The ours のブランド価値を高めるためにも、まずは物件数を増やしていきたい、最終的にはアメリカ国内に限らず2~3年で世界中で60~100箇所くらいにできればと考えています。
また、前述した『ホテルサービス&オペレーション特化アプリ』も多様なニーズに併せて進化させていきたい。
2~3年で評価額100億ドル以上で上場を目指します。
そのためにも、今各地を回って最適な物件探しをするとともに、ブティックホテル、短期滞在施設と未来のAI、AGI基盤技術テクノロジーへの投資をしてくださる事業パートナーを探しています。3,000万ドル~3億ドルの投資にご関心ある方は是非問い合わせいただきたい。小口でも歓迎です。施設の所有とブランド価値のシェアが可能です。日本は今金利が低いので投資家の方にはチャンスでは? 木造で築22年以上という物件もあり、税対策にも有効ではと思います。
これは下振れ保護があり、上振れの可能性が非常に高い最高のスタートアップ投資だと思います。投資の対象不動産は本人名義になりますので100%保護されており、また今後設立予定のスタートアップブランド会社の株式も取得できます。3~5年以内に上場され、評価額は100億ドルを超えるでしょう」
恵まれない人のために活動したい
ーー少年時代に不幸な出来事を経験したにもかかわらず、過酷な労働をしながら勉学に励み、サンフランシスコ州立大学、スタンフォード大学、ハーバード大学へと進学、今では目覚ましい投資ビジネスの事業家として注目されるようになりました。
これまでの道のりを振り返ると?
今振り返ってみると、ホテル事業に関わることになったことも含め、私のこれまでのあゆみは必ずしも自分で選択した生き方ではありませんでした。ただ置かれた運命の中でその時その時ひたすら一生懸命に生き抜いてきたのです。しかし結果的には、すべてが今につながっていると思うと、不幸な事ばかりではなかったと言えると思います。」
ーー事業の目標とは別に、個人としての人生の目標や夢はありますか?
「人には生きていくために基本的に必要なものが4つあると思います。「教育」「食」「住」「健康」です。これは世界中すべての人が得る権利を持つべきです。しかしそれがかなわない人たちもいる。そして、私のようにさらわれて犠牲になる人も未だに多い。私はこのことをもっと世の中の人に訴えたい、もし、神様が私を億万長者にしてくれるなら、私はこれら4つを人権として認めるように闘い、私が経験したことを誰も経験しなくて済むように、このことをできれば国連でスピーチしたい。それが一人でも多くの人を救うことになればと願います。それが夢です。
そして私は、21世紀の世界には、この地球上のすべての人間のニーズを満たす法律と権利が確立されるよう、十分な資金、資源、インフラ、能力があると信じています」
――今、社会に貢献する活動もされているそうですね
「生活に困窮している人たちのために今私ができることは何かと考え、毎年収入の10%を恵まれない人に寄付しています。また将来の収入の30%を寄付することを約束します。自分の経験をもとに不幸な境遇の子供たちをサポートしたり、助言する活動もしていきたい」
Special thanks to Mr. PK & Ms. Atsuko Yube.
(yn)