海外トピックス

2017/8/7

vol.327 シカゴのホットドッグ

シカゴ人に一番人気のホットドッグ店ウルフィ。巨大なフランクフルトが目印(イリノイ州シカゴ市。以下同)

 7月23日は全米ホットドッグディだそうだ。あまり馴染みがないが、ホットドッグと切り離せないのは野球観戦。誰しも子供時代を思い出す。
 シカゴカブスか、NYヤンキーズか…、どのチームが勝ったのか覚えていなくても、ホットドッグの売り子のカラフルな制服と、初めて球場で実際のゲームを観戦した感激は忘れられないと、多くのシカゴ人から聞いている。

ケシの実入りのパンに、ビーフ、オニオン、ピクルス、etc.

「エブリシング(みんな入れて)」というとこのような内容。シカゴスタイルである
これらがフランクフルトとともに半分に切ったパンの上に乗せられる

 本家本元シカゴホットドッグはケシの実入りの細長いパンを縦半分に切って、ビーフフランクフルトを挟む。そして黄色いマスタードをちゅるちゅるとかける。その上に刻んだホワイトオニオン、レリッシュと呼ぶ刻んだ甘酸っぱいピクルス、ディルピクルスと小さなペッパー(緑色の唐辛子)、薄切りにしたトマト、それにちょっぴりセロリ塩を振りかける。
 これが基本的なレセピだが、「炒めたオニオンを入れて」「ペッパー抜きで」「マスタードはたっぷり」など、注文をつける人も少なくない。

.ケチャップ、マヨネーズは絶対なし!

ホットドッグ店ウルフィの室内。ファストフードなのでくだけたタイプの人々が主流
60年代ファッションのホットドッグ店、「スーパードッグ」

 レストラン、ホットドッグスタンド(屋台)、ドライブスルー、車で移動する店など色々ある。自宅の庭でBBQグリルで焼くことも…。牛肉のフランクフルトを茹でてパンに挟み、いくつかのトッピングを乗せてでき上がる簡便なファストフードだ。
 現在80%はケーシング(腸の皮)なしのフランクフルトだが、ケーシングをはずしたのは歯応えがないそうで、ケーシングに固執する人々も店もある。キュウリやレタスを入れたり、チーズを挟んだり…、バリエーションはたくさんあるが、ケチャップやマヨネーズをかけることは絶対にしない。これはシカゴ人の矜持だそうな。

 日本で薄焼き卵でくるんだちらし寿司にケチャップをかけたり、蕎麦屋で天ぷらラーメンを注文して嫌な顔をされたという友人(アメリカ人)がいるが、ケチャップをホットドッグにかけるのは、シカゴ人にとってこれらと同様に奇異に映るのだそうだ。

地域によりレセピも歴史もさまざま

戸外で気楽に頬張る人々で賑わう「スーパードッグ」

 全米各地それぞれお国自慢があって、ニューヨーカーに言わせると「ニューヨークが本場!」だそう。ドイツのフランクフルトからアメリカにやってきた移民がホットドッグをニューヨークで最初に紹介したらしい。12分に13個のホットドッグを食べて優勝したという早食い競争もニューヨークで催される。レセピもシカゴと違う。
 ロスアンゼルスのポーリッシュソーセージがベスト!という声も。牛肉でなく、豚肉やターキー、ベーコン入りも人気。最近では菜食主義者用に肉なしの大豆で作ったフランクが使われることもある。

ホット(熱い)ドッグ(犬)の語源は?

「スーパードッグ」の派手な広告モデル。60年代の印象が強い

 “ホットドック”の由来は何か。なぜ「熱い犬」というのか?

 フランクフルトソーセージは胴の長いダックスフンドに似ているからソーセージのことをドッグとよび、昔、ニューヨークで「熱々のダックスフンドソーセージはいかが?」と球場で売ったのがホットな(熱い)ドッグ(犬)の始まりという説。熱々のフランクフルトソーセージは手に持てないため、パンに挟んで売ったという説。漫画家がパンに挟まれたダックスフンドの絵を描いてホットドッグと呼んだなど諸説あるが、ともあれホットドッグはアメリカ大衆文化の一つと言えるだろう。

シカゴが一番!の理由

パッケージも同様に60年代のイメージだ。ホットドッグの中身は定番のシカゴスタイルと羅列してある

 ところで、なぜシカゴのホットドッグが(シカゴ人に言わせると)一番か?

 元来シカゴは西部から鉄道で牛が全米各地へ運ばれる中継地であったので、市内に巨大な屠殺場があり、そこで製品にしてから他の州へ出荷していたという歴史がある。
 ソーセージ加工会社で国際的に有名なオスカーマイヤー社やヴィエナ社はシカゴで創業された。20世紀に入り、工業化で湧き立つシカゴに全米から労働者が大勢集まり、手づかみで食べられる簡便さでホットドッグが労働者階級に爆発的に広まったのは間違いない。

 「伝統の味」というほどご大層なものでは決してないが、塩味とレリッシュの甘さ、唐辛子と玉ねぎのピリリ感、マスタードとピクルスの酸っぱさ、トマトの水気、それらがパンの柔らかさに包まれ、口いっぱいほおばった時に絶妙なハーモニーを醸すのである。
 嬉々としてパクつく人々の姿が目に浮かぶ。

Akemi Cohn
jackemi@rcn.com
www.akemistudio.com
www.akeminakanocohn.blogspot.com

明美コーン

コーン 明美
横浜生まれ。多摩美術大学デザイン学科卒業。1985年米国へ留学。ルイス・アンド・クラーク・カレッジで美術史・比較文化社会学を学ぶ。 89年クランブルック・アカデミー・オブ・アート(ミシガン州)にてファイバーアート修士課程修了。 Evanston Art Center専任講師およびアーティストとして活躍中。日米で展覧会や受注制作を行なっている。 アメリカの大衆文化と移民問題に特に関心が深い。音楽家の夫と共にシカゴなどでアパート経営もしている。 シカゴ市在住。

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